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マーマーなリレーエッセイ

#36 風邪の治しかた|加藤祐里

 

郡上もりのこ針灸院の加藤祐里です。

いつも、ありがとうございます。

今回のテーマは「風邪の治しかた」です。

 

風邪をひけるって、ありがたい

そもそも、風邪をひけるって、

とてもありがたいことだと思っています。

がんやうつ病など大病を患うかたにお聴きすると

何年も熱をだしていない、

風邪をひいても薬で止めて

ゆっくりと養生なんてしてこなかったという人がほとんどです。

針灸院に慢性的な肩こりや腰痛、

生理痛で来院されるようなかたも

3か月くらいしたときに、

「何十年ぶりに寝込むくらいの風邪をひいた」

といわれる方がよくいます。

たいていしっかり風邪をひいたあとは

痛みや凝りがすっかりよくなっています。

めったに病気にならないし寝込んだりもしない、

という人よりふだんから

ちょこちょこ不調がある人のほうが

自分の身体の「取り扱い説明書」をよく知っています。

特に「冷え取り健康法」をはじめだすと、

以前よりも寒がりになって、

病むことが多くなったという人も少なくありません。

病弱になったというより、

すごく悪くなる前にからだのサインに

早めに気づけるようになるのでしょう。

これはわたしが経験的に感じてきたことなので

エビデンスはないのですが

たとえば、喉が痛くなりやすい人は

ふだんからいいたいことを我慢したり、

ぐっと感情を抑えて生きてきた人。

涙をこらえるときに唾を飲み込むように

喉や胸の奥のほうにギュッと力をいれますよね?

自分では悲しんでいるつもりはなくても、

小さいころからの我慢癖、

本音をいわない癖というのは「思考」というより、

からだの筋肉の緊張として記憶されます。

風邪のときに喉が痛くなりやすい人は

喉のまわりの筋肉が

とても硬くなっていることが多いのです。

鼻水などは「涙をこらえてきた人」。

もう何年も涙を流して、わぁわぁ泣いていない人。

小さいころに「泣くのはよくない、

お前は泣き虫でみっともない」と

言われて育った方、どうですか?

咳は「息を飲むような」、

緊張するようなできごとが続いたあとや、

喉の痛みよりももっと深い部分の悲しみだったり、

吐き出したい想いをためているとき。

息は飲むのじゃなくて、

吐かないといけない。

コンコンと咳混むことで

胸郭・背中・お腹全体を緩ませています。

38度を超えるような全身の発熱は、

風邪の原因になっているウイルスをやっつけるので、

血液がきれいになります。

熱そのものの効果もありますが、

だるくて起き上がれなくて、

ずっと横になって寝ていることで、

全身の筋肉が緩みます。

いつもがんばりすぎる人、

何年もゆっくり寝ていない人、

人に甘えたり頼ったりするのが苦手な人、

痛み止めを常用してきた人などが

熱を出して寝込めるようになったら、

お赤飯を炊いてあげたいくらいです。

 

風邪を許す

我が家には小学6年生と4年生の息子がいるのですが、

子どもたちが保育園に行っている頃は

毎月のように風邪をひいて、

しょっちゅう病院に行っていました。

小学校にあがると同時に岐阜の田舎に引っ越してきて、

ぱったりと病気にならなくなりました。

わたし自身、外に出て働く仕事から

自宅での仕事に変えたこともあって

「いつでも風邪くらいひいてもいいよ」

という気持ちになれたことが一番だったと思います。

わたし自身も小さいころ母が働いていて

「わたしの体調が悪くなると母に迷惑をかける」

と、そんな思い込みを抱えていました。

大きくなっても風邪をひくことに罪悪感がありました。

わたしは比較的、手がかからない子で、

家事も早いうちにできるようになって、

なるべく早く自立して、

親に迷惑をかけないように

生きていきたいと思っていました。

親とは離れて社会人になってからも、

わたしは「いつも元気で丈夫なキャラ」。

滅多なことでは休みませんでした。

もし風邪をひいても薬で症状を抑えて

「熱さえなければ大丈夫」と、

いくらダルくても寝込むこともありませんでした。

だけど、本当は母にそばにいてほしかったんだな、

迷惑じゃないよっていってほしかったのだと

自分の抱えてきた悲しみに自分で気づけたときに、

風邪をひくわたしを許せるようになったと思います。

 

風邪を治すコツは3つの‘みる’

「風邪で薬を飲むのはよくない、

だから何もしないで放っておけばいい」というわけでなくて、

流行りはじめの時期、ひきはじめ、

油断しがちな治りかけのときの過ごし方は大切です。

一番は風邪のときも、

そうじゃない元気なときも

オールマイティーに使いこなせる術を

ふだんから生活のなかで

あたり前に取り入れることができるといいですね。

いざ症状がでたときだけ

自然のお手当を活用しようと思っても、

焦ってなかなかタイミングよくできないので、

ふだんからそういうことにくわしい人たちの集まるコミュニティーで

情報収集をしておく、

本に使えそうなテクニックが紹介されていたら付箋でも張っておく、

など工夫は必要です。

一家のお母さんであれば、

子ども一人一人風邪のお手当は変わります。

風邪のときにもりもり食べて調子のよい子もいれば、

水も飲まないで元気になる子もいます。

温めてよくなる子もいれば、そうじゃない子もいる。

熱があるとついつい体温の上がり下がりに一喜一憂して、

顔とか上半身しかみえませんが、

風邪がこれからひどくなるのか、

終わりかけなのか?

お腹や足首の硬さ、冷たさ、肌の汗の様子、

口のにおい、咳の音、甘えてきたり、

機嫌が悪かったり、

ふだんの様子をよく知っている

お母さんにしか分からないことってたくさんあります。

ネットをみるより、

目の前の子どものからだに起きていることを

よく‘みる’力

「観る・診る・看る」を養うことが

自然に治る力を引き出すコツです。

子どもの風邪の場合、

子ども自身の問題というより、

お母さんが休めていないときが多いですね。

お母さんが仕事復帰して、

なるべく仕事は休まず、

まわりに迷惑かけないように、と

緊張して毎日頑張っているようなとき、

いいタイミングで子どもは病気になってくれます。

なんとか明日までに熱を下げて仕事にいかないといけない、

と肩ひじ張っている間は、

まだまだお母さん自身に

緩まないといけない部分がたくさんありそうですね。

子どもの体調そのものの問題というより、

夫との関係、親との関係、職場での人間関係、

仕事やお金に対する考え方、

休むことやできないということの罪悪感、

なぜがんばりすぎてしまうのか?

