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小屋と畑

高橋博の 自然が何でも教えてくれる #08
毎月1日更新!

 

第8回 先を見て農業をやっていく

 

うち(自然農法成田生産組合)の規格は厳しいよ。わたしが代表にいたときにそうしたの。そのくらい厳しい基準を設けないと、農家も土づくりに真剣にならないからね。基準を甘くして、どうでもいいというふうにすると、農家の人たちは努力しなくなって、努力しないとお金にもならなくなる。結果、経済的にも農家にとってよくないことが起こる。
肥毒が抜けたいい土のほうが収量が上がるね。収量が上がらないと価格が上がって今度は消費者を泣かせるんだ。農家も自分たちの生活があるから、高く買ってよ、となる。だから、昔(の自然栽培の野菜)はいまの倍の値段だったよ。だけどこれは許されないだろうと思ったの。
そうして、農家が努力するにはどうすればよいかと考えて、組合の規格を経済連規格にして厳しくしてみた。それから、土がついたまま出荷してはいけないようにした。だって土つきだったら、虫がついていたとしても、ごまかせてしまっていたから。最初のうちは土の件にしても、反発をくらったよ。「消費者は洗わなくていいといっているじゃないか」とね。そのときはそれでも強引に押し切った。それは、そのほうが農家のためになるからと思ったから。消費者のためでなく、農家のためであることを強調してね。
最初は厳しくスタートしたんだけど、それから「洗わなくてもいい」っていう消費者がでたら、それがものすごく楽に感じるようになった。「選別もそれほど細かくやらなくてもいい」となったら、それもものすごく楽に思えたりね。厳しい後の楽は、ものすごく楽なの。
わたしだって先生に教えてもらっていたときは、鞭、鞭、鞭、だよ。絶対に先生は飴くれねぇんだ。ぶたれてぶたれて、「痛てぇよー」といったら、それでまたぶたれるんだ。「この野郎、冷てぇ野郎だなー」って思ったものだよ。それでもね、そんなんだから、たまーにくれる飴が、ほんとに甘く感じるわけさ。自分がそうされてきたから、この育てかたをおぼえちゃった。飴と鞭なら、鞭優先。そのひとを思えば、一瞬そのひとに恨まれるくらいわけないからさ。

最初の頃は草、草、草。同時に肥毒抜きの準備もしていたし、大変だったね。最終的にうまくいっているところを見ても、みんな「自分にはできない」ってなっちゃうもんな。「俺んちもう終わりだもん」とか「俺んちは将来の金が欲しいんじゃない。いま金が欲しいんだ」っていうんだ。それがいまの農業。明日の生活が大変だから、5年先10年先の準備なんかできない。もし、今年で農業を終わらせるつもりのひとたちだったら、自然農法はやらないほうがいいと思うよ。
よくいうのは、「ここまでできるのに、なんでやらないの?」ってこと。このあたりでも、あと10年後には農業人口は半分になっちゃう。そういう先のないひとたちはやらないね。だけど、人類はまだ続くだろう、世界で食糧は必要だろう、という人たちは、先をみたなかでこういう農業をやっていくといい。これだけチマチマやっていて、この広い田んぼ・畑がいつになったら全部変わるんだろうと思うけど、わたしたちにはその自信があるからね。それは自然があらわしている。自然規範のなかでの答えだから。
わたしが編み出した方法で、高橋流で考えてわたしがやっているんだとしたら、「高橋式自然農法」とか名前つけて本を書いてるよ。でもそれをやらないのは、わたしの農業っていうのは、ただ自然界が編み出してくれた農業だからなんだよね。わたしはただ自然を代弁してしゃべるだけのことでね。だから、自分で本を書くなんていうのは、おこがましくてできないわけ。いまでこそ、インターネットとかいろいろな資料のわたしの名前はでているけど、それらのなかには自分から出したものはひとつもないからね。

