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たのしいよみもの

#38 きんいろのアファメーション帖 2
毎週木曜更新!

 

 

みなさん、こんにちは!

2月のリレーエッセイは、

2月16日発売の

きんいろのアファメーション帖』(エムエム・ブックス=刊 390yen+tax)について、ご紹介させていただいております。

 

今回はその第2回。

 

『きんいろのアファメーション帖』には、7つの特徴があります。

 

1 アファメーションの基本のやりかたがわかる!

2 アファメーションのためのアファメーション掲載!(パワフル!)

3 「本心は何?」「願望は何?」質問に答えながら「自分の思い」を抽出!

4 質問のあとに、いよいよアファメーション

5 アファメーション例つきではじめての人にも安心

6 衣食住から、恋愛、人間関係、愛と許しまで20の願望が書ける

7 服部みれいおすすめのアファメーションを公開

 

 

うーむ! 充実の内容です!

 

それでは、この『きんいろのアファメーション帖』、

エムエム・ブックスのスタッフが

ひと足お先に体験いたしましたので、

ぜひ、その体験談をお届けします!

 

20項目めの最初に登場する

「自分自身のこと」「こころのこと」「からだのこと」を

書き込み、アファメーションしたのは、

「エムエム・ブックスみの」のショップスタッフ

Sさんです。

(スタッフに「さん」づけするのも、

すこしおかしなことかもしれないのですが、

文章をつくるうえで、自然に書きたくて、

今回はどうかお許しください)

 

Sさんは、アファメーションに取り組んでみて

 

「まずいろいろな質問に答えることで、

自分の意識がふだんいかに

自分の理想の形や希望に無頓着に過ごしているかに

気づきました。

感情を味わって書くというより

まずは、自分のことを書き出すことにつまづいたのですが、

書き進めるうちに

自分の思いが自然に湧き上がってきたりと

手探りながら楽しく取り組ませていただきました!」

 

 

とのこと。

そう!

うちのスタッフの中でも、

質問に答えるなかで、

「いかに自分や自分の本心と

向き合ってこなかったか」を痛感したという声がありました。

 

さらに質問があることで、

自分のこころをかえりみるいいチャンスになったと……。

 

 

では、さっそく、Sさんの

ノートをのぞいてみたいと思います!

 

 

 

 

質問が5つほどあり、それに答えていくと、

だんだんと自分でも気づいていなかった

よいところ、よくないと思っているところに気づけるという

流れです。

 

しかも、この

よいところ、よくないと思っているところが、

深いところでつながっていることに気づけたり!

 

 

……と!

質問に答えたあとに、

アファメーションします!

 

 

 

 

「私はいつでも私であることに感謝し

大きな安心(感)とともに毎日を過ごします」

「私は初めて会う人とこころが通じ合うような心地よい

コミュニケーションをし、とても楽しい時間を過ごします」

「私は自信に満ち、自分に集中します」

「私のこころはいつでも自由で愛に満ちています」

 

 

わお! ブラボー!

と叫びたくなるような、

あたたかな、アファメーションですね。

 

 

さらに、「からだのこと」では、

こんなふうに、質問に答え、

アファメーションしたそうです。

 

 

 

 

「わたしは夜の食事量を今までよりもすこし減らし、

食事の時間のぶん、あたたかいオフロで

ゆったりと半身浴を楽しみます」

「わたしはワクワクしながらダンスを習い、

体を動かすよろこびを体いっぱいに感じながら過ごせる時間をつくることを

知っています」

などなど……。

 

とっても具体的で、リアルでいいですね。

 

 

なお、Sさんは、

 

「まだ全部はできていないのですが、

続きをまたすすめて、

感情を感じながら、ありありと思い浮かべながら

アファメーションをやるというところまで

できるようになりたいと思いました」

 

とのこと。

うん、すごくいいですね。

アファメーションは、

感情をありありと感じながらやるのが

大きなポイントなんです!

 

さらには、

 

「きんいろのアファメーション帖は

アファメーションが初めてのひとも

得意でないひとも

自分と向き合う機会になり

そのひとそれぞれの

気づきがもたらされるすごい本だと思います!

何度かあたらしい気持ちでチャレンジして、

アファメーションを習慣にできたらとてもすてきです!」

 

 

ですって!

 

うふふ。

 

これは、スタッフだからといって

「やらせ」ではないですよー♪

 

 

 

 

Sさん、どうもありがとう!

 

 

みなさんの参考になったらうれしいです。

 

来週は、「暮らし」のアファメーションについて

挑戦したスタッフの体験談を

ご紹介します!

 

 

どうぞどうぞ、おたのしみに!

 

 

(服部みれい)



たのしいよみもの

#37 きんいろのアファメーション帖 1
毎週木曜更新!

 

 

わたしの手帖 2018』の姉妹品、

ポケマーシリーズ

『きんいろのアファメーション帖』(390yen+tax エムエム・ブックス=刊)が

いよいよ2月16日(旧暦元旦)に!

発売の運びとなりました。

 

手帖をお使いのかたはもちろん!

