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くしま けんじ

第1水曜更新
くしまけんじのおべんと帖
第6回 焼き野菜と胡麻バターソースのサンドウィッチ弁当

パンをお弁当に、というと、思い浮かぶ、憧れのお弁当があります。

それは、PB&J。

ピーナッツバターandジェリー・サンドウィッチのことです。

薄いパンに、ピーナッツバター(甘くないもの)とブルーベリーなどのフルーツジャムを塗って挟んだ、シンプルだけれど、おいしいサンドウィッチ。

このサンドウィッチと、ちいさめのりんごを丸ごとひとつ、を、茶色いクラフト紙の紙袋に無造作に入れてもっていく、お弁当。

アメリカのドラマや映画などで、何度も目にしてきた、ランチの光景です。

 

ほんの数分あればつくれてしまう、パンにピーナッツバターとジャムを塗っただけの、サンドウィッチ。

それを紙袋にがさっと放りこんで、お弁当にもっていく。

いっしょに持っていくりんごだって、手にもって齧りつくから、丸のままです。

自分ならば、食べやすいように切り分けたり、皮を剥いたりしてしまいそう。

 

PB&Jのお弁当は、憧れてつくりたいなら、すぐにでもつくれるものだけれど、何に憧れているのかと考えてみると、この無造作、無頓着さ加減に憧れがあるのではないかと思うのです。

らくにぱっとつくれるものを、がさっともっていけば、それでいい。

食べものに、無造作、無頓着。

 

そういう性質は、(自分は)あまりもち合わせていなさそうで、ならば、サンドウィッチだけを真似てつってもしかたありません。
手に入れられないからこそ、の憧れ。叶わない憧れなのかな、と思います。

そして自分は、じっりと焼いて、味の詰まった野菜をたさん(パンからはみ出るほどに)挟んだサンドウィッチをつります。
食べると、野菜のおいしさがほんとうにすきだな、としみじみします。

野菜のおいしさをちゃんと引き出せるようにじっくりと焼いて、バランスをみながら注意深くのせて。

ピーナッツバターならぬ、胡麻バター(練り胡麻のペースト)と挟んで。

食べると、野菜の香ばしさや甘みに、あ、おいしいな、と感じいる。やっぱりこういうサンドウィッチのほうが、性(しょう)に合っているようです。

 


 

焼き野菜と胡麻バターソースのサンドウィッチ

○材料(2人分)

 

●野菜

すきな野菜 挟みたいだけ(パンの断面の大きさを見ながら、パンで挟めるくらいの量の野菜を用意する)

 

●パン

すきな食事パン、食パンや田舎パンなど スライスして4枚

 

●ハーブ

香菜、バジル、イタリアンパセリ、パセリ、ディル、大葉、など、合いそうなすきなハーブ(今回は香菜を使用)

 

●exオリーブ油 適量

 

●自然塩 適量

 

●バルサミコ酢(もしくは、レモン果汁) 適量

 

●胡麻バターソース

・タヒニ*(もしくは、白練り胡麻) 60g

・米味噌(もしくは、麦味噌) 8g

・梅酢 10g

・醤油 4g

・きび砂糖 ひとつまみ

・湯 20g程度

 

*タヒニ 中近東や地中海の料理などによく使われる練り胡麻で、焙煎した胡麻の実をすりつぶしてペースト状にしたもの。コクと、少し苦味があるのもおいしい。日本の練り胡麻で代用できる


 

○つくりかた

 

焼きたい野菜を、パンに挟める厚さや大きさ、野菜のそれぞれの硬さ、食べやすい大きさなどを考えながら、包丁で切る。

野菜によって、必要であれば水に浸してアクを抜く(今回の野菜では、茄子とさつまいも)、ヘタと種をとる(今回の野菜では、茄子とカラーピーマン)など、下ごしらえをする。

 

野菜を焼いていく。

フライパンに、exオリーブ油をひき、火をつけ、フライパンがあたたまったところで野菜を並べ、表面に塩を振り、中弱火でじっくりと火を通していく(多少目を離していても大丈夫なので、焼いている間に③のソースがつくれる)。

途中で一度上下を返し、野菜の両面に焦げ目がつき、水分が少し飛び凝縮され、甘みが出て、香ばしい香りがしてくるまで焼く。そのあと、バットなどに取り出しておく。

フライパンに一度に野菜が並びきらない場合は、何回かに分けて、焼く。

 

野菜をじっくり焼いている間に、胡麻バターソースをつくる。

ボウルに、湯以外の材料をすべて入れ、ゴムベラなどでよく混ぜる。味噌や醤油が入ると、タヒニや練り胡麻は粘度のあるペースト状になるので、そこで、混ぜながら湯を少しづつ加えていき、様子を見ながら、パンに塗りやすい硬さになるまで調節する(やわらかくしすぎると、サンドウィッチとして持ち運んだ時に流れ出てきたり、食べづらかったりするので、気をつける)。

 

スライスしたパン4枚の表面、片面に、胡麻バターソースを、パンの端まで塗る。

パンのうちの2枚、胡麻バターソースの上からハーブを全体にのせる(必要であれば、切ったり手でちぎったりする。今回の香菜の場合は、葉を摘み、茎の部分は細かく刻み、茎を散らした上に葉をのせた)。

 

パンに野菜を並べる。並べた時の厚みを見ながら、パンの表面に収まるように、野菜をバランスよく並べる。

すべて野菜を並べたら、好みで自然塩少々振り(野菜を焼いている間の塩に加えて、もう少し塩味があったほうがよいかな、と感じる場合)、バルサミコ酢を少量振りかける。

 