人に甘えたり、頼ったりできないのか?

自分が見ず知らずにうちに「こうでなければいけない」と

自分に厳しく生きてきた考え方の癖を

もう一度見直すときなのかもしれません。



加藤祐里

かとう・ゆり|愛知県出身。年間1,000件以上のお産のある総合病院にて、助産師として務めたのち、東洋医学を学びはじめる。鍼灸マッサージ専門学校卒業後、結婚、出産、FMT自然整体の勉強、ふたたびの助産師としての勤務を経て、2012年4月、「自然の豊かな場所で子育てをしたい」という思いから、岐阜県郡上八幡へ移住。移住と同時に、自宅にて「郡上もりのこ鍼灸院」を開く。地元を中心にした多くの人々の健康相談にのっている。

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マーマーなリレーエッセイ

#35 わたしの手帖インタビュー7

 

『甘い、甘い、甘くて甘い』のこと

 

いよいよ12月ですね。

年末の声が聞こえると、気持ちがざわざわして、

ちょっぴり焦ってきますが、

そんなときは「旧暦だとまだ秋だ〜」と思うと、

ちょっと気が楽になるかもしれません。

――というお話が『わたしの手帖2018』の1月の

「季節のみれいメモ」に載っています!

すでにお持ちの方は見てみてくださいね。

 

『わたしの手帖2018』、発売からまだ1か月たっていないのですが、

なんと!

mmbsでも版元としても(書店さん用も)完売いたしました!!

まだ購入していないという方、

手帖、日めくりッカレンダー お取扱店」には

まだ在庫がある可能性がありますので、

ぜひ、覗いてみてください。

お取り扱い店リストはこちらです。

 

さて、今週のインタビューは、

『わたしの手帖』の姉妹品、ポケットマーマー(ポケマ―)シリーズの新作、

『甘い、甘い、甘くて甘い』のお話です。

#28 わたしの手帖2018 第5回」でも

みれいさんがお話しているので

まだ読んでいない方は、こちらも読んでみてくださいね。

 

***

 

◎『甘い、甘い、甘くて甘い』の原点は……

 

 

野田 『甘い、甘い、甘くて甘い』、もしかしたら最初に出たときのことをご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

服部 2011年のことですからね。あらためて説明すると、当時、カウブックスのリトルプレスフェアに出展することになって、そのときに限定1000部でつくった詩集なんです。

 

野田 1000部って、個人的に出すにしてはすごい数ですよね。

 

服部 そうそう。普通は100部でも多いくらいなんです。

 

野田 しかも、ちゃんとデザインして、印刷所で刷って……。

 

服部 その前の年もリトルプレスフェアに出展したんですけど、そのときは手描きのオラクルカードをつくったんです。かわいい箱も用意して、リボンをかけて。オール手づくり。

 

野田 すごいレア! わー、それ、見てみたかったです。

 

服部 自分で言うのもなんですけど、すっごくかわいかった! おかげさまですぐに完売してしまいまして……。1年目はそんなふうに完全手づくりだったので、2年目は、せっかくだから本格的につくることにしたんです。『わたしの手帖』のデザイナーでもある中島基文さんに装丁をお願いしたら、とってもすてきな詩集になって。結局、1000部刷ったのに、すぐに売り切れになりました。

 

野田 この頃、ちょうど『あたらしい自分になる手帖』もつくっていた時期で、よく事務所にお伺いしていたから、わたしもできたての『甘い』を拝見しているんです。さりげない佇まいがほんとうにすてきで、「これは持っておきたくなるな」と思ったのを覚えています。だから、今回このポケマーシリーズで復刊できるのが、とってもうれしかったです。もう一度中島さんにデザインをお願いしましたが、サイズが変わっても、元本の雰囲気は色濃く残っていますよね。

 

服部 はい、元本を見たことがない、という方も、このポケマ―で、雰囲気を感じ取っていただけるのでは、と思います!

 

 

◎詩は、無意識の世界からすくいあげたことばたち

 

 

服部 ここに載っている詩は、今読むと、ちょっと気恥ずかしくもあって(笑)。なんか「女の子」って感じがすごいですよね。

 

野田 むっちゃガーリーでした。東京に住んでいる女の子の姿が浮かびました。

 

服部 そう、都市の女の子。ちょっとパンクが好きで、おっさんたちにはわかるまい、みたいなノリがあって(笑)。今のわたしだと書けない詩がけっこうあります。でも、そういう「少女性」みたいなものって、多くの女性の根底にある部分だし、『マーマー』の世界観が好きな方には、気に入っていただけるんじゃないかな、と思っています。

 

野田 詩は、まったくの門外漢なので評論などはできないんですが。わたし、この間、テレビでドラマを見ていたら、登場人物が坂本九さんの『涙くんさよなら』を歌っていて、なぜだか涙が出てきたんですよね。その後にたまたまこの『甘い』のゲラを読んでいて、「牧歌的な音楽」という詩に、同じ話が出てきて、びっくりしまして。そのときに、「詩っておもしろいな」と思ったんです。

 

服部 そうそう。シンクロする感じ……わかります?

 

野田 こころのどこかに漂っていたことばとか、そのとき感じた何かに、思いがけず再会したというか……なんか、こんなふうにワープできるんだな、と思いました。

 

服部 そうなんですよ。わたしも、決して、詩人としてメインで活動しているわけじゃないんですけど、潜在意識に一度にもぐる感じが詩はすごいと思う。

 

野田 『だからもう はい、すきですという』という詩集まで出されているのに!

 

服部 もちろん、そうなんですが、わたしのメインの活動は文章を書いたり、編集の仕事をすることなので、詩は、「フレンチのシェフがときどきつくる和食」みたいな感じなんですよね。でも、わたしにとってはその和食も、ほんとうに大事なものなんです。

 

野田 メインの活動ではできないことが可能になる、ということですか?

