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マーマーなリレーエッセイ

#34 わたしの手帖インタビュー6
毎週木曜更新!

付録編とローカリゼーションのはなし

 

『わたしの手帖2018』、発売から2週間以上が過ぎました。

12月はじまりの手帖なので、

いよいよ使いはじめるという方もいらっしゃいますよね。

 

ときどき、毎年この手帖を使ってくださっている方から、

12月は今年の手帖を使い続けるほうがいいのか、

それとも来年の手帖を使い始めるほうがいいのか、

という質問をいただくことがあるのですが、

答えは……「直感で決める!」……です。

正解がなくてすみません。

 

でも、ずっと愛用してきた2017年の手帖で

そのまま締めくくるのもすてきですし、

早めに2018年に意識を切り替えるのも、もちろんアリ!

どちらにしても、手帖を切り替えるタイミングで

今まで使ってきた手帖とともに、

2017年のふりかえりをしてみてくださいね。

(何れにしても、両方の12月のエッセイとワークを

おたのしみいただけたらうれしいです!

 

早くも売り切れになったお店も出てきていますし、

とにかく今年は追加注文が多いです!

年内には完売しそうない勢い……。

『わたしの手帖2018』のご購入を検討されている方は、

お早めに「手帖、日めくりッカレンダー お取扱店」へ。

また、「マーマーなブックス アンド ソックス」でも、

絶賛発売中です!

 

では、まだまだ続く、手帖インタビュー、

今日は黄色の付録編のお話です。

 

***

 

 

◎付録編がコンパクトになった理由

 

 

野田 読み物が充実した『わたしの手帖2018』ですが、同時に、手帖を使う方が気づきや考えたことなどをたくさん綴ることができるように、書き込み欄を増やしました(くわしくは #26 わたしの手帖2018 第3回 へ)。

 

服部 毎月、アファメーションやふりかえりをたっぷり書き込めるし、ワークの答えもメモしやすくなりましたよね。

 

野田 そうなんです。外出先でも気軽にワークができるのは、便利ですよね! ただ、そうやって書き込み欄を増やすと、あらたな問題が出てきまして……。ページ数が増えると、手帖が重くなったりかさばったりして、「片手にすっとおさまるコンパクトさ」がなくなってしまうんです。

 

服部 そうなんですよね……。

 

野田 どうするか悩んだ末、みなさんが使いやすいように、手帖の自由記入スペースを増やす代わりに、付録編を薄くすることにしました。特に大幅なカットとなったのが、全国の自然派のお店を紹介する、「こころとからだを支えるイエローページ」だったんです。

 

服部 一生懸命セレクトしたリストだったので、残念ではあるんですが、今はインターネットなどでも調べていただけますしね。

 

野田 そうですよね……。手帖のサイズ自体は変わっていないので、あのイエローページを持ち歩きたい! という方は、2017年版の付録編をまた使う、ということもできるとは思います。

 

服部 はい、ちょっと手帖が分厚くなりますが、そういう手もありますよね。ただ、お店の情報は2016年に調べたものなので、最新情報は個別にご確認いただくほうが安心かもしれません。

 

 

◎ブックガイドに込めた思い

 

 

野田 そんなふうにコンパクトになった付録編ですが、一方で、拡充したコーナーもあります。「わたしと出合うためのブックガイド」を大幅に見直して、3ページから5ページに増やしました!

 

服部 そうですね。『マーマーマガジン フォーメン』の最新号で、中島正さんという思想家の方の追悼特集として、「みの虫生活のすすめ」特集を組みましましたが、そういった「古くてあたらしい」価値観や生き方をみなさんに知っていただきたいな、という思いを込めてブックリストを追加しました。

 

野田 たしかに、最新のマーマーの空気も反映されたブックリストになっていますよね。初期マーマーでテーマとなっていた、自分のからだやたましいの浄化から、最近の農的な暮らしまで、幅広くなっています。マーマー的な世界観の入門ガイドにもなっているというか。

 

服部 よくマーマーでは「古くてあたらしい価値観」ということばを使いますが、本を通して、それを知っていただけるといいな、と思います。

 

野田 男女問わず読めるような、選書になっていますね。

 

服部 そうですね。今は男性の意識も変わってきていますし、移住を考えたり、都会にいるけれど自然と共にある暮らしも取り入れたい、と考えている方も多いと思うんです。そういう方にも参考になる本が集まっています。

 

野田 このブックガイドが充実することで、付録編がより濃くなりましたね。

 

服部 本当に! より自立的な生き方を提案する内容になっていますよね。

 

野田 「自立」ってしっくりくることばですね。冷えとり健康法のようなセルフケアは、薬などに過度に依存せず、自分の自己治癒力を高め、からだをたくましくするということだし、移住も、都市や消費社会に過度に依存しすぎない生き方の提案のひとつですよね。

 

服部 そう、この手帖の裏テーマは「自立」なんです!

 

野田 自立して「わたし」本位で生きるための知恵が詰まっている、ということですね。

 

 

◎ローカリゼーションに注目!

