murmurbooks

マーマーなリレーエッセイ

#19 加藤祐里(郡上もりのこ鍼灸院・鍼灸師)

 

初夏にかけての養生法

 

みなさま、こんにちは。

第16回で「春にかけての養生法」について

お話させていただきました、

助産師&針灸師の加藤祐里です。

 

5月5日を過ぎると暦のうえでは夏です。

今回は「初夏の養生」がテーマです。

 

冷えとりをされているみなさんにとって

「絹」はとても身近な存在だと思います。

絹の原料となる5月から6月にかけて育てられる「春蚕」は

芽吹いてすぐの若い桑の葉を食べるので

とても上質な絹糸を採ることができます。

 

絹の原料である蚕は5000年ほど前に中国で飼われはじめました。

絹糸のたんぱく質は人間の皮膚の成分に近く、

傷の治癒を促したり、肌荒れの改善や

筋肉にたまった疲労物質を除去するので

心身の回復を促します。

 

「服薬」ということばは、

現代では「薬を飲む」という意味で使われていますが、

本来は「病気のときに、癒しやエネルギーを高める

効果のある衣をまとって自然治癒力を促したり、

からだの傷に薬草の汁を浸けた布をあてて、

皮膚を介して衣服で病気を治していた」

という意味で「服」という漢字が使われています。

 

 

人間は犬や猿と違い、進化の過程で「体毛」がなくなりました。

体温を保ち、外部の刺激から身を守り、危険を察知するなど

「毛」がない分、「衣服」によってその機能を補う必要があります。

人間にとって、衣服はもう一枚の皮膚であり

からだの一部であるとも言えます。

 

絹に限らず、木綿、麻、羊毛など

本物の天然の繊維を手にすると、

じわ〜と温かくなってきて、

布そのものが「生きている」と感じます。

 

わたしの治療院に通われている70代の患者さんで、

40代のころから、冬になると皮膚が乾燥して

かゆくて塗り薬が手放せない方がいました。

冷えとりをはじめて絹の下着を選ぶようにしたら、

なんと、まったく薬を塗らなくてよくなったそうです。

まわりの人からも「色白になって、肌がすべすべになった」

と褒められるようになったとか!

 

今は生まれたてのあかちゃんでも平熱が低い子がいっぱいいます。

たとえクーラーを使っていなくても、

「頭寒足熱」のバランスが崩れた状態が「冷え」ですから、

絹の腹巻を一枚着せてあげただけで便秘がよくなったり、

よく眠ってくれるようになったというケースもありました。

 

暑くなってくるとどうしても

「冷えとり」をすることが難しくなります。

一日中、クーラーの効いた部屋でパソコン業務、

冷たい飲食で胃腸も冷えている人などは

「からだの奥(内臓)が冷えて、熱が表に出てくる」

という状態になりやすいので、

足の裏がほてってきて、無意識に靴下を脱ぎたくなります。

 

まずは半身浴の時間を増やして、

その日にたまった余分な水分や一日の疲れを

しっかりと出すようにしましょう。

肌着、レギンスなどからだに一番密着する部分に

薄い絹製品を選ぶようにするだけでも、

汗をしっかり吸ってくれて、裸でいるよりも快適に過ごせます。

 

そもそも汗は体温が上がりすぎるのを防ぐためにかきます。

きちんと汗をかいて氣を発散することができれば、

逆に涼しく感じます。

 

東洋医学的には良い汗と、そうでない汗があります。

手のひらでおなかを触って、おなかのほうが

冷たく感じるような状態の時にかく汗は

実はあまり良い状態ではありません。

疲れやすく、胃腸が弱く、眠りも浅く、

のぼせやすい方が多いようです。

 

こういう方は、真夏の熱帯夜にクーラーなしで

無理に我慢して睡眠不足になって体力を消耗するより、

足元とおなかをきちんとあたためて、

快適に熟睡できる環境を優先したほうがいいようです。

 

実は、わたしは3年前から自宅で蚕を飼っています。

最初は息子たちに蚕を見せたくておそるおそるはじめたのですが、

なんとわたし自身がはまってしまって、今では糸車を使って

自分で育てた繭から糸をつくれるまでになりました。

 