もう2枚のパンの、胡麻バターを塗った面が野菜に接するように、野菜をのせたそれぞれのパンにかぶせて、挟み、サンドウィッチにする。

 


 

◯補足とポイント

・パンは、すきなものでよいが、白くてふわふわと柔らかいパンよりも、全粒粉が入っていて茶色っぽかったり天然酵母の少し酸味のある香りが感じられたりするパンのほうが、このサンドウィッチには向いていると思う。

今回は、外国人の店主が焼いている鎌倉のパン屋さんのサワードゥ・ブレッドを使った。

 

・今回は、野菜は、茄子1本、ズッキーニ1/2本、にんじん5センチ分、長葱5センチ分、カラーピーマン1個と1/2個(黄色と赤)、舞茸2株、スティックセニョール2枝、さつまいも8ミリ厚の輪切り2枚、と、多めの野菜を用意したが、すきな野菜を、すきな数だけ、パンの断面に挟めそうな量まで、用意すればよい。香ばしく焼いておいしそうな野菜を選ぶこと。

 

・仕上げにかけるバルサミコ酢は、レモン汁にしてもよい。レモン汁のほうがさっぱりと軽い風味になるので、そのときの気分で決めるとよい。

 

・今回、サンドウィッチは、オーブンペーパーで包んで、籠のお弁当箱に入れた。食べやすいように半分に切ってから包んでもよい。

ピクルスは、お惣菜屋さんの容器を再利用したものに入れ、液体がこぼれないようにした。

 

・ 家で食べる人のぶんは、お皿を伏せて被せると蓋になる器に入れて、乾燥しないようにするとよい。

 


 

さつまいものピクルス

 

〇材料(つくりやすい量。今回は500cc容量の瓶1本分)

 

●野菜 

・さつまいも

・カラーピーマン

・にんじん

・セロリ

・玉ねぎ

これらを合わせて200g

 

●ハーブやスパイス

・ローリエ1枚

・セロリの葉適量

・黒胡椒粒5粒

・ディルシード小さじ1/2

 

●昆布 切手大1枚

 

●ピクルス液

・りんご酢 160g

・水 50-60g

・みりん 15g

・きび砂糖 40g

・塩 10g

 


 

〇つくりかた

 

①野菜を切る。

ピクルスを漬ける容器、蓋のできるガラス瓶や、ホーローの保存容器などの大きさを見ながら、食べやすい大きさに切る。

さつまいもは、輪切りにして、大きければ半割りにし、水に浸して、アクをとる。

 

②さつまいも以外の野菜は(セロリの葉も)、漬ける容器に入れておく。

 

②ピクルス液をつくる。

小鍋をはかりにのせ、分量を計りながら直接小鍋の中にすべての材料を入れる。

 

③ピクルス液を火にかける。中火にかけ、たまに小鍋を揺するようにして、砂糖と塩を溶かす。

沸騰し、勢いよく泡が出ているところへ、水気を切ったさつまいもを入れる。再沸騰したら、弱火にし、そのまま2分程(さつまいもの大きさによる。今回は7mmほどの厚さの半割りで、2分)、火にかける。

④ピクルス液を、さつまいももいっしょに入れるように、野菜の入った容器に注ぎ入れる。

注ぎ切ったらすぐに蓋をする。

 

⑤冷めるまで常温で置いておく。

 


 

◯補足とポイント

 

・ピクルスは、翌日から食べられる。

1週間以上はもつが、長く保存する場合は、昆布とセロリの葉は取り除く。

 

・ピクルスを翌日に食べる場合、また翌日に容器を開ける場合には50gの水。

もう少し漬ける期間が長くなる場合は60gの水にするとよい。

 

・さつまいものピクルスは、甘酸っぱい風味のついた、甘いさつまいもが、おいしい。さつまいもは生では食べられないが、火が入り過ぎると形が崩れてくることがあるため、厚さや火の入れ具合、熱いピクルス液が冷めていく間に入る余熱、などを合わせてイメージして、程よいかたさに仕上がるように、漬ける。

その仕上がりをイメージして、理想に近づけるようにすることが、料理上手になることにつながっていくと思う。

 

・今回のつくりかたと同じ方法で、きのこのピクルスをつくってもおいしい。きのこも、さつまいも同様に、ピクルス液の中で先に少し煮てから漬けるとよい。

 

・香りのスパイスや、香味野菜は、好みで選ぶとよい。にんにくや鷹の爪を入れてもよいし、セロリの葉を入れず、ローリエだけにしてもよい。

今回は家にあったので入れたが、ディルシードを入れなくてもよい。

 

・ピクルスは、サンドウィッチに添えるほか、カレーやオムライスに添えたりしても、よく合う。

 

くしま けんじ

料理家。2020年、東京・西荻窪で姉と営んでいたレストラン「食堂くしま」を閉じ、神奈川・鎌倉へと拠点を移し、パートナーと2匹の愛犬とともに暮らす。鎌倉の海辺のアトリエ「DODO」にて料理教室を主宰するほか、茶人として一客一亭の中国茶会「くしま茶侶」を開く。パートナーであるkaiの著作『kaiのチャクラケアブック』(エムエム・ブックス=刊)、『PEACEFUL PLUOT PIE』(個人出版)の挿画を担当するなど、絵描きとしても活動。お弁当は秋冬の間、月に一度、鎌倉市場内のデリショップ「DAILY by LONG TRACK FOODS」にて予約販売している。

(この連載で紹介しているお弁当は、販売しているものではなく、自分たちが食べている普段のお弁当です)

instagram:@kenjikushima