 

服部 そうですね、詩は、ふだん言語化できない部分をことばにするものだから、無意識下のことを表現しやすいんです。だからこそ、野田さんが体験したようなシンクロが起こったりするんだと思うんですよね。

 

野田 こころの奥を覗かれたような、すごく不思議な感覚でした。いろいろな鑑賞方法があると思うんですけど、わたしにとっては、「詩を読むぞ!」と構えるよりも、いろいろなことばが載っていて、突然、心に刺さる瞬間があったりするもの、という感覚で読むほうが、たのしめるのかなって。

 

服部 そうそう。そうなんです。パラパラッと開いて、そのことばを感じるみたいな読み方がいいと思います。わたしも詩集って、最初からきちんと読むということはないかも。どんなにすばらしい詩人が書いた詩集でも“とてつもなく好きな詩”って1つか2つだったりもします。でも、それでもいいと思うし、読むタイミングによっても「いいな」と思うことばは変わったりするから、たびたび開いてみると発見があるかもしれませんね。

 

野田 わからなければいけない、という思い込みがプレッシャーとなって、苦手意識を持ってしまっている方もいそうですよね。

 

服部 あとは、先ほどもいいましたが詩ってほんとうに無意識にふれるものというか、小説よりも、もっと深い鉱脈から来るもので。だからみんな、ちょっと恥ずかしく感じたりとか、抵抗を感じたりするのかもしれません。

 

野田 ああ、それはなんとなくわかります。

 

服部 でも、わたしの中では、無意識のあそびみたいな感じなんですよね。

 

野田 それが、読み手の側の無意識とつながるときに、おもしろさが生まれる、ということなのかもしれませんね。

 

 

◎ことばを、もっともっとたのしんで!

 

 

服部 わたしは数年前から、ジワジワ詩がキテるんじゃないかなって思っているんです。

 

野田 実際、『マーマーマガジン』も『まぁまぁマガジン』にリニューアルして、詩とインタビューの雑誌になりましたよね。

 

服部 最果タヒさんのように、あたらしい詩人の方も出てきていますし、川上未映子さんが責任編集した『早稲田文学増刊 女性号』にも力のある詩がたくさん載っていて、勢いを感じました。実際、3.11以降、詩集がとても売れるようになったという話も聞きます。

 

野田 そうなんですか?

 

服部 確実に、詩的なものを読みたいという機運は高まっていると思います。人がそういうことばを欲しているというか。1950年代〜60年代のアメリカでは、ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグといった詩人が人気で、ポエトリーリーディングがとても流行したんですけど、その時期って、ベトナム戦争があったりして、社会不安も高まっていた時代なんですよね。やっぱり生きるのがとても大変な時代ほど、詩のようなことばの世界が必要とされる傾向はあると思います。

 

野田 この手帖インタビューの1回目でも、これから数年は社会の変動期というお話をされていましたけど、そういう時代だからこそ、ことばに力をもらいたい、というムードはあるかもしれませんね。

 

服部 2015年と2016年、愛知県で開催された「森、道、市場」というフェスで、アイルランドの音楽にのせて、即興でつくった詩を読むポエトリーリーディングを行ったんですが、とってもたくさんの人が集まってくれたんです。わたしの詩とアイルランドの音楽の相性がよかったみたいで、すごく盛り上がりました。

 

野田 ポエトリーリーディングだと、ライブ感も相まって、また違ったことばとの出合いがありそうですね。

 

服部 そんなふうに、もっとみんなことばであそんでいいと思うんです。だから詩を書くということ自体も気軽になったらいいですよね。あまり「詩とはこういうもの」とか難しく考えずに。だって、すでにみんなTwitterとかInstagramにことばを添えたりしているわけだし、それが詩みたいになっている人もいませんか?

 

野田 ハッシュタグが詩みたいな人、いますよね〜。

 

服部 あと、あいかわらずラップも人気ですよね。詩的なことばがあちこちにあって、それが詩というかたちを取っていなくても、実際は詩である、という場合も、けっこうあると思うんです。それなのに、詩に対して斜に構えて「詩人とか名乗っちゃいますか?」みたいに茶化したり、逆に何かにとらわれて「こんなのは詩ではない」と断じたり、そういうのはバカバカしいな、と思っています。暮らしの中にすでに詩はある。

 

野田 あー、逆にわたしは詩について知識ゼロだから、「詩はこういうもの」というイメージもなくて。ラップでいうところの「韻を踏む」みたいなお話ですか?

 

服部 もちろんすぐれた詩というものはありますけど、基本的には自由に書くのがいいと思います。ラップだって、ここ数年は、韻を踏まないものも人気みたいですよ。

 

野田 え、そうなんですか? 夫がラップバトルのテレビ番組が好きなので、けんかするときにわたしもラップで言ってみようと思って、一生懸命韻を踏む練習していました。実際にけんかの場では、全然うまく言えなかったですが(笑)。

 

服部 わたしも家で冷えとりラップ、やってます! 「絹綿絹綿」とか、「重ねてるかYO」みたいな。くだらなさすぎていうのも申しわけないんですが…。

 

野田 (笑)! たのしい! まあ、超余談になってしまいましたが、それぐらい、みんな気軽にことばであそべるといいですよね。実は、詩について知らないことが多すぎて、今回、感想を言うのも勇気がいったのですが、素直にことばを感じたり、発したりするところからはじめるのがよさそうですね。それが創造性を発揮させるきっかけにもなるかもしれませんし。

 

服部 はい、ここではことばにフォーカスをあててお話しましたが、やっぱり一番大切にしたいのは創造性なんですよね。その方法のひとつとして、「詩」という選択肢もある、ということです。

 

 

◎創造性の出口はいろいろ

 

服部 わたし、写真は詩と非常に重なる部分があると思っているんです。だから詩の雑誌をつくろうと思ったときに、写真を勉強したら詩がうまくなるかな、と思って、2014年に青山ブックセンター本店で行われたホンマタカシさんの写真教室に行ったんです。

 

野田 それ、すごくおもしろいお話ですね。

 

服部 無意識下のものを見る、という点においては、写真芸術がやろうとしていることと、詩がやろうとしていることはすごく近いと思うんですよね。だから写真と詩を同時に表現するのは本当にむずかしいなぁとあらためて思っています。

 

野田 メッセージ性の強いことばが添えられた写真集とかポスターってありますね。

 