この時期のわたしの頭のなかは

「桑の葉は足りるかな?」

「温度はちょうどいいかな?」

など、人間の息子たちのお世話以上に

蚕のことで頭がいっぱいになります。

 

不食の弁護士の秋山佳胤先生の

『いいかげん人生術』(エムエム・ブックス=刊)でも、

美智子妃殿下が蚕を飼っているエピソードが紹介されていましたね。

わたしは、カメムシをはじめ、ほかの虫は苦手ですが、

蚕だけはもうひとりの家族のように「癒し」を感じます。

 

養蚕をはじめ、糸を紡ぎ、染めて、織る「衣の仕事」のほとんどは、

長い長い人類の歴史のなかで

力の弱い女性や社会的に不利な立場の人でも

簡単な道具があれば自分でつくることができて、

自立できるように人々の暮らしを支えてくれました。

 

わたしにとって養蚕が一番の初夏の養生になりつつあります。

旬の決まった時期にしか食べられないものを食べたり、

地域の行事やお祭りをたのしんだり、

この日のために一年頑張ってきた甲斐がある。

そう思えるような「生きがい」も、「養生」になるのではないでしょうか。

 



加藤祐里

かとう・ゆり|愛知県出身。年間1,000件以上のお産のある総合病院にて、助産師として務めたのち、東洋医学を学びはじめる。鍼灸マッサージ専門学校卒業後、結婚、出産、FMT自然整体の勉強、ふたたびの助産師としての勤務を経て、2012年4月、「自然の豊かな場所で子育てをしたい」という思いから、岐阜県郡上八幡へ移住。移住と同時に、自宅にて「郡上もりのこ鍼灸院」を開く。地元を中心にした多くの人々の健康相談にのっている。

Web Blog

マーマーなリレーエッセイ

#18 大浦こはる(文禄堂 荻窪店)

IMG_4678

服部みれい選書フェア、スタートです!

 

みなさん、こんにちは。

文禄堂AYUMI BOOKS荻窪店で書店員をしております、

大浦こはると申します。

 

このたび、当店にてエムエム・ブックスの

服部みれいさんの選書フェアを開催することになり、

こちらのページでも、

恐縮ながら告知をさせていただけることになりました。

下記、お読みいただけたらうれしいです。

 

 

わたしが一読者として服部みれいさんと

本を通して出合ったのは、3年ほど前のこと。

当時、社会人として働きはじめたばかりで、

慣れないサラリーマン生活に悪戦苦闘しながら、

なんとか毎日を乗り切っていました。

 

がんばろう、がんばろう

と一生懸命こころで唱えながらも、

健康的だった学生時代がうそのように、

いろいろなプチ不調が出てきて、

それがまた気になってしまって。

 

うーん、なんかだめだなぁ……。

 

と、そんなふうに思っていた時に、

偶然にマーマーマガジンを読みました。

こころにとてもすいすい入ってきて、

それ以来、ほかにもマーマーマガジンに

関する本をたくさん読ませていただきました。

 

そうして冷えとり健康法や、

みれいさんの生き方を通して、

もっと自分の声を聞いてあげたいな、

と思うようになりました。

 

とても些細な話ですが、

以前は好きな季節が秋や冬の寒い季節で、

色は紺やモノトーンを好んでいた私ですが、

 

なんだかカラフルな洋服が着たいなぁ、

どうして今まで春が好きではなかったのだろうか、

 

と、最近よく思うようになり、こういう変化も、

みれいさんの影響を受けていると実感しています。

 

紆余曲折を経て、

現在勤務している文禄堂荻窪店では、

わたしが来るずっと前から、

みれいさんの著作を集めた

ミニコーナーを常設しています。

 

東京・荻窪には、

“ていねいな暮らし”や“シンプルな暮らし”をなさっている

感度の高いお客さまが多くいらっしゃいます。

みれいさんのミニコーナーが今でも常設されているのは、

そういう感度の高い方はもちろん、

みれいさんの考え方やライフスタイルに共感する人が

増え続けているからだと思います。

 

さて、当店の入り口にある電気三輪自動車、

通称「BOOK ROUTE」では、

一昨年12月のリニューアル以来、

雑貨のポップアップ展開や、

さまざまなジャンルの著名人の方の

選書フェアなどを行ってきました。

 

ここまでお話しした背景から、

今回、ぜひ服部みれいさんにお願いしたい!