手帖を使っていないというかたも、

とてもハンディな帳面ですので(「帳面」といいたかった……

最近使わないことばですよね……)

ぜひ、チェックしていただけたらうれしいです。

 

ここから数回にわけて、

この『きんいろのアファメーション帖』について

ご紹介していきたいと思っています!

 

これまで、エムエム・ブックスでは、

わたしノート

わたしのダイアリー』といった

「自分と打ち合わせをする」ための

ノートやダイアリーを、発行してまいりました。

 

おかげさまで、ロングセラーを続け、

『わたしノート』は改訂し続けて、

現在もなお、大人気の商品となっています!

 

 

わたしノート』は、気軽な自分との打ち合わせ用に。

わたしのダイアリー』は、人生の大きな節目のときの

自分との打ち合わせ用であったり、

また年間通して自分としっかり向き合いたいという方のための、

ダイアリーとしてご好評をいただいております!

 

では、今回の

『きんいろのアファメーション帖』は、

これらのノートやダイアリーと

どんな違いがあるのかといいますと……

 

1.アファメーションに超・特化した内容である

2.自分の本心に気づく質問に答えてからアファメーションができる

3.アファメーションの種類が具体的でわかりやすい

 

という違いがあります。

つまり、アファメーション初心者、

アファメーションがあまり得意でなかったかたにも

ぴったりの内容ということなのです!

アファメーションをずっと続けているかたにも

より深い本心や願望を知る機会に

必ずやしていただけると、編集部一同自負しております

(壁どんならぬ、胸どん!)。

 

 

さて!

アファメーションとは、

肯定文を使って、自分の願望を叶えるという方法です。

 

「やせたいなあ! やせたいです!」というのではなく

「わたしはすっきりと軽やかに運動を続け、

気持ちよくやせています」と肯定文をつくり

ノートに書いたり、口に出していうのがアファメーション、

という方法です。

叶えたい願望がすでに叶った状態を、宣言するわけですね(うふふ)。

 

わたし自身、ずっと、このアファメーションを続けていて、

願望が叶うという経験をしています。

(拙著『あたらしい自分になる本』(ちくま文庫)などでも

ご紹介していますので、

ご興味のあるかたは、ぜひチェックしてくださいませ)

 

 

では内容をチラ見していきたいと思います!

 

表紙はこんな感じ!

 

じゃん!

 

 

 

 

現在印刷中ということで、デザインの状態でごめんなさい。

「きんいろの」ということで、本当に金ぴかです!!

デザイン&イラストは、まぁまぁマガジンや『わたしの手帖』を

デザインしてくださっている、

おなじみ中島基文さん。すごくかわいいですね!!

 

中身はというと……

 

 

 

マーマーガール&ボーイに大人気

エミール・クーエのことばからスタート!

 

 

じゃん!

 

 

 

こんなにも! アファ項目がッ!!!

(もちろん全部やってもいいし、やらなくてもいいです)

 

 

 

アファメーションのやりかたもわかりやすく

あらためて、解説しています!

わたしの体験談も……

 

そうしていよいよ

書き込み式ノートがスタートします!

 

 

 

 

自分自身について|こころのこと。

 

これらの質問に答えていって、

そのあとで、いよいよ

アファメーションを行います。

 

 

 

 

うーん、こういった項目が

全部で20!

衣食住、恋愛、人間関係まで、

質問に答えるなかで、

自分がほんとうにどうしたいのかが

気づけるシステム……。

 

 

この帳面、

『わたしの手帖』のスタッフ、

編集者の野田りえさんと一緒につくったのですが、

この質問を入れるというのは

野田さんのアイデア!(さすが!)

そして、つくりながら、わたしたち、

あまりの充実の内容に、

「書籍化したほうがいいんじゃあ……」という

話もするほどでした。

 

でも、日々、気軽にアファメーションしていただきたいからこそ、

これは、ポケマーシリーズでやろうと、

あらためて、思うに至りました。

と、手前味噌ですが、それくらい充実の内容です!

 

 

来週からは、

エムエム・ブックススタッフが

ひと足お先に、この

『きんいろのアファメーション帖』を

体験しまして、

その体験談を掲載させていただこうと思っています!

 

 

どうぞどうぞ、

ご注目くださいませ!

 

 

ではまた来週ー!

 

 

(服部みれい)



たのしいよみもの

#36 風邪の治しかた|加藤祐里

 

郡上もりのこ針灸院の加藤祐里です。

いつも、ありがとうございます。

今回のテーマは「風邪の治しかた」です。

 

風邪をひけるって、ありがたい

そもそも、風邪をひけるって、

とてもありがたいことだと思っています。

がんやうつ病など大病を患うかたにお聴きすると

何年も熱をだしていない、

風邪をひいても薬で止めて

ゆっくりと養生なんてしてこなかったという人がほとんどです。

針灸院に慢性的な肩こりや腰痛、

生理痛で来院されるようなかたも

3か月くらいしたときに、

「何十年ぶりに寝込むくらいの風邪をひいた」

といわれる方がよくいます。

たいていしっかり風邪をひいたあとは

痛みや凝りがすっかりよくなっています。

めったに病気にならないし寝込んだりもしない、

という人よりふだんから

ちょこちょこ不調がある人のほうが

自分の身体の「取り扱い説明書」をよく知っています。

特に「冷え取り健康法」をはじめだすと、

以前よりも寒がりになって、

病むことが多くなったという人も少なくありません。

病弱になったというより、

すごく悪くなる前にからだのサインに

早めに気づけるようになるのでしょう。

これはわたしが経験的に感じてきたことなので

エビデンスはないのですが

たとえば、喉が痛くなりやすい人は

ふだんからいいたいことを我慢したり、

ぐっと感情を抑えて生きてきた人。

涙をこらえるときに唾を飲み込むように

喉や胸の奥のほうにギュッと力をいれますよね?