肥毒が化学肥料だけのときはよかったんだけど、最近の畑の土は汚れてしまっているから。「河名(秀郎 ナチュラル・ハーモニー創業者)さん、これわたしたちが生きているうちに間に合うかなぁ。もしかしたら間に合わないかもしれないよ」、「でも、やるだけやろうやぁ。何人かの犠牲はしょうがないだろ」って話している。
日本はいまも土を汚しているんだ。大変な時代にはいってしまったんだよ。化学肥料の時代だったら肥毒は5年で抜けたからもしれない。でもいまは、さらに5年くらい肥毒抜きしなくちゃいけない。からだに入ってしまったらなかなかでてこないんだ。最近取り組みはじめたひとたちの畑は虫の大発生だよ。うちのメンバーもそうだけど、10年目になって大量発生とかね。それで肥毒は抜けてきれいになったけど、その畑の大根を全部捨てなくちゃいけなくなった。しょうがないことだけどね。

「本当に当たり前のこと」(第1回参照)がみんなできないんだよな。事実がでちまえば、それがあたり前になったと思えたひとたちがあたり前の生活をしてくれるよな。みんな鞭の時代を過ごしているから、こんな飴をみるとみんな、「本当だ!」と思うから。だから最初は鞭、鞭でいこうと思っているんだよ。
鞭を浴びせられたひとはきっと、「痛てぇ、痛てぇ」っていったろうな。だけども、そのあと絶対に「ありがとう」という言葉がでてくるから。本当にみんなここから卒業した連中が、手紙なんかで報告をくれるんだよ。「やっと独立しました!」とか「今年からはじまりました!」とかね、そういう報告が全国から届くよ。

 

 

高橋博(たかはし・ひろし)

1950年千葉県生まれ。自然栽培全国普及会会長。自然農法成田生産組合技術開発部部長。1978年より、自然栽培をスタート。現在、千葉県富里市で9000坪の畑にて自然栽培で作物を育てている。自然栽培についての勉強会を開催するほか、国内外で、自然栽培の普及を精力的に努めている。高橋さんの野菜は、「ナチュラル・ハーモニーの宅配」にて買うことができる。

http://www.naturalharmony.co.jp/takuhai/

小屋と畑

高橋博の 自然が何でも教えてくれる #07
毎月1日更新!

 

第7回 頭のなかの肥毒

 

自然栽培の教えにある自然規範。そのなかにもいろいろな項目があって、うちの研修生たちはその10項目をすべて学ぶの。一年居ようと三年居ようと。面接を受けるひとたちすべてにいっているのは、「うちからは一銭もお金はでないからな」ということ。畑で何時間働こうと、お金はでないよ、って。その代わり教習料はもらわない。その条件を飲んだひとたちが研修生になるんだ。前までは住み込みもやっていたけれど、いまはもうやっていないから、研修生はみんなアパートに入ってもらうしかないんだ。そうすると、アパート代と食いっぷちは稼ぐしかないんだよ。で、どうしようかとなったわけだけど、ちょうど隣町にナチュラル・ハーモニーの宅配センターがあったから、そこで週3回のバイトをやらせてもらえるようになったわけ。

で、ひとによっては週3でなく、毎日バイトをしないと生活していけない人もいる。そうするとね、毎日働かないといけないひとが、ひがみはじめるんだよ。だから、「ひがんだってなにも生まれないんだよ」っていってやるの。もしほかの人と同じ条件でやりたいのなら、ナチュラル・ハーモニーの始業時間、9時よりも前にうちに来て、就業時間の17時のあとにうちに来るしかないだろう、と。

そうしたらさ、本当にそういう時間に通ってくるわけよ。そうして学んでいって。ここでの研修で特徴的なのは、技術は学べないというところ。そういうものはアパートで一般書でも読んでくれてたらいい。うちでそこまで教えている時間はないからね。それよりも、自然を感知する能力をひっぱりだすことに集中する。
でもさ、ある40歳くらいの男性なんかは、それまでの過去や経験が邪魔して、その力が入っていかないケースもあった。頭のなかに肥毒があるんだよ。そのひとは、なにか教えてあげると、「そうですね」って返事をするんだ。ふつうは「そうですか」でしょ。「そうですね」ってのはつまり、「自分は知っています」ってことだよね。だからもう、わたしもいわなくなっちゃって。いってもらえないというのは辛いんだよ。