というわたしの強い想いから、

選書フェアを展開させていただくことになりました。

今は、感謝とわくわくでいっぱいです!

 

大規模なお店ではないので、

限られたスペースではございますが、

服部みれいさんご本人により選書いただいた本を

まとめてご用意いたします。

 

ファンの方はもちろん、

まだ服部みれいさんの本に出合っていない方も、

とにかくたくさんの方に

ご覧になっていただけたらさいわいです。

 

一書店員として、

そしてなにより一ファンとして。

みなさまのご来店を心よりお待ちしております。

 

 

【服部みれいの選書フェア】

◯期間

3月22日(水)〜約1か月間

 

◯場所

文禄堂 荻窪店

東京都杉並区荻窪 5-30-6福村産業ビル1F

03-3392-2271

 

「自由な自分になる」選書と題し、

マーマーマガジン17号・19号・20号・21号、まぁまぁマガジン22号、

bodysoul 1〜3、秋山佳胤のいいかげん人生術、ささたくやサラダの本、

(すべてエムエム・ブックス=刊)その他、服部みれいがセレクトした、

全部で約36冊がずらりとならびます!

 

ぜひ、あそびにいらしてくださいませ!

 



大浦こはる

1991年生まれ。2013年日本出版販売株式会社へ入社。

書店営業を経て、現在あゆみBOOKSへ出向中。

文禄堂AYUMI BOOKS荻窪店勤務。

マーマーなリレーエッセイ

#17 ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ(言語学者)

 

farmers market

 

しあわせをつくるローカリゼーション

 

地球の裏側で加工され、輸送されてきたポテトチップスが、

自宅の近くの畑で売られているジャガイモより安いのはなぜか?

言語学者のヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんは、

「ローカリゼーション」という考えで、この理由を説明します。

それは、「そのメーカーが政治家に働きかけることで

世界的な規制緩和や莫大な補助金を獲得し、

その結果、自社の商品を安くすることができたのだ」と。

つまり、不自然なまでに安い価格の商品には、

多額の税金が注ぎ込まれているのです。

 

ヘレナさんの主張を簡単にいうとこうなります。

「この世のすべてを売り買いできる“商品”としてしまう

仕組みが世界的規模にまで大きくなるにつれて、

一部の企業に経済的・政治的な力が集中し、

それ以外の大多数の人々がもっていた

自然や人間同士とのつながりが分断されてしまう(=グローバル化)。

これを避けるためには、まず、生産者、消費者、原料の距離を縮めること。

これによって、小さな規模で地域が自立し、

文化や社会や自然環境を自分たちの手に取り戻すことができる(=ローカル化)」。

 

このローカリゼーションの考え方については、

彼女の監督映画『幸せの経済学』や辻信一さんとの共著

『いよいよローカルの時代 ~ヘレナさんの「幸せの経済学」』(大月書店=刊)

のほか、ヘレナさんが代表を務める団体

Futures/ISEC(International Society for Ecology and Culture)

で詳しく述べられています。

 

また、2017年11月11日には、

これまで各国で開催されてきた国際カンファレンス

幸せの経済国際会議」が、日本で開催されるとのこと

(2017年11月11日(土)一ツ橋ホール、12日(日)明治学院大学白金校舎。

詳細はナマケモノ倶楽部まで)。

今回は、ローカリゼーションの現状を語ってくださいました

(この記事は、ご本人への取材をもとに構成しています)。

(岡澤浩太郎=取材・構成)

***

 

現在、ファーマーズマーケット、パーマカルチャーの活動、

あるいは、学校に食育農園をつくるエディブルスクールヤード*1や、

数億人の農民が参加する世界的な社会運動体「ビア・カンペシーナ」*2など、

さまざまな試みは世界的に見て明らかに、そして急速に活発化・拡大化しています。

 

