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Special Issue 別マー特集

更新日 2012/03/30

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マーマーガールズの手記 続「地震・原発・自然エネルギー わたしのことを話そう」

東日本大震災から1年。本誌特集「地震・原発・自然エネルギー わたしのことを話そう」には、読者のみなさんが自分の中から絞り出すようにして書いてくれたレポートが、たくさん届きました。ここでは、何度かにわたり、本誌でご紹介しきれなかったマーマーガールズの手記をご紹介していきます。 イラスト=相馬章宏

第1回 人間の力で最後まで面倒みきれない原発なんてつくるべきじゃない(宮城県/UKさん/無職)
地震後の混乱と、静けさと

昨年の大震災の日、わが家は両親とも家にいて、
わたしはネットで調べものをするなど、
それぞれがのんびり過ごしていたところに地震が来ました。

揺れが尋常ではなく、テレビもすぐに消えました。
わたしは何もできず、ただただ(何者かに向って)謝って、泣いていました。
地震の激しい揺れは長くても1分程度でおさまるという話を
聞いたことがあったのですが、
1分経ってもおさまる気配はありません。
家の中のものはあちこちに飛び、
とにかくからだの震えが止まりませんでした。
「地震のあと、雪が降った」とみんながいっていましたが、
全然覚えていません。

揺れが少しおさまったあと、近所の叔母の家に行きました。
叔母はひとりで家にいたのですが、
3か月前に亡くなった祖父の遺影を守ろうとして、
ガラスで手を切っていました(でも本人は気づいていませんでした)。
そして、わが家より派手にものが壊れていました。
片づけを少し手伝い、今後どうするかを話し合いました。
食料もあまりなく、日が落ちれば家の中は真っ暗です。
周辺は、とにかく静まり返っていました。

家に戻り、眠る場所を確保し、コートを着たまま布団に入りました。
かろうじてラジオが使えたので聞いていると、
荒浜(宮城県仙台市若林区)という海岸に
遺体がたくさん打ち上げられたというニュースが流れてきました。

「あちこちで、いろいろなことが起こっている……」
そう思ったら、頭がいっぱいになり、
とにかく、早く朝が来ることを祈りました。

真っ暗な夜でした。

地震後の世界で生き延びるために

翌日から、食料確保のための奔走がはじまりました。

いつもより遠いスーパーまで足を延ばしたり、
路上販売をしている飲食店に並んだり、
とにかく食べられるものなら何でもよかったので、
駄菓子屋さんにも並びました。
路上販売をしている方たちからも、とにかく
「できるだけ多くの人たちに食べものを届けたい」
という思いが伝わってきました。
みんな、3時間でも5時間でも、辛抱強く待ちました。
この状況が一体どれくらい続いたのかは、記憶にありません。

ライフラインについては、電気は割と早く復旧しましたが、
余震でたびたび消えることがありました。
ガスは、全国から応援隊が来てくれたおかげで、
3月末に復旧しました。
水道も出なかったのですが、
父が水汲みをがんばってくれました。

2か月、3か月と日が経ち、
やっと少し冷静にまわりを見渡せるようになりましたが、
町の中の建物はひどく壊れ、取り壊された家屋も増えていました。
お世話になった漁師さんが、津波で亡くなったことも聞きました。
地震への思いは、誰とどこにいたかで、
感じかたがだいぶ違うようです。

自然界に内在する何かを信じて

地震後わたしは、とにかく小さなことでも
集中してやるようになりました。
何でもじっくり味わうような、そんな感じです。
そして、ものすごくまめに掃除をするようにもなりました。
手づくりすることが増えて、季節を味わうようになり、
「日本が好きなんだ」とあらためて気づきました。

お恥ずかしい話ですが、わたしはこの大地震があるまで、
日本にこんなに原発があるなんて、知りませんでした。

人間は、自分で最後まで面倒みきれないものは、
つくるべきじゃないと思います。
でも、放射性物質に関しては、過剰には心配していなくて、
あまり脅威に感じたくないなと思っています。

放射性物質に打ち勝つ、または中和するパワーは、
人間や自然界のものに内在しているのではないでしょうか。
時間はかかっても、きっとそれらが発揮されていくと、
わたしは信じています。

プロフィール

[ペンネーム・ゆーけー]

30歳。仙台市在住。被災地、そして福島県にもまだまだ困っている方がいるので、みんなが考えることをやめないでほしいなと思います

◎東日本大震災の体験手記を募集します
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※今回のご応募は、被災した方、または被災地へのボランティア経験などがある方に限らせていただきます。
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※特集「地震・原発・自然エネルギー わたしのことを話そう」は本誌15号でご覧いただけます

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