服部 空の写真に「さあ、生きよう」みたいな。そういうときは、ことばか写真、どちらかひとつでいいんじゃないかと思うくらい、写真っていうのは詩と重なる部分があると思っています。ただ、わたしは写真にコンプレックスがあって、すごく好きなのに苦手なんですよね。

 

野田 そうなんですか? 全然そうは感じないですけど。

 

服部 詩の雑誌をつくることとともにもちろん写真への理解を深めたくて教室に通ったんですが、どうしても自分の写真にどんくささを感じてしまうんです。わたしの中でもっと撮りたい精度っていうのがあるんですけど、自分がそれに追いつけない。写真に必要な運動神経のよさがない。だから、わたしはどっちかというとことば向きなんだと思っています。ことばの速度のほうが自分と合っている。

 

野田 詩のほうが、無意識に追いつける、ということですね。それを考えると、みなさんも各々得意ジャンルというのがあるのかもしれませんね。

 

服部 詩や写真以外にも、無意識下のものを表面にすくいあげる方法は、たくさんあります。絵だってダンスだって、俳句だってあるし、音楽も各種ある。料理でもいいですよね。いろいろな世界があるから、その出口を見つけてほしいですね。プロになろうとか、うまくやろうとか、そういうことじゃなくて、自分自身を表現する体験を味わってほしいです。もっと自分の人生を芸術にしてほしい。わたし自身もそうありたいと思っています。

 

***

 

「詩」というと、自分から遠いもののように感じる方も

いらっしゃるかもしれませんが

(わたし自身がそうでした!)

もっともっと、自由にたのしめるのかな?と

思っていただけたらうれしいです。

 

ポケマ―版『甘い、甘い、甘くて甘い』、

手帖や洋服のポケットにすっぽり入るサイズでかわいいですし、

お値段もとってもお手頃なので、

気軽に詩に親しむきっかけになればと思います。

 

表の表紙もかわいいんですが、裏の表紙も素敵なんですよ。

『わたしの手帖』の表紙側に挟むと表側が、

裏表紙側に挟むと裏側が見えるようになっています。

 

 

もちろん、服のポケットに入れて持ち歩いても。

(まさにポケット詩集!)

大好きなことばは、ときにはお守りのように

みなさんのこころを守ってくれるかもしれません。

 

(野田りえ)



マーマーなリレーエッセイ

#34 わたしの手帖インタビュー6
毎週木曜更新!

付録編とローカリゼーションのはなし

 

『わたしの手帖2018』、発売から2週間以上が過ぎました。

12月はじまりの手帖なので、

いよいよ使いはじめるという方もいらっしゃいますよね。

 

ときどき、毎年この手帖を使ってくださっている方から、

12月は今年の手帖を使い続けるほうがいいのか、

それとも来年の手帖を使い始めるほうがいいのか、

という質問をいただくことがあるのですが、

答えは……「直感で決める!」……です。

正解がなくてすみません。

 

でも、ずっと愛用してきた2017年の手帖で

そのまま締めくくるのもすてきですし、

早めに2018年に意識を切り替えるのも、もちろんアリ!

どちらにしても、手帖を切り替えるタイミングで

今まで使ってきた手帖とともに、

2017年のふりかえりをしてみてくださいね。

(何れにしても、両方の12月のエッセイとワークを

おたのしみいただけたらうれしいです!

 

早くも売り切れになったお店も出てきていますし、

とにかく今年は追加注文が多いです!

年内には完売しそうない勢い……。

『わたしの手帖2018』のご購入を検討されている方は、

お早めに「手帖、日めくりッカレンダー お取扱店」へ。

また、「マーマーなブックス アンド ソックス」でも、

絶賛発売中です!

 

では、まだまだ続く、手帖インタビュー、

今日は黄色の付録編のお話です。

 

***

 

 

◎付録編がコンパクトになった理由

 

 

野田 読み物が充実した『わたしの手帖2018』ですが、同時に、手帖を使う方が気づきや考えたことなどをたくさん綴ることができるように、書き込み欄を増やしました(くわしくは #26 わたしの手帖2018 第3回 へ)。

 

服部 毎月、アファメーションやふりかえりをたっぷり書き込めるし、ワークの答えもメモしやすくなりましたよね。

 

野田 そうなんです。外出先でも気軽にワークができるのは、便利ですよね! ただ、そうやって書き込み欄を増やすと、あらたな問題が出てきまして……。ページ数が増えると、手帖が重くなったりかさばったりして、「片手にすっとおさまるコンパクトさ」がなくなってしまうんです。

 

服部 そうなんですよね……。

 

野田 どうするか悩んだ末、みなさんが使いやすいように、手帖の自由記入スペースを増やす代わりに、付録編を薄くすることにしました。特に大幅なカットとなったのが、全国の自然派のお店を紹介する、「こころとからだを支えるイエローページ」だったんです。

 

服部 一生懸命セレクトしたリストだったので、残念ではあるんですが、今はインターネットなどでも調べていただけますしね。

 

野田 そうですよね……。手帖のサイズ自体は変わっていないので、あのイエローページを持ち歩きたい! という方は、2017年版の付録編をまた使う、ということもできるとは思います。

 

服部 はい、ちょっと手帖が分厚くなりますが、そういう手もありますよね。ただ、お店の情報は2016年に調べたものなので、最新情報は個別にご確認いただくほうが安心かもしれません。

 

 

◎ブックガイドに込めた思い

 

 

野田 そんなふうにコンパクトになった付録編ですが、一方で、拡充したコーナーもあります。「わたしと出合うためのブックガイド」を大幅に見直して、3ページから5ページに増やしました!

 

服部 そうですね。『マーマーマガジン フォーメン』の最新号で、中島正さんという思想家の方の追悼特集として、「みの虫生活のすすめ」特集を組みましましたが、そういった「古くてあたらしい」価値観や生き方をみなさんに知っていただきたいな、という思いを込めてブックリストを追加しました。

 

野田 たしかに、最新のマーマーの空気も反映されたブックリストになっていますよね。初期マーマーでテーマとなっていた、自分のからだやたましいの浄化から、最近の農的な暮らしまで、幅広くなっています。マーマー的な世界観の入門ガイドにもなっているというか。

 

服部 よくマーマーでは「古くてあたらしい価値観」ということばを使いますが、本を通して、それを知っていただけるといいな、と思います。

 

野田 男女問わず読めるような、選書になっていますね。

 

服部 そうですね。今は男性の意識も変わってきていますし、移住を考えたり、都会にいるけれど自然と共にある暮らしも取り入れたい、と考えている方も多いと思うんです。そういう方にも参考になる本が集まっています。

 

野田 このブックガイドが充実することで、付録編がより濃くなりましたね。

 

服部 本当に! より自立的な生き方を提案する内容になっていますよね。

 

野田 「自立」ってしっくりくることばですね。冷えとり健康法のようなセルフケアは、薬などに過度に依存せず、自分の自己治癒力を高め、からだをたくましくするということだし、移住も、都市や消費社会に過度に依存しすぎない生き方の提案のひとつですよね。

 

服部 そう、この手帖の裏テーマは「自立」なんです!