しかし、いま必要なのは、教育や啓蒙を通して、

ものごとの「全体像(ビッグピクチャー*3)」を理解することです。

これによって、食糧問題だけでなく、自殺数の増加などの都市問題や、

気候変動や環境汚染といった問題、安全で民主的な社会づくりなど、

個別なものとして認識されているさまざまな運動を連帯させることができ、

現在支配的な仕組みに対する組織的・体系だった運動として

とらえることができるのです。

私はこれらを包括して、ローカリゼーションと呼んでいます。

 

もちろん、都市に住んでいるからといって、

こうしたことに対して何もできないということはありません。

たとえば、地元の小規模な事業や自営業者たちと

経済的な相互扶助関係を復活させたり、

都市部と農村部のつながりをつくったり。

つまり、巨大な企業や銀行から必要なものを得るのではなく、

自分たちの暮らしやコミュニティの中で関係性を築くことは、

都市でもできるのです。

 

ただ、そうしたローカルな取り組みと同時に、

政策レベルでの変革がどうしても必要です。

世界的に見れば、軍事産業や消費経済を支えるために動いているお金を、

安全な食料を得るための資金に、ほんの少しでも充てる必要があります。

 

たとえば日本では、東日本大震災や原発事故があってなお、

原発を推進する政策にお金が落ちていて、

除染作業や科学的な線量調査に充分な資金が回っていません。

資金が充てられれば、ほかにも、

放射能汚染のない場所から土や海藻を運んできて土や肥料にしたり、

人間の排泄物を正しく処理して有効な肥料として利用したり、

森林資源を活用しながら家畜の生産などとも組み合わせて

複合的な食料生産体制をつくったりすることだってできる。

 

ところが資金は、より破壊的な目的に使われているのが現状なのです。

そうした政府を野放しにするのではなく、

長期的な視点にもとづいた変化を起こすための動きを

していかなければなりません。

 

具体的に行動を起こすためのキーワードには、

Resist(抵抗する)、

Renew(新たに生み出す)、

Educate(教育の場をつくる)、

Connect(つながりをもつ)、

Celebrate(お祝いをする)、

の5つがあります。

 

もちろん、Resistはあらゆるグローバル化に対してであり、

Renewはローカル化を指します。

Educateは、先ほども申し上げた「全体像」の把握のためです。

中にはConnectやCelebrate、

つまり仲間とつながりを持つことに抵抗がある人がいるかもしれません。

ただ、現在では、気候変動や放射能汚染のように、

自給自足の生活をして自分だけがどこかに隠れてうまいことをやろうと思っても、

どこにも逃げられないことがたくさんあるのです。

西洋では経済的な仕組みがコミュニティや

家族とのつながりを破壊する方向に働いていますが、

さいわいにも日本には、そうしたものがまだ残っていると思います。

 

また欧米では「お金を稼ぐ」ことが「よいこと」として理想化され、

蔓延し、追求されてしまっています。

これに対して懐疑的になったりネガティブな印象を抱いたりすることは、

いいことではあると思います。

ただ、やはり全体像をとらえるべきです。

 

つまり、お金に対して単にネガティブになるのではなく、

税制やさまざまな規制が、

従来の環境や社会を壊す方向に向かっていることに目を向け、

これらに対してコミュニティレベルで小さな動きをするように

転換していくことを考えなければなりません。

コミュニティや土地に根差した活動を

支援する方向にお金が使われることで、

人が主体的にかかわれる規模まで

経済活動を縮小させることができれば、

むしろお金を使わなくてもやり取りできる

相互関係が成り立つ可能性が生まれます。

 

このように、ローカリゼーションとは、

商業的な仕組みや消費文化にのっとった仕組みを、

自分たちの手が届くところに引き戻し、

再生することにもつながるのです。

 