そう思ったから、それからは彼には特別に力を入れて指導するようにしたんだ。そうしたら、一年目のある日から一週間、畑にでてこなくなっちゃった。二年目なんか、一か月こなくなっちゃった。家の外から呼びかけていたらようやくドアが開いて、中からでてきたその男は、もう魂が抜けたようになっているんだ。そこで怒るでもなしに、「生きてるのがわかったから、帰る」っていって、わたしも引き上げてさ。そうしたらまた畑にくるようになったけど、またみっちり指導されるわけ。でも、それからはみんな以上に耐えていたな。

そこから彼は少しずつ変わっていって、みんなにかける言葉なんかもよくなっていったね。三年目には本当に素直な男になって帰っていったよ。
肥毒が抜けたんだろうね。肩に力が入るタイプだったんだけど、素直になって、「いい人生」って感じになったな。そんな感じで、土と同じで、ひとによっても時間のかかり方が違うんだよな。

 

 

高橋博(たかはし・ひろし)

1950年千葉県生まれ。自然栽培全国普及会会長。自然農法成田生産組合技術開発部部長。1978年より、自然栽培をスタート。現在、千葉県富里市で9000坪の畑にて自然栽培で作物を育てている。自然栽培についての勉強会を開催するほか、国内外で、自然栽培の普及を精力的に努めている。高橋さんの野菜は、「ナチュラル・ハーモニーの宅配」にて買うことができる。

http://www.naturalharmony.co.jp/takuhai/

小屋と畑

高橋博の 自然が何でも教えてくれる #06
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第6回 肩こりみたいな症状が土の中で起きている

 

自然栽培には80年の歴史があって、昭和初期、全国に普及した時代があったんだ。当時は一般の農業(動物糞尿による)よりも無肥料のほうが収量が上がっているにもかかわらず、国の政策は化学肥料を導入して食糧増産というとき。無肥料なんて認められずに消えていってしまった。
次は昭和50年代にふたたび自然栽培の普及運動がはじまって、全国で実施された。しかし今度は何年経っても収量は上がらず、虫や病気に悩まされるという現状の中で、世の中からまた消えようとしている。原因を追究してみると、そこには半世紀前の土と現代の土に大きな違いがあるんだ。だけど誰もが気づかず、みすみす自然栽培を断念してしまっていたんだよ。

化学肥料を土に入れることで蓄積された、冷たくて硬い土の層を肥毒というんだ。書物では土の肥毒は3年で消えるって学んでいる。それじゃあ原因はなんなんだろうって思って、うちの組合の技術開発にお願いをして、土の中を掘り下げて見てみたの。そしたら、「消える」といわれていたものがまだ「ある」んだよ。冷たくて硬い肥毒がそこに。これが虫・病気の原因であり、収量をあげない原因だとわかったわけさ。それだけなんだ。肥毒がなくなれば収量は有り余るほどとれ、虫や病気はまったくなくなるって自然栽培の本では説いていたからね。

どうしたらいいかっていうことで、いろいろな想定……、土質では火山灰地、砂地、粘土地で肥毒を抜く方法を試して、5年間追跡調査してみたの。そしたらほぼ5年で、これだっていう原因がわかってきた。それをちゃんと解決したら、しっかり成績があがってきた。そこで発表しようと思ったけど、5年じゃまだ確信できないから、もう5年見てみようって結局10年見て。10年で「これでよし!」って確信を得た。先生が亡くなった後だし、どうやってこれを全国に広めようかと考えていた。そんなときに河名(秀郎 ナチュラル・ハーモニー創業者)さんと再会して、「全国から自然農法が消えてしまった原因がわかったよ!」って、みんなに報告することができた。

どの土でも肥毒の抜き方は同じ。基本は固まりになってしまっていて、人間でいえば肩こりみたいな症状が土のなかで起きているんだ。だから土が冴えないの。活力がでてこない。当時、肥毒をどうやって抜こうかとうちの技術開発部が考えたときに、着想を得たのは人間の肩こりを揉んで治すというもの。揉むと悪い血が流れていって楽になるから、「土も揉もうよ」と。はじめは機械で細かく砕いてみたんだけど、やっぱり3年放っておくと元に戻っちゃうんだ。
だから、毒をしっかり出してやらなくちゃいけない。出す方法として自然界はなにをやっているか考えてみたら、それは草木に吸ってもらうことだった。麦や、根の強いものを植えてどんどん吸ってもらったよ。吸ってもらった土はとてもよかった。それでもやっぱり少し肥毒が残ることは想定されるから、何年か後にまた抜こうといって、長いスパンで計画したんだ。肥毒を抜かないと虫や病気はでてくるし、雑草はでてくるし、収量はでないから。肥毒をとったあとは、なんともかんたんだったよ。収量はあがって、虫や病気はなくなるし、雑草もだいぶ少なくなったね。