 

野田 自立して「わたし」本位で生きるための知恵が詰まっている、ということですね。

 

 

◎ローカリゼーションに注目!

 

 

野田 この付録編で、大きな特色となっているのが、岐阜や美濃市の情報が充実していることですよね。

 

服部 実際、「どうして?」と聞かれることもあるのですが……もちろんマーマーマガジンの編集部が2年半前に美濃に移住したのが一番のきっかけで、読者のみなさんに興味をもっていただいたり、ぜひあそびにきていただきたいなという思いがあります。ただ、こういった編集部の動きを通して、ご自分自身の「ローカリゼーション」というものにも目を向けていただけたらな、と。

 

野田 ローカリゼーションって、ときどき聞くことばですが、「地域化」という意味ですよね?

 

服部 そう、グローバリゼーションの逆の意味で、「地域」というちいさな規模の文化などをもっと見直そう、ということですね。

 

野田 その表現の一環として、「美濃」に注目している、ということですか?

 

服部 はい、もちろん美濃や岐阜をアピールしたいという気持ちもありますが、それだけではなくて、みなさんご自身のルーツや、ゆかりのある地域にも注目してもらいたいという気持ちが強いんです。みなさんにも、住んでいる場所とか、故郷とか、あるいは旅行で訪れてご縁ができた土地とか……そういう場所が国内外問わずあると思うんですが、そういった「地域」での暮らしを、それぞれみなさんが大切にするといいのかな、と思うんです。自分の中の「都市化」を少し緩める、みたいなイメージです。

 

野田 そういうメッセージを発信できるのは、地方にある出版社ならでは、という気がします。

 

服部 まあ! ありがとうございます。まだまだな部分もあるのですが、ローカリゼーションへの動きはマーマーマガジンらしさだと思いますし、こういった動きが増えたら、おもしろい状況がおのずと生まれそうですよね。佐渡に住んでいる人が、佐渡のことを徹底的に紹介するとか、フィンランドのある村を好きな人が、そこについて発信するとか。そういった多様性がすごくおもしろい時代ですし、都会的な情報に一極集中しなくてもいいのかな、と。単純に、人が移動するだけでも、充分、おもしろい。一極集中ではなくて、もっとみんなが散らばったらおもしろいと思っています。

 

野田 ナガオカケンメイさん主宰のD&DEPARTMENTが発行している『d design travel』という雑誌が、47都道府県に焦点をあてていて、おもしろいですよね。

 

服部 おもしろいですよね。ナガオカケンメイさんは、地域のすぐれたものを、本当にすばらしいセンスで発掘し、再評価されていて、本当にすごいなあと思っています。

 

野田 ガイドブック的な意味でも参考になるんですけど、読みごたえもしっかりあって。観光名所をとおりいっぺんになぞるのではなく、その土地の個性を見つめる視点がいいな、と思います。

 

服部 あのまなざしが、この日本のある部分の最新の気分を表していると思います。わたしもとっても共感しながら読んでいます。

 

野田 同じような気分で自分の地域を歩いてみたら、たのしそうですね。

 

服部 新鮮な気持ちで見てみると、「あれ? これ、けっこういいな」と見直すことも出てきそうですよね。地域へのリテラシーが高まる。うちの編集部には、芸術やものづくりのお仕事に携わっている方がいらっしゃることも多いんですが、ああいった方々が美濃の町を散歩すると、そういう隠れたかっこいいもの、かわいいものを発掘してきてくれたりするんです。

 

野田 違う場所から来た人が見つけられるおもしろさ、というものもありますよね。

 

服部 「海外の観光客から見た日本」みたいな視点ですよね。その視点を自分の町に向けてみたら、新鮮な発見がいっぱいあると思います。こんないいところがあった、とか。入ったことのないお店がすごくいいお店だった、とか。実はこんな特産品を収穫できる、とか。

 

野田 東京にも、意外に畑が残っていたりしますよね。わたしもこの前、三鷹市で穫れたキウイをいただいて、こんな特産品があるんだ、と気づいたりしました。ちゃんと地域の個性があるのに、目を向けていないだけだったりして。

 

服部 そうそう。東京だって、「ローカリゼーション」的な視点で見ると、あらたな発見があるはずなんです。たとえば東京の練馬に住んでいても、実際に読んでいるのは、どこでも買えるようなものの情報だったりしますよね。それよりもっと「練馬」に着目してみては? ということです。

 

野田 そうですね、東京でも近所の神社とかお祭りを調べてみたら、実は古い歴史があったりするかもしれないですよね。

 

服部 さらにはその視点を自分自身にも向けてみると、とってもおもしろいことになると思います。

 

野田 なるほど……! 自分自身って、究極のローカルですね(笑)

 

服部 あはは。本当にそうですね。自分のことって、いちばんよくわからないものですよね。自分のもち味はこういうところで、こういう部分が人の役に立つんだな、とか。グローバルからローカルへ、そこからさらに個人へ。時代はそういう方向へ向かっていると思います。

 

***

 

今回は、ブックガイドやローカリゼーションの

お話が中心になりましたが、

ほかにも、付録編には、

冷えとり健康法やホ・オポノポノなど、

こころやからだ、たましいをクリーニングする方法をご紹介した

「浄化のためのホリスティックガイド」や、

思いもよらぬピンチのときに、元気を取り戻すための

「こころをたくましくする12のことば」など、

いろいろなコンテンツが詰まっています。

 

 

 

◎おまけ

そろそろ紅葉も散りはじめてきましたね。

すでに2018年版の手帖をお持ちの方は、

2018年11月の石田紀佳さんのエッセイコーナーに

落ち葉のたのしみ方が載っているので

ぜひ、見てみてくださいね。

 

つづく

(野田りえ)



マーマーなリレーエッセイ

#33 わたしの手帖インタビュー5
毎週木曜更新!

