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くしま けんじ

第1水曜更新
くしまけんじのおべんと帖
第8回 素食魯肉飯便當(スーシー ルーローファン ペントン)

空気がたくさんの湿気を纏い、まったりと重くなる梅雨時期に、日本よりも南に位置し、気温も湿度もさらに高い、台湾は高雄・台南をひとりで旅してきました。

短い旅の中でも、たくさんの食べもの、飲みものを味わいました。

 

台湾のソウルフードともいわれる、魯肉飯(ルーローファン)。

もともとは、豚肉をしいたけなどといっしょに、醤油やスパイスを入れて甘じょっぱく煮たもの(魯肉)をごはんにかけたものですが、今回はそれを、大豆ミートときのこでつくってみました。

食べると、やさしい笑顔のおばちゃんが営むちいさな食堂の店先で味わったときの、台南の街の喧騒や蒸し暑さも含んだ空気まるごとを思い出すような、素食魯肉飯(スーシー ルーローファン)ができあがりました。

 

*素食(スーシー):肉や魚など動物性の食材を一切使わない、ベジタリアン料理のこと。台湾では、「台湾素食」という、肉や魚に似せた、もどき料理の文化がある。

 

*便當(ペントン・べんとう):日本の植民地時代に、日本の「弁当」の発音と意味が伝わり、台湾華語でも弁当を意味することばとなった。

 


 

素食魯肉風煮込み       

〇材料(つくりやすい分量・お弁当4個分)

 

大豆ミート(ブロックタイプ) 80g

しいたけ 25g (約1個)

しめじ 50g

干ししいたけ 1個

昆布 切手大1枚

米油 大さじ1

長葱(白い部分) 15g(1/4本分)

長葱(青い部分) 1本分

生姜 1片(15gほど)

にんにく 1片

 

紹興酒(または老酒) 40g

米味噌 小さじ1

黒糖 25g

醤油 20g

みりん 10g

純米酢 5g

水 100g (出汁分)+300g(煮込み分)

塩 小さじ1/4

葛粉 小さじ1・1/2

五香粉 小さじ1/3

 

*五香粉(ウーシャンフェン・ごこうふん)は、中華圏でよく使われるミックススパイス。

八角(スターアニス)、肉桂(シナモン)、陳皮(チンピ)、丁子(クローブ)、花椒(ホワジャオ)の5種が使われる(どれかの代わりに茴香(ウイキョウ)が入る場合もある)。

 

〇つくりかた 

 

準備:ボウルなどに、干ししいたけと昆布を入れ、100gの水を注いで浸し、出汁をとっておく。

 

①大豆ミートを戻す。

大豆ミートの量に対して、たっぷりの量のお湯を沸かす。大きめのボウルに大豆ミートを入れておき、沸騰したお湯を注ぎ、大豆ミートを戻す。

そのまま20分ほど置いておく。

大豆ミートの水気を軽く絞り、大きめの鍋に入れていく。すべての大豆ミートを鍋に入れたら、たっぷりの量の水を注ぎ、強火にかける。

グラグラと沸騰したら、弱火にし、そのまま3分ほど煮たあとで、ざるにあげておく。

②しいたけとしめじを切る。

しいたけとしめじは石突きの硬い部分を切り取り、しいたけは1cm角に、しめじはある程度ほぐしたものを1cmの長さに切る。

戻した大豆ミートは、軽く水分を絞り、7mm角に切る。出汁に使った干ししいたけも7mm角に切る。

 

③長葱の白い部分は、粗みじん切りにする。
生姜は、みじん切りにする。
にんにくは1片を3・4枚のスライスにする。

 

④鍋に、米油をひき中火にかけ、油が温まったところで、生姜、長葱の白い部分を入れ、塩をほんの少々振り入れ(分量外)、炒める。

香りが出てきたら、大豆ミートと干ししいたけ、しめじ、しいたけを加え、さらに炒める。

 

⑤ボウルに合わせ調味料をつくる。米味噌と黒糖を入れ、そこに干ししいたけと昆布の出汁を加えて、味噌と黒糖を溶く(溶けきらなくても、煮ているうちに溶けるので大丈夫)。

水と、五香粉以外の調味料、葛粉もすべて加えて、混ぜておく。

 