自分では悲しんでいるつもりはなくても、

小さいころからの我慢癖、

本音をいわない癖というのは「思考」というより、

からだの筋肉の緊張として記憶されます。

風邪のときに喉が痛くなりやすい人は

喉のまわりの筋肉が

とても硬くなっていることが多いのです。

鼻水などは「涙をこらえてきた人」。

もう何年も涙を流して、わぁわぁ泣いていない人。

小さいころに「泣くのはよくない、

お前は泣き虫でみっともない」と

言われて育った方、どうですか?

咳は「息を飲むような」、

緊張するようなできごとが続いたあとや、

喉の痛みよりももっと深い部分の悲しみだったり、

吐き出したい想いをためているとき。

息は飲むのじゃなくて、

吐かないといけない。

コンコンと咳混むことで

胸郭・背中・お腹全体を緩ませています。

38度を超えるような全身の発熱は、

風邪の原因になっているウイルスをやっつけるので、

血液がきれいになります。

熱そのものの効果もありますが、

だるくて起き上がれなくて、

ずっと横になって寝ていることで、

全身の筋肉が緩みます。

いつもがんばりすぎる人、

何年もゆっくり寝ていない人、

人に甘えたり頼ったりするのが苦手な人、

痛み止めを常用してきた人などが

熱を出して寝込めるようになったら、

お赤飯を炊いてあげたいくらいです。

 

風邪を許す

我が家には小学6年生と4年生の息子がいるのですが、

子どもたちが保育園に行っている頃は

毎月のように風邪をひいて、

しょっちゅう病院に行っていました。

小学校にあがると同時に岐阜の田舎に引っ越してきて、

ぱったりと病気にならなくなりました。

わたし自身、外に出て働く仕事から

自宅での仕事に変えたこともあって

「いつでも風邪くらいひいてもいいよ」

という気持ちになれたことが一番だったと思います。

わたし自身も小さいころ母が働いていて

「わたしの体調が悪くなると母に迷惑をかける」

と、そんな思い込みを抱えていました。

大きくなっても風邪をひくことに罪悪感がありました。

わたしは比較的、手がかからない子で、

家事も早いうちにできるようになって、

なるべく早く自立して、

親に迷惑をかけないように

生きていきたいと思っていました。

親とは離れて社会人になってからも、

わたしは「いつも元気で丈夫なキャラ」。

滅多なことでは休みませんでした。

もし風邪をひいても薬で症状を抑えて

「熱さえなければ大丈夫」と、

いくらダルくても寝込むこともありませんでした。

だけど、本当は母にそばにいてほしかったんだな、

迷惑じゃないよっていってほしかったのだと

自分の抱えてきた悲しみに自分で気づけたときに、

風邪をひくわたしを許せるようになったと思います。

 

風邪を治すコツは3つの‘みる’

「風邪で薬を飲むのはよくない、

だから何もしないで放っておけばいい」というわけでなくて、

流行りはじめの時期、ひきはじめ、

油断しがちな治りかけのときの過ごし方は大切です。

一番は風邪のときも、

そうじゃない元気なときも

オールマイティーに使いこなせる術を

ふだんから生活のなかで

あたり前に取り入れることができるといいですね。

いざ症状がでたときだけ

自然のお手当を活用しようと思っても、

焦ってなかなかタイミングよくできないので、

ふだんからそういうことにくわしい人たちの集まるコミュニティーで

情報収集をしておく、

本に使えそうなテクニックが紹介されていたら付箋でも張っておく、

など工夫は必要です。

一家のお母さんであれば、

子ども一人一人風邪のお手当は変わります。

風邪のときにもりもり食べて調子のよい子もいれば、

水も飲まないで元気になる子もいます。

温めてよくなる子もいれば、そうじゃない子もいる。

熱があるとついつい体温の上がり下がりに一喜一憂して、

顔とか上半身しかみえませんが、

風邪がこれからひどくなるのか、

終わりかけなのか?

お腹や足首の硬さ、冷たさ、肌の汗の様子、

口のにおい、咳の音、甘えてきたり、

機嫌が悪かったり、

ふだんの様子をよく知っている

お母さんにしか分からないことってたくさんあります。

ネットをみるより、

目の前の子どものからだに起きていることを

よく‘みる’力

「観る・診る・看る」を養うことが

自然に治る力を引き出すコツです。

子どもの風邪の場合、

子ども自身の問題というより、

お母さんが休めていないときが多いですね。

お母さんが仕事復帰して、

なるべく仕事は休まず、

まわりに迷惑かけないように、と

緊張して毎日頑張っているようなとき、

いいタイミングで子どもは病気になってくれます。

なんとか明日までに熱を下げて仕事にいかないといけない、

と肩ひじ張っている間は、

まだまだお母さん自身に

緩まないといけない部分がたくさんありそうですね。

子どもの体調そのものの問題というより、

夫との関係、親との関係、職場での人間関係、

仕事やお金に対する考え方、

休むことやできないということの罪悪感、

なぜがんばりすぎてしまうのか?