旧暦や七十二候と、自然のリズムのはなし

 

『わたしの手帖2018』、現在、絶賛!好評発売中です!

近くの本屋さんで売っている様子を、毎日見に行っているのですが(笑)、

どちらの色も順調に売れているようで、

うれしさに胸がいっぱいになっております。

 

品薄になってきているお店もあるようなので、

手帖、日めくりッカレンダー お取扱店」に

お早めに行ってみてくださいね。

マーマーなブックス アンド ソックス」も、

ぜひ、覗いてみてください。

 

さて、いよいよ秋も深まって、

各地で紅葉のお知らせが聞こえてきますね。

本屋さんの帰りなどに、わたしがときどき立ち寄るのは

大きなけやきがある公園。

 

 

少しずつ葉が色づく様子を見ながら、

『わたしの手帖』を開いてみると、

何かヒントやメッセージが受け取れるかも。

今回は、手帖に詰まっている自然の知恵のお話です。

 

***

 

◎自然のリズムに寄り添えば、最小限の力で最大のことができる

 

野田 前回の「なんでこんなに余裕がないんだろう問題」の話を、まだ引きずっているんですが。わたし、会社を辞めてフリーランスになってから痛切に感じるのが、自分の時間を確保する難しさで……。

 

服部 そうそう。実は、フリーランスって自由じゃない側面がありますよね。仕事がしたいから、オーダーをどんどん引き受けてしまうし。

 

野田 そうなんですよね。しかもなかなか予定通りにいかなくて、忙しい時期が重なってしまったり……。自分だけでは調整できないこともあるので、本当に難しいです。昼夜を問わず働いて何とかするしかない、と思うんですけど、それでもうまくいかないこともあって。ハードなお仕事をされている方や、子育てや介護をされている方など、時間がないという悩みを抱えている方は多そうですよね。

 

服部 わたしもフリーランスのときはそうでした。どんどん働き詰めになっちゃいますよね。実は、それが、冷えとり健康法や瞑想をはじめたきっかけでもあるんです。

 

野田 ええ! そうなんですか?

 

服部 はい。ある時、もうシンクロニシティを起こすしかない、と思ったんです。日程調整って、タイミングが大事だったりしますよね。これは少しスピリチュアルなお話ですけど、わたし自身が調和的になっていれば、必ず外側の世界、外側からくるものも調和的になるはず、と考えたんです。限られた時間の中で、いかに合理的に動くか、ということを考えると、運のよさ、感のよさみたいなものがすごく大事になってくるんですね。

 

野田 奇跡みたいなことが起こる、ということでしょうか。

 

服部 たとえば、仕事がいくつも重なって大変なときに、タイミングよく助けてくれる人が現われたり、必要な知恵に出合えたりする、ということです。実際に瞑想などをやっていると自分をよい状態に保つことができ、最小限の力で、無理なくスムーズに、最大のことができるという体験が増えていくんです。話だけ聞くと不思議な感じがするかもしれませんが、自然界を見ると、もともとそういうしくみになっていることがわかるはずです。たとえば植物の種なんて、すごくちっちゃいけど、そこからものすごいことが起こるでしょう?

 

野田 確かに。何十倍もの大きさになって、最後には実がなりますね。

 

服部 自然は特になんでもそう。壮大なシンクロニシティの宝庫みたいな世界なんです。そこに学ぶことは多いですし、わたしたち人間も自然の一部。自然界の法則を知り活かすことで、自然を見方にし調和の波に乗ることができます。

 

野田 今回の手帖では、旧暦や七十二候にクローズアップして、季節の知恵を提案するコーナーを設けたり、七十二候がひと目でわかるようにマンスリーカレンダーを変えたりしてきましたが、これもまた、自然のシンクロニシティを体感するためのものなんでしょうか?

 

 

服部 まさにそうなんです! 自然界って、最小のものから最大のものを得られる世界なんですよね。そのスムーズさを体感するためにも、旧暦や七十二候、月の満ち欠けを意識するというのは、ほんとういいことだと思います。時間がなかったりして、冷えとり健康法や瞑想に取り組むのは難しいという方でも、暦を意識することはできますよね。何より、頭で考えなくても、からだはすでに知っているんです。月の満ち欠けが女性のからだに影響を与えている、という話は有名ですよね。

 

野田 よく、月の満ち欠けの周期とと生理の周期が重なるっていいますよね。

 

服部 そうそう。お産もが満月や新月の日に集中する、という話も聞きますよね。同じように、からだは季節の移り変わりも体感しているんです。

 

野田 そういえば、整体の先生が、春になるとからだが毒素を排出しようとするから、くしゃみや鼻水が出るんだといっていました。これはまさに自然とからだのリズムが一致している、ということですよね。

 

服部 わたしも美濃で暮らすようになってから、よりいっそう山や川、空、土……そういうものの変化を感じるようになったんですが、自然を感じて生きると、ほんとうにからだもこころも元気になるのを感じます。生活にも余裕ができてたのしいですし。

 

野田 都会に住んでいる人も、七十二候を手がかりにすると、自然を感じることができそうですね。

 

服部 七十二候は「もみじが色づきはじめる」とか「つばめがやってくる」とか、そういう自然の変化を伝える言葉なので、たとえ都会の満員電車の中でも、それを見ることで、自然を意識することはできますよね。それによって、必ず自分にとっての「自然」への意識がもっと増えるはず。みなさんには、季節や自然を感じて、「スムーズにうまくいく」っていう体験をもっともっとしていただきたいんです。自然のリズムに乗ることができれば、運もきっとよくなるし、物事もスムーズになると思います。

 

 

野田 前回のお話に戻すと、そうやって自然の力を味方にできると、自分の創造性も発揮しやすくなる、ということなんですね。

 

服部 そういうことです! エッセイやワークを通じて自分を深く知るということ、暦の知恵を借りて自然のリズムに乗るということ。それらはすべて、自分らしさ=クリエイティビティの発揮につながってくるはずです。

 

 

◎ことばを味方につけて

 

野田 2018年版の手帖にも収録している「服部みれいのことば」は、実は「毎月のエッセイ」に次ぐ人気コーナーなんですよね。

 

 

服部 ウィークリーカレンダーのページに入っているコーナーですね。

 

野田 はい、みれいさんの著作やメルマガ、ブログから言葉を選んで載せているんですが、これも、季節とのリンクを少し意識しながら選んでいるんです。12月は忘年会などで胃が疲れているだろうから、食に関することばを入れよう、とか、2月は冷え込むから足湯の話を入れよう、とか。

 

服部 ここでも、何かヒントになることばが見つかるといいです!