⑥合わせ調味料の液体を鍋に注ぎ(昆布ごと)、長葱の青い部分は長いままねじり、香りが出やすいようにし、にんにくのスライスとともに鍋に加え、煮立たせる。沸騰したら、くつくつ煮立っている状態を保つくらいの弱火にし、そのまま煮ていく(蓋はしない)。

 

⑦1時間ほど煮たところで、にんにくのスライスを取り除き(それ以上煮ると煮溶けてきて、取り出しにくくなるため)、五香粉を加えて全体を混ぜ、たまに混ぜながら、あと30分ほど煮る。

 

⑧水分が煮詰まり、鍋底にうっすら煮汁が残っているくらいの状態になったら、火を止める。

昆布と長葱の青い部分を取り除く。

 

〇仕上げ

1.5合分のごはんを、2つのお弁当箱に分けて敷き、上に素食魯肉風煮込み(1人分に約120g。好みで調節する)をのせる。

好みで、たくわん、高菜漬け、青菜をさっと茹で胡麻油と塩で和えたもの(写真はター菜)、生の生姜の千切りなどを添える。


 

〇補足とポイント

 

・大豆ミートは、今回「LOVEG」という日本のメーカーのもので、フィレタイプを使用。
ブロックタイプでも、フィレタイプでもどちらでもつくれる。フィレタイプのほうが、少し噛み応えがある。「LOVEG」の大豆ミートは、特有の香りも少なく、大豆ミートに慣れていないかたでもおいしく食べやすいと思う。
https://loveg.jp/collections/soy-meat

 

・1時間半近く煮るため、早い時間から煮はじめて、煮ている間に違うことをしていて、たまに様子を見るくらいにすると楽。

 

・長い時間煮るため、ある程度の量があった方が味をよく含んでおいしく煮える。2つのお弁当を2回分(計4つ)ほどつくれる分量なので、つくって冷蔵保存(冷凍も可能)しておくと便利。また、麺にかけたり、豆腐にかけたり、中華まんの中身にしたり、いろいろな料理に展開もできるので、まとめて多めにつくっておくのがおすすめ。

 

・大豆ミートに味を含ませるためにやわらかく煮る。そのため1時間半くらいは煮るとよい。火加減、鍋の大きさや表面積、深さ等によって煮汁が減る早さは変わってくる。1時間半よりも早く煮詰まってしまいそうな場合は、早めに水を足して調節するとよい。逆に、1時間半経っても煮汁がたくさん残っている場合には、火を少し強めて長めに煮て、水分を煮飛ばすようにするとよい。

 

・紹興酒または老酒は、ない場合は日本酒でもよいが、紹興酒や老酒を使うと、風味がより本格的になる。

 

・黒糖は、今回は沖縄産の塊のある黒糖を使った。黒糖を使うと、長い時間煮て深みが出るためおすすめ。

きび砂糖でつくると、もう少しあっさりとした風味になる。お好みで選ぶとよい。

 

・五香粉は、唐揚げの下味に使ったり、唐揚げを食べるときに付けたり、マヨネーズと混ぜてソースにしたり、餃子の中身に混ぜるなど、さまざまな料理に使える。五香粉が入ると、一気に魯肉らしくなるので、ぜひ使ってほしい。

 

・葛粉は、煮汁にほんの少しのとろみをつけ、大豆ミートやきのこに絡みやすくしてコクを出すために入れる。

 

・台南・高雄でごはんを食べたときに、そぼろごはんや魯肉飯に、生の生姜の千切りが添えられていたのが、新鮮に感じられた。日本ではあまり見ない気がするけれど、口の中がさっぱりとして気持ちがいいので、生姜の千切りを添えるのはおすすめ。

くしま けんじ

料理家。2020年、東京・西荻窪で姉と営んでいたレストラン「食堂くしま」を閉じ、神奈川・鎌倉へと拠点を移し、パートナーと2匹の愛犬とともに暮らす。鎌倉の海辺のアトリエ「DODO」にて料理教室を主宰するほか、茶人として一客一亭の中国茶会「くしま茶侶」を開く。パートナーであるkaiの著作『kaiのチャクラケアブック』(エムエム・ブックス=刊)、『PEACEFUL PLUOT PIE』(個人出版)の挿画を担当するなど、絵描きとしても活動。お弁当は秋冬の間、月に一度、鎌倉市場内のデリショップ「DAILY by LONG TRACK FOODS」にて予約販売している。

(この連載で紹介しているお弁当は、販売しているものではなく、自分たちが食べている普段のお弁当です)

instagram:@kenjikushima