人に甘えたり、頼ったりできないのか?

自分が見ず知らずにうちに「こうでなければいけない」と

自分に厳しく生きてきた考え方の癖を

もう一度見直すときなのかもしれません。



加藤祐里

かとう・ゆり|愛知県出身。年間1,000件以上のお産のある総合病院にて、助産師として務めたのち、東洋医学を学びはじめる。鍼灸マッサージ専門学校卒業後、結婚、出産、FMT自然整体の勉強、ふたたびの助産師としての勤務を経て、2012年4月、「自然の豊かな場所で子育てをしたい」という思いから、岐阜県郡上八幡へ移住。移住と同時に、自宅にて「郡上もりのこ鍼灸院」を開く。地元を中心にした多くの人々の健康相談にのっている。

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たのしいよみもの

#35 わたしの手帖インタビュー7

 

『甘い、甘い、甘くて甘い』のこと

 

いよいよ12月ですね。

年末の声が聞こえると、気持ちがざわざわして、

ちょっぴり焦ってきますが、

そんなときは「旧暦だとまだ秋だ〜」と思うと、

ちょっと気が楽になるかもしれません。

――というお話が『わたしの手帖2018』の1月の

「季節のみれいメモ」に載っています!

すでにお持ちの方は見てみてくださいね。

 

『わたしの手帖2018』、発売からまだ1か月たっていないのですが、

なんと!

mmbsでも版元としても(書店さん用も)完売いたしました!!

まだ購入していないという方、

手帖、日めくりッカレンダー お取扱店」には

まだ在庫がある可能性がありますので、

ぜひ、覗いてみてください。

お取り扱い店リストはこちらです。

 

さて、今週のインタビューは、

『わたしの手帖』の姉妹品、ポケットマーマー(ポケマ―)シリーズの新作、

『甘い、甘い、甘くて甘い』のお話です。

#28 わたしの手帖2018 第5回」でも

みれいさんがお話しているので

まだ読んでいない方は、こちらも読んでみてくださいね。

 

***

 

◎『甘い、甘い、甘くて甘い』の原点は……

 

 

野田 『甘い、甘い、甘くて甘い』、もしかしたら最初に出たときのことをご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

服部 2011年のことですからね。あらためて説明すると、当時、カウブックスのリトルプレスフェアに出展することになって、そのときに限定1000部でつくった詩集なんです。

 

野田 1000部って、個人的に出すにしてはすごい数ですよね。

 

服部 そうそう。普通は100部でも多いくらいなんです。

 

野田 しかも、ちゃんとデザインして、印刷所で刷って……。

 

服部 その前の年もリトルプレスフェアに出展したんですけど、そのときは手描きのオラクルカードをつくったんです。かわいい箱も用意して、リボンをかけて。オール手づくり。

 

野田 すごいレア! わー、それ、見てみたかったです。

 

服部 自分で言うのもなんですけど、すっごくかわいかった! おかげさまですぐに完売してしまいまして……。1年目はそんなふうに完全手づくりだったので、2年目は、せっかくだから本格的につくることにしたんです。『わたしの手帖』のデザイナーでもある中島基文さんに装丁をお願いしたら、とってもすてきな詩集になって。結局、1000部刷ったのに、すぐに売り切れになりました。

 

野田 この頃、ちょうど『あたらしい自分になる手帖』もつくっていた時期で、よく事務所にお伺いしていたから、わたしもできたての『甘い』を拝見しているんです。さりげない佇まいがほんとうにすてきで、「これは持っておきたくなるな」と思ったのを覚えています。だから、今回このポケマーシリーズで復刊できるのが、とってもうれしかったです。もう一度中島さんにデザインをお願いしましたが、サイズが変わっても、元本の雰囲気は色濃く残っていますよね。

 

服部 はい、元本を見たことがない、という方も、このポケマ―で、雰囲気を感じ取っていただけるのでは、と思います!

 

 

◎詩は、無意識の世界からすくいあげたことばたち

 

 

服部 ここに載っている詩は、今読むと、ちょっと気恥ずかしくもあって(笑)。なんか「女の子」って感じがすごいですよね。

 

野田 むっちゃガーリーでした。東京に住んでいる女の子の姿が浮かびました。

 

服部 そう、都市の女の子。ちょっとパンクが好きで、おっさんたちにはわかるまい、みたいなノリがあって(笑)。今のわたしだと書けない詩がけっこうあります。でも、そういう「少女性」みたいなものって、多くの女性の根底にある部分だし、『マーマー』の世界観が好きな方には、気に入っていただけるんじゃないかな、と思っています。

 

野田 詩は、まったくの門外漢なので評論などはできないんですが。わたし、この間、テレビでドラマを見ていたら、登場人物が坂本九さんの『涙くんさよなら』を歌っていて、なぜだか涙が出てきたんですよね。その後にたまたまこの『甘い』のゲラを読んでいて、「牧歌的な音楽」という詩に、同じ話が出てきて、びっくりしまして。そのときに、「詩っておもしろいな」と思ったんです。

 

服部 そうそう。シンクロする感じ……わかります?