 

 

野田 この付録編で、大きな特色となっているのが、岐阜や美濃市の情報が充実していることですよね。

 

服部 実際、「どうして?」と聞かれることもあるのですが……もちろんマーマーマガジンの編集部が2年半前に美濃に移住したのが一番のきっかけで、読者のみなさんに興味をもっていただいたり、ぜひあそびにきていただきたいなという思いがあります。ただ、こういった編集部の動きを通して、ご自分自身の「ローカリゼーション」というものにも目を向けていただけたらな、と。

 

野田 ローカリゼーションって、ときどき聞くことばですが、「地域化」という意味ですよね?

 

服部 そう、グローバリゼーションの逆の意味で、「地域」というちいさな規模の文化などをもっと見直そう、ということですね。

 

野田 その表現の一環として、「美濃」に注目している、ということですか?

 

服部 はい、もちろん美濃や岐阜をアピールしたいという気持ちもありますが、それだけではなくて、みなさんご自身のルーツや、ゆかりのある地域にも注目してもらいたいという気持ちが強いんです。みなさんにも、住んでいる場所とか、故郷とか、あるいは旅行で訪れてご縁ができた土地とか……そういう場所が国内外問わずあると思うんですが、そういった「地域」での暮らしを、それぞれみなさんが大切にするといいのかな、と思うんです。自分の中の「都市化」を少し緩める、みたいなイメージです。

 

野田 そういうメッセージを発信できるのは、地方にある出版社ならでは、という気がします。

 

服部 まあ! ありがとうございます。まだまだな部分もあるのですが、ローカリゼーションへの動きはマーマーマガジンらしさだと思いますし、こういった動きが増えたら、おもしろい状況がおのずと生まれそうですよね。佐渡に住んでいる人が、佐渡のことを徹底的に紹介するとか、フィンランドのある村を好きな人が、そこについて発信するとか。そういった多様性がすごくおもしろい時代ですし、都会的な情報に一極集中しなくてもいいのかな、と。単純に、人が移動するだけでも、充分、おもしろい。一極集中ではなくて、もっとみんなが散らばったらおもしろいと思っています。

 

野田 ナガオカケンメイさん主宰のD&DEPARTMENTが発行している『d design travel』という雑誌が、47都道府県に焦点をあてていて、おもしろいですよね。

 

服部 おもしろいですよね。ナガオカケンメイさんは、地域のすぐれたものを、本当にすばらしいセンスで発掘し、再評価されていて、本当にすごいなあと思っています。

 

野田 ガイドブック的な意味でも参考になるんですけど、読みごたえもしっかりあって。観光名所をとおりいっぺんになぞるのではなく、その土地の個性を見つめる視点がいいな、と思います。

 

服部 あのまなざしが、この日本のある部分の最新の気分を表していると思います。わたしもとっても共感しながら読んでいます。

 

野田 同じような気分で自分の地域を歩いてみたら、たのしそうですね。

 

服部 新鮮な気持ちで見てみると、「あれ? これ、けっこういいな」と見直すことも出てきそうですよね。地域へのリテラシーが高まる。うちの編集部には、芸術やものづくりのお仕事に携わっている方がいらっしゃることも多いんですが、ああいった方々が美濃の町を散歩すると、そういう隠れたかっこいいもの、かわいいものを発掘してきてくれたりするんです。

 

野田 違う場所から来た人が見つけられるおもしろさ、というものもありますよね。

 

服部 「海外の観光客から見た日本」みたいな視点ですよね。その視点を自分の町に向けてみたら、新鮮な発見がいっぱいあると思います。こんないいところがあった、とか。入ったことのないお店がすごくいいお店だった、とか。実はこんな特産品を収穫できる、とか。

 

野田 東京にも、意外に畑が残っていたりしますよね。わたしもこの前、三鷹市で穫れたキウイをいただいて、こんな特産品があるんだ、と気づいたりしました。ちゃんと地域の個性があるのに、目を向けていないだけだったりして。

 

服部 そうそう。東京だって、「ローカリゼーション」的な視点で見ると、あらたな発見があるはずなんです。たとえば東京の練馬に住んでいても、実際に読んでいるのは、どこでも買えるようなものの情報だったりしますよね。それよりもっと「練馬」に着目してみては? ということです。

 

野田 そうですね、東京でも近所の神社とかお祭りを調べてみたら、実は古い歴史があったりするかもしれないですよね。

 

服部 さらにはその視点を自分自身にも向けてみると、とってもおもしろいことになると思います。

 

野田 なるほど……! 自分自身って、究極のローカルですね(笑)

 

服部 あはは。本当にそうですね。自分のことって、いちばんよくわからないものですよね。自分のもち味はこういうところで、こういう部分が人の役に立つんだな、とか。グローバルからローカルへ、そこからさらに個人へ。時代はそういう方向へ向かっていると思います。

 

***

 

今回は、ブックガイドやローカリゼーションの

お話が中心になりましたが、

ほかにも、付録編には、

冷えとり健康法やホ・オポノポノなど、

こころやからだ、たましいをクリーニングする方法をご紹介した

「浄化のためのホリスティックガイド」や、

思いもよらぬピンチのときに、元気を取り戻すための

「こころをたくましくする12のことば」など、

いろいろなコンテンツが詰まっています。

 

 

 

◎おまけ

そろそろ紅葉も散りはじめてきましたね。

すでに2018年版の手帖をお持ちの方は、

2018年11月の石田紀佳さんのエッセイコーナーに

落ち葉のたのしみ方が載っているので

ぜひ、見てみてくださいね。

 

つづく

(野田りえ)