 

 

高橋博(たかはし・ひろし)

1950年千葉県生まれ。自然栽培全国普及会会長。自然農法成田生産組合技術開発部部長。1978年より、自然栽培をスタート。現在、千葉県富里市で9000坪の畑にて自然栽培で作物を育てている。自然栽培についての勉強会を開催するほか、国内外で、自然栽培の普及を精力的に努めている。高橋さんの野菜は、「ナチュラル・ハーモニーの宅配」にて買うことができる。

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小屋と畑

土脉潤い起こる

 

 

みなさま、こんにちは!

七十二候によると、今日(2月19日)から

「雪は雨になり、また雪が溶けはじめ、

土に植物が芽吹くための潤いがもたらされる時期」とのこと。

 

今日は天気も最高にいいし、一粒万倍日だし、

『土脉潤い起こる』というなんとも種を蒔くのに良さそうな日なので

朝からそわそわ。

仕事の合間をぬって、庭に植えたかった梅の木やクローバーの種を植えました。

 

 

ほんとうは藍の種、そしてレモンの木も植えたかったのですが

そこまで庭に時間を割くことができず・・・。

 

 

 

田んぼの梅の木みたいにおおきくな〜れ!

 

 

 

 

一粒万倍!

今の編集部に移ってきた年にも白クローバーをたくさん蒔いたのですが

かちかちだった土壌がすごくやわらかくなったような気がしました。

 

なので今回は道沿いなど、

主に土が硬くなっているところに蒔きました。

浜名農園さんの固定種や在来種は

小社ウェブショップや美濃の実店舗でも販売しております!

 

 

種が蒔けてうれしいのですが

待ってましたとばかりにすずめちゃんたちがたくさん

庭に降り立ってきます。

 

そして今年からは・・・・

 

 

年末にわが家にやってきた美濃柴犬のまりもちゃんも

食べ物には目がないので、たいがいの種は食べてしまいます。

それも土ごとっ!!

 

そういったいろいろなものを乗り越えて

地表に出てくる植物たち・・・・

すごいなぁ、逞しいなぁ・・・

 

今から会えることを楽しみにしているぜっ!

 

 

 

まりもちゃんは庭の池の水も飲みます。

凍っていてもおかまいなしで、ぺろぺろなめて氷をとかします。

 

 

 

 

お嬢さん!

もうすぐしたらここは緑でいっぱいになりますよ!

 

花でも咲いたら、花冠でもつくってあげたいと思いますが

きっとすぐに彼女は食べてしまうでしょうねぇ・・・・

 

 

(編集部 福太郎)

 

 

 

小屋と畑

高橋博の 自然が何でも教えてくれる #05
毎月1日更新!

 

第5回 入った毒は、自然がすぐに処理をしてくれる

 

いい土には「温かい」、「柔らかい」、「水もち・水はけがよい」という三つの条件があるんだ。うちの畑の土はまさにその条件を再現しているから、みんなそれに驚くよ。

いい土の場合は、なにか汚いものが入ったとしても、作物には症状をださないで、その土自身がきれいにしてしまう。だって土には浄化するちからがあるからね。自然界では隣からなにか入ってきても問題ない。そんなものは浄化してしまう。自然が教えてくれているじゃん。でもいまの土は汚れているから、浄化しきらないで土からでてくるんだよな。汚れた水になっちまうんだ。
このあいだ、虫が大発生していたけど、自然栽培の畑には来なかった。よく「無農薬は虫だらけ」っていう先入観をもたれるんだけど、だからこそ安全なんだということを訴え続けるしかないんだ。虫が来るのには原因があって、それは環境がまだまだ本物になりきっていないからなんだよ。
隣にはごぼう畑があって、ゾウ虫みたいのがでるんだ。大量の虫だけど、ほとんど一般の畑のほうにいる。そりゃ、何匹かはこっちの畑にもきていたけどさ。まるで線を引いたようにこっちに来ないのは、うちのメンバーみんなが見たよ。あの虫はきっと毒を食いにいってたんだよ。きっと、その役目のもとに生まれたんだよ。窒素が好きなんだな。それが彼らにとっての餌なんだろう。だから、窒素がない自然栽培の土は彼らにはおいしくなかったんだろう。こっちには虫が来る必要がないから、心配いらないんだ。