 

野田 こころのどこかに漂っていたことばとか、そのとき感じた何かに、思いがけず再会したというか……なんか、こんなふうにワープできるんだな、と思いました。

 

服部 そうなんですよ。わたしも、決して、詩人としてメインで活動しているわけじゃないんですけど、潜在意識に一度にもぐる感じが詩はすごいと思う。

 

野田 『だからもう はい、すきですという』という詩集まで出されているのに!

 

服部 もちろん、そうなんですが、わたしのメインの活動は文章を書いたり、編集の仕事をすることなので、詩は、「フレンチのシェフがときどきつくる和食」みたいな感じなんですよね。でも、わたしにとってはその和食も、ほんとうに大事なものなんです。

 

野田 メインの活動ではできないことが可能になる、ということですか?

 

服部 そうですね、詩は、ふだん言語化できない部分をことばにするものだから、無意識下のことを表現しやすいんです。だからこそ、野田さんが体験したようなシンクロが起こったりするんだと思うんですよね。

 

野田 こころの奥を覗かれたような、すごく不思議な感覚でした。いろいろな鑑賞方法があると思うんですけど、わたしにとっては、「詩を読むぞ!」と構えるよりも、いろいろなことばが載っていて、突然、心に刺さる瞬間があったりするもの、という感覚で読むほうが、たのしめるのかなって。

 

服部 そうそう。そうなんです。パラパラッと開いて、そのことばを感じるみたいな読み方がいいと思います。わたしも詩集って、最初からきちんと読むということはないかも。どんなにすばらしい詩人が書いた詩集でも“とてつもなく好きな詩”って1つか2つだったりもします。でも、それでもいいと思うし、読むタイミングによっても「いいな」と思うことばは変わったりするから、たびたび開いてみると発見があるかもしれませんね。

 

野田 わからなければいけない、という思い込みがプレッシャーとなって、苦手意識を持ってしまっている方もいそうですよね。

 

服部 あとは、先ほどもいいましたが詩ってほんとうに無意識にふれるものというか、小説よりも、もっと深い鉱脈から来るもので。だからみんな、ちょっと恥ずかしく感じたりとか、抵抗を感じたりするのかもしれません。

 

野田 ああ、それはなんとなくわかります。

 

服部 でも、わたしの中では、無意識のあそびみたいな感じなんですよね。

 

野田 それが、読み手の側の無意識とつながるときに、おもしろさが生まれる、ということなのかもしれませんね。

 

 

◎ことばを、もっともっとたのしんで!

 

 

服部 わたしは数年前から、ジワジワ詩がキテるんじゃないかなって思っているんです。

 

野田 実際、『マーマーマガジン』も『まぁまぁマガジン』にリニューアルして、詩とインタビューの雑誌になりましたよね。

 

服部 最果タヒさんのように、あたらしい詩人の方も出てきていますし、川上未映子さんが責任編集した『早稲田文学増刊 女性号』にも力のある詩がたくさん載っていて、勢いを感じました。実際、3.11以降、詩集がとても売れるようになったという話も聞きます。

 

野田 そうなんですか?

 

服部 確実に、詩的なものを読みたいという機運は高まっていると思います。人がそういうことばを欲しているというか。1950年代〜60年代のアメリカでは、ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグといった詩人が人気で、ポエトリーリーディングがとても流行したんですけど、その時期って、ベトナム戦争があったりして、社会不安も高まっていた時代なんですよね。やっぱり生きるのがとても大変な時代ほど、詩のようなことばの世界が必要とされる傾向はあると思います。

 

野田 この手帖インタビューの1回目でも、これから数年は社会の変動期というお話をされていましたけど、そういう時代だからこそ、ことばに力をもらいたい、というムードはあるかもしれませんね。

 

服部 2015年と2016年、愛知県で開催された「森、道、市場」というフェスで、アイルランドの音楽にのせて、即興でつくった詩を読むポエトリーリーディングを行ったんですが、とってもたくさんの人が集まってくれたんです。わたしの詩とアイルランドの音楽の相性がよかったみたいで、すごく盛り上がりました。

 

野田 ポエトリーリーディングだと、ライブ感も相まって、また違ったことばとの出合いがありそうですね。

 

服部 そんなふうに、もっとみんなことばであそんでいいと思うんです。だから詩を書くということ自体も気軽になったらいいですよね。あまり「詩とはこういうもの」とか難しく考えずに。だって、すでにみんなTwitterとかInstagramにことばを添えたりしているわけだし、それが詩みたいになっている人もいませんか?