とはいえ、何からはじめていいかわからない人もいるかもしれませんね。

そんな時は、どんな時に「しあわせ」や「ふしあわせ」を感じるか、

誰かと対話することからはじめるといいのではないでしょうか。

自分にとってのしあわせとは何か、本心と向き合うこと。

あるいは、アメリカでは5歳の子どもが

「自分は美しくない」と言って整形手術を受けたとか、

犬でさえ鬱病の薬を飲んでいるとか、

そういう話も含めて、「では自分はどうなりたいか」

ということに、こころを開くのです。

そうして真摯に、正面から向き合うことで、

いままで耳を傾けなかった話を聞くことができる姿勢になれると思います(談)。

 

(2016年10月25日 明治学院大学白金校舎にて)

 

■注

*1 エディブルスクールヤード

校庭の使われていない一角を農場にし、

オーガニック農法で作物を育て、

収穫した食材を料理してみんなで一緒に食べることを通して、

持続可能な社会や自然との結びつきを学ぶ食育を行うプロジェクト。

1995年、アメリカのバークレーの有名レストラン

「シェ・パニーズ」のオーナー、アリス・ウォータース氏が発案し、

日本では東京・多摩地区の公立学校ではじまったほか、

世界規模で拡大している。

日本の窓口は「エディブル・スクールヤード・ジャパン」。

 

farmers market

 

*2 ビア・カンペシーナ

1992年に設立された、中小農業者・農業従事者組織の国際組織。

本部はジャカルタ。

世界69か国、148の農業組織、2~3億人の構成員によって構成されている。

現在支配的な農業のビジネスモデルに反対し、

自分の土地で食料を生産する「食料主権」を掲げ、

小規模の農民組織の連帯と協力を発展させながら、

土地・水・種子およびその他の天然資源の保全や、

持続可能な農業生産などのために、さまざまな活動を行っている。

 

via campecina

 

*3 ビッグピクチャー

本記事の冒頭に挙げたような事柄を、

歴史・経済・法律・政治・文化など、さまざまな面からとらえること。

例えば、第三世界の一部の農場では、

企業などへの借金や負債によって労働を強いられ、

またメディアが小規模農業やローカルな食べ物に

ネガティブなイメージを反復することで、

人々は農村を離れ、都市部のスラム街で暮らしながら

工場で低賃金労働を強いられる。

一方、化石燃料への依存度が増し、

自然林を伐採してつくられた大規模農場で

極端な単一栽培が行われることで、一部の企業だけが潤っていく。



ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ

スウェーデン生まれ。ISEC(International Society for Ecology and Culture)創設者、代表。1975年、言語学者としてインドのラダック地方を訪れて以来、ラダックの暮らしに魅了され、失われつつある文化や環境を保全するプロジェクトを開始。この活動によって、もうひとつのノーベル賞として知られる、持続可能で公正な地球社会実現のために斬新で重要な貢献をした人々に与えられる「ライト・ライブリフッド賞」を1986年に受賞。著書に、日本語を含む40の言語に翻訳された『ラダック 懐かしい未来(Ancient Futures)』。またドキュメンタリー映画『幸せの経済学』を監督。

マーマーなリレーエッセイ

#16 加藤祐里(郡上もりのこ鍼灸院・鍼灸師)

 

春にかけての養生法

 

今回のエッセイは、

第14回で「夏の養生」についてお話していただいた、

加藤祐里先生による「春にかけての養生法」です。

 

まだまだ寒さが続く2月ですが、

そろそろ春にむけての冷えとり、

こころやからだの準備をはじめていきませんか?

 

助産師でもある祐里先生。

婦人科のお話もおりまぜながら、

あらためて冷えとりの大切さを実感できる養生法をご紹介します。

 

(村井ふみ)

 

 

みなさま、こんにちは。

岐阜県郡上八幡(ぐじょうはちまん)という場所で

助産師&針灸師をしております、加藤祐里と申します。

ありがたいことに、リレーエッセイには2回目の登場になります。

 

今回のテーマは春にかけての養生法について。

 

わたしが住む岐阜・郡上八幡は4月ごろまで雪が降るので、

「春」といわれてもピンとこないように感じますが、

日の出の時間が早くなって、

朝陽が上ってくる位置がだんだんと北側に寄ってきて

部屋のなかに差し込む光が変わってくると

新しい季節がやってきていると感じます。

 