窒素は作物づくりに必要だけど、化学肥料の窒素では人間の食糧はまかないきれない。そんなエネルギーではね。最初ね、農協の指導員に「お前らのやり方でやっていたら、食糧難を起こす」っていわれたんだよ。確かに当時は食糧難の量しかつくれなかったけど、いまじゃそのひともなんともいえないくらいになっちゃった。
うちの弟は役所で働いていたんだけど、「お前の兄貴ってすげぇなぁ」といってもらえるそうだよ。「あれが本当のやりかたなんだなぁ」って。みんな今だからそういうことをいってくれるよ。自然栽培でもやっていけるという事実がでたからね。
でも、当時の風あたりは強かった。「あんなやり方では肥料会社も農薬会社もつぶれちゃう」とかさ。研修生に、肥料や農薬をつくっている会社のひとがいるんだ。「あなたのところもそうだよな。戦争のときには鉄砲をつくったけど、今も鉄砲をつくってるか? 肥料や農薬を使わない時代がきたら、肥料や農薬つくっても仕方ないわけだよ」っていっているよ。肥料や農薬を使わない農法が広まれば、彼らみたいな大企業も考えるだろう。鉄砲がつくられなくなったみたいに、つくってもしょうがないものが消えていくかたちで、肥料や農薬も消えていけばいいと思う。つまらない理由づけで否定してくるひとの多いこと。でもいまはそれにも「なんでもいっていいよ」という態度をとれるようになった。なによりも強いものが事実だとわかっているからね。

いい土には「団粒」というものがあって、これは機械ではできないんだよ。堆肥がつくりだすの。だけど肥料の入った堆肥ではこうはならないんだな。この粒の一個一個が水を持ち、必要のないものは吐くっていう仕組みになっているんだ。水はけ、水もちのよい土ということだね。これを目指してみんな堆肥をいれてきたんだ。しかし、一般の土はこれがなくなってしまっているから、水はけがよいだけになってしまうのよ。だから、どんどん、どんどん乾燥していってしまうんだ。堆肥をぼんぼん入れていれても、どうも備わらない。肥料を昔の倍入れないとできないんだよ。最初のうちは、「水はけ・水もちがよい」ってなんのことだろう、と思ったの。だけど、よく育つところはみんなこういう土になことに気づいたわけ。で、見てみると、たしかに水はけ・水もちがよかったんだ。これが深ければ深いほど、力がある土なわけだ。しかし、我々のところはまだまだ浅いね。

団粒と微生物の働きもなにかしら関係あるだろうね。微生物を培養して養殖して放す、みたいな話も聞くけど、それがすべてだと考えるのも違うんじゃないかな。必要なときに微生物が来て、必要のないときには彼らはでてこないわけだから。だから人工的に必要以上に入れたら、弊害が起こるよ、きっと。栄養剤と同じでさ、栄養が足りてないから栄養剤やサプリメントで補おうとしても、からだは狂うよ。どうしても考え方がそっちに偏るんだよな。

 

 

高橋博(たかはし・ひろし)

1950年千葉県生まれ。自然栽培全国普及会会長。自然農法成田生産組合技術開発部部長。1978年より、自然栽培をスタート。現在、千葉県富里市で9000坪の畑にて自然栽培で作物を育てている。自然栽培についての勉強会を開催するほか、国内外で、自然栽培の普及を精力的に努めている。高橋さんの野菜は、「ナチュラル・ハーモニーの宅配」にて買うことができる。

http://www.naturalharmony.co.jp/takuhai/