 

野田 あとは「毎月のエッセイ」のテーマとのつながりを考えて、選んだことばもありますね。

 

服部 ね! だから、いっしょに読むことで、毎月のワークの強度が増すという効果もあるかもしれませんね。もちろん、パッとページを開いてみて、そこからメッセージを受け取る、というたのしみかたもあるので、そこは気分に合わせて選んでいただければと思います。

 

野田 今回は、わたしがことばのセレクトを担当したんです。

 

服部 どうでしたか? 選んでみて。

 

野田 たのしかったです! 何度も読んだ本でも、読むたびにハッとすることばって、違っているんですよね。最近、みれいさんの本や「マーマーマガジン」と出合った方と、以前からのファンの方、どちらにとっても発見があるといいな、と思っています。

 

服部 最新のブログやメルマガからも、けっこうたくさんことばを引用していますよね。

 

野田 やっぱり最近のみれいさんの気分を反映させたい、という気持ちもあったので。そこで気になったことばがあれば、ぜひ、みれいさんのブログのほうもを読み返していただければ、うれしいです。

 

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今回のお話、いかがでしたでしょうか。

「限られた時間の中で、いかに合理的に動くか」というテーマは

わたしにとっても切実な問題なので、

はっとさせられることばがたくさんありました。

 

みなさんにも、ぜひ、この手帖をヒントに、

「季節や自然を感じて、自然のリズムに乗る」

という感覚を味わっていただきたいと思います!

(野田りえ)



マーマーなリレーエッセイ

#32 わたしの手帖インタビュー4
毎週木曜更新!

2018年の手帖のテーマについて

 

『わたしの手帖2018』、11月11日より、いよいよ発売となりました!!

 

 

「到着しました」の声も、続々届いております!

おかげさまで手帖も、そして姉妹品の日めくりカレンダーも好評で、

早くも売り切れが出ているお店もあるとか。

お待ちくださっていた方がいらっしゃると思うと、本当にうれしいです。

 

実際に手帖を見てご検討したい方は、

手帖、日めくりッカレンダー お取扱店」で

早めにご覧いただけると安心かもしれません。

 

さて、『わたしの手帖2018』インタビューもいよいよ佳境、

ぐっと深いお話に入っていきます。

 

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◎2018年のカギを握るのは、創造性

 

 

服部 手づくりカバーの話で盛り上がりましたが、これは、実は今年の手帖のエッセイで伝えたいこととも関わっているんです。

 

野田 今年の大テーマ、「創造性」ですね。

 

服部 はい。手帖のカバーの色のときにもお話しましたが、2018年は大きな変わり目の最中で、きっと大変だなと感じることもあるだろうな、と思うんです。そんな2018年を元気に生きていくためには、「創造性」が大きなポイントになる気がしています。自分の手帖カバーを自分で縫う、といったこともそのひとつで、ものづくりに関わるとか、今までなかったような発想で、創造的にものごとを行うとか、「消費するより生産する」ということ。それに一生懸命取り組んでいたら、きつい時期も乗り越えられると考えています。

 

野田 創造性については、手帖の冒頭のエッセイ「わたしの手帖2018のこと」にも書かれていましたね。確かに、うまく言えないですけど、やっぱり社会全体にも、個人にも、疲弊感のようなものは広がっている気がします。

 

服部 ある側面を見れば大変な時代だと思います。経済的なことだけでなく、社会全体に閉塞感があって……。正直、思想統制、言論の自由への妨害もはっきりあると感じられるような場面もある。何かあるとバッシングが酷いですし、みんながどこか意地悪な視点になっているというか……。思い切った大胆なことをしづらい感じもします。

 

野田 ああ、それはすごくわかります。自分には直接関係ないことでも、制裁を加える傾向というか……まあ、昔は井戸端会議で話していたようなことを、SNSなどで発信すると目立って見える、ということなのかもしれませんけど。

 

服部 たぶん、今、自分が不安定だったり、先が見えなかったりすることを、何かを批判することで紛らわせる、という風潮はあるのかもしれませんね。もちろん、誰しもそういうもやもやした気分になることはありますよね。でも、そういうときにひとりひとりがクリエイティブな方向に向かったらすてきだな、と思うんです。「なんかつまんないな」とか「大変だな」とか、閉塞感を覚えたときに、自分の内なる創造性に向かうのが健全な気がする。

 

野田 今は、絶対的な安定なんてないですから、先が見えない状態っていうのは、多かれ少なかれ、みんな感じていることかもしれませんね。

 

服部 たとえば、フリーランスで働いていて、仕事が全然ないとしても、そのときに愚痴るとか、焦るだけじゃなくて、たとえばですが絵を描きはじめるとか、自分の小説を書きはじめるとか、そういう方向に向かうといいのかな、と思うんです。ガーデニングにトライするとか、料理に凝ってみるとか、何か自分が喜ぶようなことをするのもいいですよね。

 

野田 「クリエイティブ」って聞くと、「わたしは才能がないから……」みたいに思ってしまいがちですけど、身近なことでもいいんですね。

 

服部 そうです、そうです! 仕事や家事を自分らしく工夫するのだって、クリエイティブなことですよね。育児だってクリエイティビティにあふれていますよね。

 

野田 みれいさんは、2018年、どんなことをしたいですか?

 

服部 わたしは最近、絵を描こうかなって思いはじめているんです。一度山の絵を描いたらすごくたのしくて、びっくりして。岐阜は山がいっぱいあるから、スケッチしに行こうかなって。あとクラシックピアノも続けています。バッハをひたすら練習したり……。でも、そういう時間が、来年は誰にとっても、大事になる気がしています。

 

 

◎わたしたち、なんでこんなに余裕がないんだろう問題

 

 

野田 聞いているとわくわくして、「すごくたのしそう!」って思うんですけど、じゃあ、わたし自身はなんで今、そういう創造的なことができないんだろう、って考え込んでしまいます。時間がない、というか……。

 

服部 余裕がない、ということかしら?