 

野田 ハッシュタグが詩みたいな人、いますよね〜。

 

服部 あと、あいかわらずラップも人気ですよね。詩的なことばがあちこちにあって、それが詩というかたちを取っていなくても、実際は詩である、という場合も、けっこうあると思うんです。それなのに、詩に対して斜に構えて「詩人とか名乗っちゃいますか?」みたいに茶化したり、逆に何かにとらわれて「こんなのは詩ではない」と断じたり、そういうのはバカバカしいな、と思っています。暮らしの中にすでに詩はある。

 

野田 あー、逆にわたしは詩について知識ゼロだから、「詩はこういうもの」というイメージもなくて。ラップでいうところの「韻を踏む」みたいなお話ですか?

 

服部 もちろんすぐれた詩というものはありますけど、基本的には自由に書くのがいいと思います。ラップだって、ここ数年は、韻を踏まないものも人気みたいですよ。

 

野田 え、そうなんですか? 夫がラップバトルのテレビ番組が好きなので、けんかするときにわたしもラップで言ってみようと思って、一生懸命韻を踏む練習していました。実際にけんかの場では、全然うまく言えなかったですが(笑)。

 

服部 わたしも家で冷えとりラップ、やってます! 「絹綿絹綿」とか、「重ねてるかYO」みたいな。くだらなさすぎていうのも申しわけないんですが…。

 

野田 (笑)! たのしい! まあ、超余談になってしまいましたが、それぐらい、みんな気軽にことばであそべるといいですよね。実は、詩について知らないことが多すぎて、今回、感想を言うのも勇気がいったのですが、素直にことばを感じたり、発したりするところからはじめるのがよさそうですね。それが創造性を発揮させるきっかけにもなるかもしれませんし。

 

服部 はい、ここではことばにフォーカスをあててお話しましたが、やっぱり一番大切にしたいのは創造性なんですよね。その方法のひとつとして、「詩」という選択肢もある、ということです。

 

 

◎創造性の出口はいろいろ

 

服部 わたし、写真は詩と非常に重なる部分があると思っているんです。だから詩の雑誌をつくろうと思ったときに、写真を勉強したら詩がうまくなるかな、と思って、2014年に青山ブックセンター本店で行われたホンマタカシさんの写真教室に行ったんです。

 

野田 それ、すごくおもしろいお話ですね。

 

服部 無意識下のものを見る、という点においては、写真芸術がやろうとしていることと、詩がやろうとしていることはすごく近いと思うんですよね。だから写真と詩を同時に表現するのは本当にむずかしいなぁとあらためて思っています。

 

野田 メッセージ性の強いことばが添えられた写真集とかポスターってありますね。

 

服部 空の写真に「さあ、生きよう」みたいな。そういうときは、ことばか写真、どちらかひとつでいいんじゃないかと思うくらい、写真っていうのは詩と重なる部分があると思っています。ただ、わたしは写真にコンプレックスがあって、すごく好きなのに苦手なんですよね。

 

野田 そうなんですか? 全然そうは感じないですけど。

 

服部 詩の雑誌をつくることとともにもちろん写真への理解を深めたくて教室に通ったんですが、どうしても自分の写真にどんくささを感じてしまうんです。わたしの中でもっと撮りたい精度っていうのがあるんですけど、自分がそれに追いつけない。写真に必要な運動神経のよさがない。だから、わたしはどっちかというとことば向きなんだと思っています。ことばの速度のほうが自分と合っている。

 

野田 詩のほうが、無意識に追いつける、ということですね。それを考えると、みなさんも各々得意ジャンルというのがあるのかもしれませんね。

 

服部 詩や写真以外にも、無意識下のものを表面にすくいあげる方法は、たくさんあります。絵だってダンスだって、俳句だってあるし、音楽も各種ある。料理でもいいですよね。いろいろな世界があるから、その出口を見つけてほしいですね。プロになろうとか、うまくやろうとか、そういうことじゃなくて、自分自身を表現する体験を味わってほしいです。もっと自分の人生を芸術にしてほしい。わたし自身もそうありたいと思っています。

 

***

 

「詩」というと、自分から遠いもののように感じる方も

いらっしゃるかもしれませんが

(わたし自身がそうでした!)

もっともっと、自由にたのしめるのかな?と

思っていただけたらうれしいです。

 

ポケマ―版『甘い、甘い、甘くて甘い』、

手帖や洋服のポケットにすっぽり入るサイズでかわいいですし、

お値段もとってもお手頃なので、

気軽に詩に親しむきっかけになればと思います。

 

表の表紙もかわいいんですが、裏の表紙も素敵なんですよ。

『わたしの手帖』の表紙側に挟むと表側が、

裏表紙側に挟むと裏側が見えるようになっています。

 

 

もちろん、服のポケットに入れて持ち歩いても。

(まさにポケット詩集!)

大好きなことばは、ときにはお守りのように

みなさんのこころを守ってくれるかもしれません。

 

(野田りえ)



たのしいよみもの

#34 わたしの手帖インタビュー6
毎週木曜更新!