東洋医学では、春は肝臓の季節と言われています。

 

肝臓は血液を全身の臓器に分配する働きをします。

筋肉、目、髪、肌……。

 

特に「目」が最も血液を消耗する臓器と言われています。

 

今の人は携帯やパソコン、不規則な生活で

人類史上かつてなかったくらい目を酷使しているため、

血液を消耗しやすいし、肝臓への負担も激しいのです。

 

東洋医学的には血液が減ってくると、

筋肉の凝り、痛み、冷え、目のかすみ、かゆみ、

視力の低下、髪のパサつき、しみ、肌荒れ、

便秘、イライラ、クヨクヨ、不眠……

といった症状があらわれます。

 

さらに、マーマーガールに忘れてほしくないのは、

子宮は筋肉でできているということ。

 

女性は男性以上に毎月、生理もあるし、

妊娠・出産・授乳で血液を必要とします。

子宮を養う血液が減ってくれば、

子宮が硬くなったり冷えたりして、

生理痛や不妊、更年期でトラブルが

増えてきても仕方ありません。

 

また、肝臓は「怒り」の臓器。

 

わたしは「タッピング」という

アメリカ発の心理療法を治療に取り入れているのですが、

(からだのつぼを決まった順番にたたいていって、

問題の根本になっている過度の恐怖・不安・悲しみなどの

マイナスの感情をはずしていくような働きかけをしています)。

 

婦人科に問題があるかたにタッピングをしていくと、

 

◯過去に生理のときやブラジャーをつけなくてはいけなかったとき、

男性と同じようにできないことで「女なんて面倒くさい」

と自分の女性性を疎ましく感じた経験がある

 

◯小さいころにお兄ちゃんや親戚の服のおさがりが多くて、

男の子みたいな恰好をさせられていた

 

◯「あなたには女の子らしい色や服装や髪形は似合わない」

「男の子だったら良かったのに」と言われたことがある

 

というエピソードがある方の中には、

自分が「女らしく振るまうこと」に自信がなかったり、

「子宮がある自分」に怒りや悲しみを抱えている方がいます。

 

また、日本の女性に本当に多いのが

「自分のお母さんがたのしそうに生きていなかった」

という声です。

 

お母さんがいつもため息をついていたとか、

疲れてつまらなさそうな顔をしていたとか、

化粧もろくにしないで、いつも自分のことより家族優先で、

好きなことにお金を使うこともなく忙しくしていたなど、

自分の一番身近な女性のモデルが

女性であることをたのしめていないと

「女って損だな」と無意識に思ってしまうのです。

 

産婦人科医師で「胎内記憶」の研究をしている

医師の池川明さんによると、

 

お腹のあかちゃんはお母さんを喜ばせたくて、

幸せにしたくて生まれてくるそうです。

子どもとは関係のないことで悩んでいても、

お母さんがたのしそうでないだけで、

子どもは自分が役に立てていないのでないかと

自信がなくなってしまうそうです。

 

日本人は怒りや悲しみを

顔にはださないことを美徳とします。

最近は「あまり怒らないお母さん」のほうが

いいような風潮があります。

 

ですが、感情は「排泄物」です。

 

汗やおしっこと同様で

生きていれば自然に出てくるものです。

 

トイレで排泄するみたいに

適切な時期に適切なタイミングで出していれば、

内臓を傷めるほどからだの奥深くまで

溜めることはないのです。

それを無理やり出さないように、

「良い人」のふりして見ないふりして、

押さえつけていれば健康を害します。

 

誰かに昔の話を聴いてもらって

「よく頑張ってきたよね、その気持ちわかるよ」

と共感してもらえることも、感情の処理に効果がありますが、

何よりも大事なのは

「自分で自分に共感してあげる」こと。

 

本当は、わたしは怒っていたんだ、悲しかったんだ、

と感情を認めてあげてほしいのです。

 

自分が自分に厳しくして、

マイナスの感情を抱くことを許してあげないから、

人に慰めてほしいし、わかってほしくなる。

すると自分の思うようにしてくれない周りに対して

「八つ当たり」をするようになってしまいます。

 

では、今まで放置してきた感情をどうしたら、

自分で解消していくことができるか?