 

野田 そうですね……気持ちに余裕がないんだと思います。ちょっと余談になりますが、この前、わたし、フランスのパリに行ってきたんですけど、パリって、とっても閉店時間に厳しいんですよ。日本だと、閉店時間でもお店にお客さんがいると「ごゆっくりお買い物くださいね」と言ってもらえたりしますよね。

 

服部 フランスは違う、ということですか?

 

野田 スーツ姿の男性が出てきて、「早くお帰りください」的なムードになって……。ほかにも便利じゃないことはけっこうあるんです。日曜の朝にオーガニック系のスーパーに行って、「今日は何時に閉まりますか?」って聞いたら「お昼には閉店する」って言われました。「え? スーパーなのに?」って思ったんですけど、でも、逆に働いている人の立場で考えてみると、これはいいことなんだろうな、とも思ったんです。

 

服部 実は、そうなんですよね。

 

野田 自分の何か大事なものを守るために、境界線をつくっているのかなあ、と。

 

服部 フランスの人はそういうことがきっととても上手ですよね。実は、わたしが住んでいる美濃の人もうまいんです。うちの近くに、野菜を売っているお店があるんですけど、そこはなんと、午後の3時半に閉店なんですよ。

 

野田 え! 早い(笑)。せめて夕方までやってほしい、と思ってしまいそう。

 

服部 しかもまだ間に合うだろうと思って、閉店ギリギリの3時15分に行くと、もう閉まっていたりします(笑)。中に店員さんがいるのが見えて、外から「入れて!」といっても入れてもらえない(笑)。ここはパリなんです。日曜日休みのお店もいっぱいあります。

 

野田 確かにパリっぽい(笑)。

 

服部 でしょ(笑)。食事する場所だと「できないメニュー」がたくさんあったりネ。東京とか、都市だとどうしても「お客さん本位」でやるっていうことにみんなが慣れすぎていますよね。そうなると、休みを取れるときに休む、ということになる。美濃の人たちは、まず自分の生活と自分の家族があって、その上でやれることをやり、そこで儲けたもので満足する。そういう印象を受けて、わたしはすごく新鮮だったんです。

 

野田 そういうふうにしないと、いつまでたっても働いちゃいますよね……。

 

服部 そうなんです。その速度が、都市ではコントロールできなくなっている気がします。どんどんどんどんやっちゃう、みたいな感じ。その中でみんながすごく疲れているような気がします。

 

野田 果てのない便利さを求めて、結局、自分の首を絞めちゃう、みたいな。

 

服部 それで、誰も立ち止まれなくなっているのかも。

 

野田 もっと自分個人とか、家族とか、身の回りのことを大切にしていかないと、自分のクリエイティビティを発揮する余裕はなくなっちゃいますね。

 

服部 でも、卵が先か、鶏が先かわからないですけどね。たとえば、絵を描くようになったら、もっと時間の使い方が変わるのかもしれないし。

 

野田 ああ……! 確かに。

 

服部 楽器を習うことにして、平日の夜にその予定を入れることで残業しなくなるとか、先に創造性を軸に行動してみると、自分らしく生きるきっかけにもなるかもしれないですよね。

 

野田 自分で「できない」って思い込みすぎているのかもしれませんね。夜に楽器をひける! と思ったら、昼間の仕事は工夫して終わらせよう、という気にもなるし、そうやって仕事のやり方を見直すのも、創造的なことなのかも。

 

服部 「他人軸で動くのをちょっとやめてみない?」ということですね。そこから予想もしていなかったいいことが、どんどん起こるかもしれないですし。美濃化、本気でおすすめです(笑)。

 

 

◎不便さが自分を守る

 

 

野田 このお話、実は、手帖に収録している「毎月のエッセイ」やワークの話ともつながっている気がします。今回、情報断食やデジタルデトックスをする、というワークが出てきますよね。

 

服部 わたし自身、最近、携帯を持つのをやめましたけど、それは自分のペースを守ることにもつながっているんですよね。

 

野田 携帯をやめて、不便なことってありますか?

 

服部 何もないですね。約束したときに、みなさんが遅れずに来てくださるようになりました(笑)。

 

野田 なるほど(笑)。たしかに連絡手段がないと、ちゃんと間に合うように行こうって意識が働きますね。

 

服部 この不便さが、けっこう、自分を守ってくれたりするんですよね。

 

野田 この2018年版には、「自分をよく知る」ためのワークと、周囲に対するアクションが両方入っている印象があるんです。自分を知って、かつ、まわりとの境界線をうまく引きつつ、でも、孤立せずに生きる、という印象を受けました。

 

服部 そうかもしれないですね。ただ境界線を引くのではなく、その結果、生まれた時間で、どんな創造的なことができるか、自分と向きあう時間をつくれるか、大切な人と過ごすことができるか、そういうことを意識しています。「毎月のエッセイ」に関しては、1年間通してやってもらったら、絶対にパワフルになれると思います!

 

野田 そうですね。1年を通して自分のことをよく理解して、周囲とのつきあい方も含め、自分をどう表現するか、じっくり考えることができると思います。

 

服部 もっと自分に集中して、自分が幸福であることに力を注いでいいと思うんですよね。忙しい人ほど特に。そのためには、ある程度、自分を守るための線引きも必要になってくるんだと思います。この手帖のエッセイやワークが、そのことを考えるきっかけになってくれたら、いいですよね。

 

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余談が余談じゃなくなる、そんな今回のお話でした。

来週以降も、このような感じで、

『わたしの手帖』の裏話を続けていきます。

 

わたしたちをとりまく社会のありかたや、

どことなく感じている不安。

そういったものを乗り越えて、生き抜く知恵が

『わたしの手帖』は詰まっています。

 

すでに『わたしの手帖』がお手元に届いた方の中には、

エッセイやワークの部分を

読みはじめている方もいらっしゃるでしょうか?

 

「わたし」を知り、

「わたし」を表現し、

内なる創造性を目覚めさせる。

そんな体験を、この手帖を通して

重ねていただければと思います!

(野田りえ)