付録編とローカリゼーションのはなし

 

『わたしの手帖2018』、発売から2週間以上が過ぎました。

12月はじまりの手帖なので、

いよいよ使いはじめるという方もいらっしゃいますよね。

 

ときどき、毎年この手帖を使ってくださっている方から、

12月は今年の手帖を使い続けるほうがいいのか、

それとも来年の手帖を使い始めるほうがいいのか、

という質問をいただくことがあるのですが、

答えは……「直感で決める!」……です。

正解がなくてすみません。

 

でも、ずっと愛用してきた2017年の手帖で

そのまま締めくくるのもすてきですし、

早めに2018年に意識を切り替えるのも、もちろんアリ!

どちらにしても、手帖を切り替えるタイミングで

今まで使ってきた手帖とともに、

2017年のふりかえりをしてみてくださいね。

(何れにしても、両方の12月のエッセイとワークを

おたのしみいただけたらうれしいです!

 

早くも売り切れになったお店も出てきていますし、

とにかく今年は追加注文が多いです!

年内には完売しそうない勢い……。

『わたしの手帖2018』のご購入を検討されている方は、

お早めに「手帖、日めくりッカレンダー お取扱店」へ。

また、「マーマーなブックス アンド ソックス」でも、

絶賛発売中です!

 

では、まだまだ続く、手帖インタビュー、

今日は黄色の付録編のお話です。

 

***

 

 

◎付録編がコンパクトになった理由

 

 

野田 読み物が充実した『わたしの手帖2018』ですが、同時に、手帖を使う方が気づきや考えたことなどをたくさん綴ることができるように、書き込み欄を増やしました(くわしくは #26 わたしの手帖2018 第3回 へ)。

 

服部 毎月、アファメーションやふりかえりをたっぷり書き込めるし、ワークの答えもメモしやすくなりましたよね。

 

野田 そうなんです。外出先でも気軽にワークができるのは、便利ですよね! ただ、そうやって書き込み欄を増やすと、あらたな問題が出てきまして……。ページ数が増えると、手帖が重くなったりかさばったりして、「片手にすっとおさまるコンパクトさ」がなくなってしまうんです。

 

服部 そうなんですよね……。

 

野田 どうするか悩んだ末、みなさんが使いやすいように、手帖の自由記入スペースを増やす代わりに、付録編を薄くすることにしました。特に大幅なカットとなったのが、全国の自然派のお店を紹介する、「こころとからだを支えるイエローページ」だったんです。

 

服部 一生懸命セレクトしたリストだったので、残念ではあるんですが、今はインターネットなどでも調べていただけますしね。

 

野田 そうですよね……。手帖のサイズ自体は変わっていないので、あのイエローページを持ち歩きたい! という方は、2017年版の付録編をまた使う、ということもできるとは思います。

 

服部 はい、ちょっと手帖が分厚くなりますが、そういう手もありますよね。ただ、お店の情報は2016年に調べたものなので、最新情報は個別にご確認いただくほうが安心かもしれません。

 

 

◎ブックガイドに込めた思い

 

 

野田 そんなふうにコンパクトになった付録編ですが、一方で、拡充したコーナーもあります。「わたしと出合うためのブックガイド」を大幅に見直して、3ページから5ページに増やしました!

 

服部 そうですね。『マーマーマガジン フォーメン』の最新号で、中島正さんという思想家の方の追悼特集として、「みの虫生活のすすめ」特集を組みましましたが、そういった「古くてあたらしい」価値観や生き方をみなさんに知っていただきたいな、という思いを込めてブックリストを追加しました。

 

野田 たしかに、最新のマーマーの空気も反映されたブックリストになっていますよね。初期マーマーでテーマとなっていた、自分のからだやたましいの浄化から、最近の農的な暮らしまで、幅広くなっています。マーマー的な世界観の入門ガイドにもなっているというか。

 

服部 よくマーマーでは「古くてあたらしい価値観」ということばを使いますが、本を通して、それを知っていただけるといいな、と思います。

 

野田 男女問わず読めるような、選書になっていますね。

 

服部 そうですね。今は男性の意識も変わってきていますし、移住を考えたり、都会にいるけれど自然と共にある暮らしも取り入れたい、と考えている方も多いと思うんです。そういう方にも参考になる本が集まっています。

 

野田 このブックガイドが充実することで、付録編がより濃くなりましたね。

 

服部 本当に! より自立的な生き方を提案する内容になっていますよね。

 

野田 「自立」ってしっくりくることばですね。冷えとり健康法のようなセルフケアは、薬などに過度に依存せず、自分の自己治癒力を高め、からだをたくましくするということだし、移住も、都市や消費社会に過度に依存しすぎない生き方の提案のひとつですよね。

 

服部 そう、この手帖の裏テーマは「自立」なんです!

 

野田 自立して「わたし」本位で生きるための知恵が詰まっている、ということですね。

 

 

◎ローカリゼーションに注目!

 

 

野田 この付録編で、大きな特色となっているのが、岐阜や美濃市の情報が充実していることですよね。

 

服部 実際、「どうして?」と聞かれることもあるのですが……もちろんマーマーマガジンの編集部が2年半前に美濃に移住したのが一番のきっかけで、読者のみなさんに興味をもっていただいたり、ぜひあそびにきていただきたいなという思いがあります。ただ、こういった編集部の動きを通して、ご自分自身の「ローカリゼーション」というものにも目を向けていただけたらな、と。

 

野田 ローカリゼーションって、ときどき聞くことばですが、「地域化」という意味ですよね?