ホ・オポノポノやホメオパシーもおすすめですが、

それ以上に基本はやはり「冷えとり健康法」だと思います。

 

なぜなら感情は「思考」でなくて

からだの「細胞」が記憶しているからです。

 

例えば、交通事故にあったときに

ぶつかったケガ自体はたいしたことがないのに、

何か月も原因不明の痛みが続くことがあります。

 

「思考」では大きな事故ではなかったし

いのちに別状はなかったからと

理屈で起きたできごとを納得させることができますが、

からだの「細胞」で感じた恐怖の記憶は

からだへのアプローチでなければ癒すことはできません。

 

患部だけ治療していても意味がなくて、

「あのとき、怖かったよね。自分よしよし」

と、ゆっくりお風呂に浸かってからだを温めて、

靴下をたくさん履いて、自分に手間と時間をかけて、

からだに記憶した感情を癒してあげてください。

 

ところで、3月3日はひなまつりですね。

岐阜・郡上八幡では旧暦でひな祭りをお祝いする風習があり、

3月を過ぎてもひな人形をかざっています。

 

「福寄せ雛」といって、

八幡の城下町では、役目を終えたひな人形を集めて、

各店で自由にアレンジをして飾ります(4月3日まで)。

 

ひな祭りとは、おとなの女性になるための「いろは」を、

女の子に教えるような意味もあったとか。

今よりも昔のほうが何倍も「女であること」というだけで

悔しい想いをしていた女性がたくさんいらっしゃったと思います。

 

それでも、自分が自分を選んで生まれたことを

喜びに変えて生きるために、

「女の子のためのお祭り」が文化として

大切に残されてきたのではないでしょうか。

 



加藤祐里

かとう・ゆり|愛知県出身。年間1,000件以上のお産のある総合病院にて、助産師として務めたのち、東洋医学を学びはじめる。鍼灸マッサージ専門学校卒業後、結婚、出産、FMT自然整体の勉強、ふたたびの助産師としての勤務を経て、2012年4月、「自然の豊かな場所で子育てをしたい」という思いから、岐阜県郡上八幡へ移住。移住と同時に、自宅にて「郡上もりのこ鍼灸院」を開く。地元を中心にした多くの人々の健康相談にのっている。

Web Blog

マーマーなリレーエッセイ

服部みれい|わたしの手帖インタビュー連載 #6

 

img_1494_550

 

大好評発売中の「わたしの手帖」。

12月から、すでに使い始めている方は多いのではないでしょうか?

 

ぜひ、特別な手帖の使い方がありましたら、

メール:info@murmurmagazine.com

までご連絡いただけますとさいわいです!

使い方はぜひ、ブログ等でもご紹介させていただきます!

 

ご注文がまだという方、

マーマーなブックス アンド ソックス」や、

お取り扱い店でぜひ、チェックしてみてください!

 

それでは前回に引き続き、

『わたしの手帖』(わた手)の著者インタビューをお送りします。

 

「服部みれい|わたしの手帖インタビュー連載」は

今回で最終回です!!

 

(み=服部みれい、N=編集担当)

 

***

 

◎2016年版の手帖から変わったこと(付録編)

 

み 前回の流れで付録編のお話もしたいんですが。

付録編の冒頭に「浄化のためのホリスティックガイド」を入れていますよね。

 

0004

 

N はい、冷えとり健康法や瞑想、数秘術、塩浴や白湯など、

いろいろな知恵をダイジェストでご紹介しているコーナーですね。

 

み どのホリスティック医療でも言われていることですが、

浄化していくと何が変わるか、というと、

生命力が上がっていくんです。

そうやってこころもからだも状態がよくなっていくと、

人生のおもしろいことも起こっていく、

そういう順番が自然の法則なのかな、と思っています。

 

N 何か外側がうまくいっていない人は、

先に自分を浄化したほうがいい、

ということですか?

 

み わたしがよく言うたとえ話ですが、

こころもからだも状態がよくて、

機嫌がいい人が焼き芋を売っていたら、

その焼き芋屋さんには行列ができると思いませんか?