 

服部 そう、グローバリゼーションの逆の意味で、「地域」というちいさな規模の文化などをもっと見直そう、ということですね。

 

野田 その表現の一環として、「美濃」に注目している、ということですか?

 

服部 はい、もちろん美濃や岐阜をアピールしたいという気持ちもありますが、それだけではなくて、みなさんご自身のルーツや、ゆかりのある地域にも注目してもらいたいという気持ちが強いんです。みなさんにも、住んでいる場所とか、故郷とか、あるいは旅行で訪れてご縁ができた土地とか……そういう場所が国内外問わずあると思うんですが、そういった「地域」での暮らしを、それぞれみなさんが大切にするといいのかな、と思うんです。自分の中の「都市化」を少し緩める、みたいなイメージです。

 

野田 そういうメッセージを発信できるのは、地方にある出版社ならでは、という気がします。

 

服部 まあ! ありがとうございます。まだまだな部分もあるのですが、ローカリゼーションへの動きはマーマーマガジンらしさだと思いますし、こういった動きが増えたら、おもしろい状況がおのずと生まれそうですよね。佐渡に住んでいる人が、佐渡のことを徹底的に紹介するとか、フィンランドのある村を好きな人が、そこについて発信するとか。そういった多様性がすごくおもしろい時代ですし、都会的な情報に一極集中しなくてもいいのかな、と。単純に、人が移動するだけでも、充分、おもしろい。一極集中ではなくて、もっとみんなが散らばったらおもしろいと思っています。

 

野田 ナガオカケンメイさん主宰のD&DEPARTMENTが発行している『d design travel』という雑誌が、47都道府県に焦点をあてていて、おもしろいですよね。

 

服部 おもしろいですよね。ナガオカケンメイさんは、地域のすぐれたものを、本当にすばらしいセンスで発掘し、再評価されていて、本当にすごいなあと思っています。

 

野田 ガイドブック的な意味でも参考になるんですけど、読みごたえもしっかりあって。観光名所をとおりいっぺんになぞるのではなく、その土地の個性を見つめる視点がいいな、と思います。

 

服部 あのまなざしが、この日本のある部分の最新の気分を表していると思います。わたしもとっても共感しながら読んでいます。

 

野田 同じような気分で自分の地域を歩いてみたら、たのしそうですね。

 

服部 新鮮な気持ちで見てみると、「あれ? これ、けっこういいな」と見直すことも出てきそうですよね。地域へのリテラシーが高まる。うちの編集部には、芸術やものづくりのお仕事に携わっている方がいらっしゃることも多いんですが、ああいった方々が美濃の町を散歩すると、そういう隠れたかっこいいもの、かわいいものを発掘してきてくれたりするんです。

 

野田 違う場所から来た人が見つけられるおもしろさ、というものもありますよね。

 

服部 「海外の観光客から見た日本」みたいな視点ですよね。その視点を自分の町に向けてみたら、新鮮な発見がいっぱいあると思います。こんないいところがあった、とか。入ったことのないお店がすごくいいお店だった、とか。実はこんな特産品を収穫できる、とか。

 

野田 東京にも、意外に畑が残っていたりしますよね。わたしもこの前、三鷹市で穫れたキウイをいただいて、こんな特産品があるんだ、と気づいたりしました。ちゃんと地域の個性があるのに、目を向けていないだけだったりして。

 

服部 そうそう。東京だって、「ローカリゼーション」的な視点で見ると、あらたな発見があるはずなんです。たとえば東京の練馬に住んでいても、実際に読んでいるのは、どこでも買えるようなものの情報だったりしますよね。それよりもっと「練馬」に着目してみては? ということです。

 

野田 そうですね、東京でも近所の神社とかお祭りを調べてみたら、実は古い歴史があったりするかもしれないですよね。

 

服部 さらにはその視点を自分自身にも向けてみると、とってもおもしろいことになると思います。

 

野田 なるほど……! 自分自身って、究極のローカルですね(笑)

 

服部 あはは。本当にそうですね。自分のことって、いちばんよくわからないものですよね。自分のもち味はこういうところで、こういう部分が人の役に立つんだな、とか。グローバルからローカルへ、そこからさらに個人へ。時代はそういう方向へ向かっていると思います。

 

***

 

今回は、ブックガイドやローカリゼーションの

お話が中心になりましたが、

ほかにも、付録編には、

冷えとり健康法やホ・オポノポノなど、

こころやからだ、たましいをクリーニングする方法をご紹介した

「浄化のためのホリスティックガイド」や、

思いもよらぬピンチのときに、元気を取り戻すための

「こころをたくましくする12のことば」など、

いろいろなコンテンツが詰まっています。

 

 

 

◎おまけ

そろそろ紅葉も散りはじめてきましたね。

すでに2018年版の手帖をお持ちの方は、

2018年11月の石田紀佳さんのエッセイコーナーに

落ち葉のたのしみ方が載っているので

ぜひ、見てみてくださいね。

 

つづく

(野田りえ)