 

N そうですね……

逆にいくらおいしくても、

いつも怒っている焼き芋屋さんはいやですね……。

 

み 結婚が決まらないとか、

仕事がうまくいかないとか、

いろいろな問題があると思うんですが、

外側をどうにかしようとするのではなく、

自分自身のこころやからだをよくしていくことから

はじめるのが大事かな、とあらためて思っているんです。

そういう意味で、この『わたしの手帖』の付録は、

いろいろな知恵がまとまっているので、入門編としてもおすすめです。

 

N そこで興味をもってくださった方は、

あたらしい自分になる本』や関連書籍

読んでいただけるといいですよね。

関連書籍のブックガイドも付録に入っていますし。

 

0014

 

み わたしには冷えとり健康法がとても合っているんですけど、

人によって合うものは違ってくるから、

いろいろな知恵に触れて、

自分にフィットするものを見つけていただけたら、

と思っています。

 

N 2017年版では、このホリスティックガイドに

「顔深筋マッサージ」などあらたな知恵も入れて、

さらに充実した内容になりましたね。

 

0008

 

み 顔深筋マッサージ、わたしはよく移動中にやっています。

 

N わたしはお風呂でやっています!

顔をなでているだけでも癒やされますよね。

 

み 情報充実といえば、

「こころとからだを支えるイエローページ」、

ここも全面的にアップデートしましたね。

 

0027

 

N はい、お店の方にご協力いただいて、

最新の情報にしています。

マーマーな農家サイト」掲載のおすすめの農家さんをはじめ、

新規掲載のお店もありますし、

ぜひ2017年もお役立ていただければと思います。

 

み そのほかのコーナーについても細かく見直して、

情報更新しています。

 

N そうですね。

そしてさらに、新コーナーとして

「こころをたくましくする12のことば」を

みれいさんに書き下ろしていただきました。

 

0042

 

み 2016年も各地で災害が起こりましたが、

そういった災害に遭遇したときなどに、

こころの支えになるようなことができないかな、

と思ったのが、このコーナーをつくったきっかけです。

 

N 地震や台風などがあちこちで起こりましたものね……。

 

み はい。

それに災害だけでなく、

日常の中でびっくりするようなことが起きたり、

突然病気になったりすることもありますし。

そういったいろいろな体験をされたときに、

何か手助けできることがあれば……と。

たった2ページのコーナーですが、

「まさか」のときに読んでいただければと思います。

 

N 別コーナーで、具体的な防災の知恵も載せているんですが、

それとは違う、こころへのアプローチという切り口ですね。

以前から、いつも持ち歩く手帖だからこそ、

載っていると心強い知恵ってなんだろうと考えていたので、

今回、このコーナーが実現できてうれしいです。

 

0040

 

み あと、付録編といえば。

美濃情報もとても役立っているという声をよく聞きます。

「エムエム・ブックス みの」にいらっしゃるお客様は、

この手帖を片手に来てくださる方がとても多くて。

 

0023

 

N わー、それはうれしいです!

美濃のお店の方々に協力していただきながらつくったページなので、

美濃の町をたのしむ手引になれば、と願っていました。

2017年版は岐阜の情報も増量しましたし、

美濃からさらに岐阜各地に足を延ばしても素敵ですよね。

 

み ぜひぜひ!

美濃や岐阜は遠くていらっしゃれないという方も、

ここを読んで、どんなところか想像していただけたら……。

わたしたちも美濃に住んで一年半が経ち、

前より美濃や岐阜にくわしくなっていて、

それが反映された内容になっていると思います。

 

***

 

2017年版の『わたしの手帖』(2016年12月はじまり)や

関連商品の『ポケットマーマー』シリーズは、

「マーマーなブックス アンド ソックス」で販売しております。

 

ただ今、日めくりカレンダーや

ポケットマーマーシリーズ、オリジナルえんぴつ

ギフトセットでも販売しております!

大切な方へのプレゼントに、

自分自身へのプレゼントにもおすすめです。

 

全国の書店や雑貨店など

「マーマーマガジン」取扱店でも絶賛♡発売中です。