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Special Issue 別マー特集

更新日 2012/04/13

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マーマーガールズの手記 続「地震・原発・自然エネルギー わたしのことを話そう」

東日本大震災から1年。本誌特集「地震・原発・自然エネルギー わたしのことを話そう」には、読者のみなさんが自分の中から絞り出すようにして書いてくれたレポートが、たくさん届きました。ここでは、何度かにわたり、本誌でご紹介しきれなかったマーマーガールズの手記をご紹介していきます。 イラスト=相馬章宏

第2回 国、行政、電力会社には、「いのち」を一番に考えて行動してほしい(東京都/みずがめさん/会社員)
水も支援物資も手に入らなくて

わたしの故郷は福島県いわき市で、
福島第一原発から約40キロの、海沿いの町です。

地元には両親と姉が住んでいるのですが、
震災のあとは水が出なくなり、余震も続いていたので、
洋服を着たまま、みんなで居間で寝る日が何日も続いたそうです。

姉に聞いた話では、
いわき市にはしばらく支援物資が届かなくて、
やっと来たと思ったら、ひとりにつき1日に菓子パン1個と
ミネラルウォーター1本だけ。
実家の備蓄食材がなかったら、本当に恐怖だったといっていました。

わたしがショックだったのは、
中学生のときによく行っていた市民球場のそばの体育館が、
亡くなった方たちの安置所になっていたということ。
病院だけでは場所が足りなくなって、
多くの方々がそこに安置されていたそうです。

その後もしばらく水が出ない日が続いたため、
両親たちは、父の故郷の長野に避難しました。

故郷の村では、住民の方たちがあたたかく迎えてくれて、
お見舞金もたくさんいただいたそうです。
わたしも、家族に会うため長野へ行きましたが、
みなさんのこころづかいが、じんわりとこころにしみました。

直視できない現実、揺れるこころ

両親と姉は、今はもう福島に戻っていて、
わたしはときどき里帰りをしています。

そのたびに実感するのは、わたしも含め、
家族みんなが原発について知らないふりをしているということ。
まるで何もなかったかのように、
原発のことにはふれないようにして生活しているのです。

東京に住んでいるわたしでさえ、
「福島、大変だね」といわれると、つい、
「そんなことない。みんなが大げさなだけ」
といってしまいます。
こころの中では警鐘が鳴っているのに、目をそらしているような……。
こんな心境が、もう1年も続いています。

放射能汚染についても戦々恐々としていて、
自分なりにいろいろ調べてみていますが、
どこかで「大丈夫でありますように」という思いがあり、
こわい情報を知りそうになると、目をそらしてしまいます。

それでも、調べれば調べるほど、
「家族をどこかに避難させなくては」と思ったり、
「このまま、故郷で平和に暮らしてほしい」と思ったり。

今だに、気持ちは揺れ続けています。

いのちより大事なものなんてない

震災後しばらくしてから、
「何かできることを」と思い、募金をしました。
でも、ボランティアについては故郷の惨状を前に足がすくんでしまい、
写真の洗浄をするのが精一杯でした。

昨年のGWに帰郷した際は、泥かきのボランティアをしようと思い、
両親に相談したのですが、
「いつ津波がくるのか、気が気でない」
と猛反対されました。

そんな中、服部みれいさんのブログを読んで、
「とにかく自分から」と思い、冷えとりや掃除などを無心でしました。
生活や仕事についてもよく考えるようになり、
本当にほしいものなのか、本当にやりたい仕事なのか、
原点に戻って考えるようになりました。

また、「ホ・オポノポノ」の
イハレアカラ・ヒューレン博士がおっしゃっていた
「マジェンタ、マジェンタ、放射線」*ということばを唱えて、
いわき市が浄化されている様子をイメージしたりもしました。

国や行政、電力会社には、
いのちを一番に考えて行動してほしいです。
ただそれだけを、本当に考えてほしい。

福島の人たちは、一見何もなかったかのように振るまっていますが、
やはりこころの奥底では、故郷を邪険にされて傷ついていると思います。

原発はちっとも安全ではない、ということはわかっているので、
これ以上故郷を追われる人が出ないよう、
脱原発の署名活動にも、積極的に参加していきたいと思います。
そして、もう少し故郷の現状を直視できるようになったら
デモなどにも参加したいです。

あとできるのは、祈ること。
故郷のために、ただただ祈りを捧げます。

* 今の日本の状況に対して、博士がクリーニングをした結果、
インスピレーションから受けとったクリーニングツール

プロフィール

[ペンネーム・みずがめ]

29歳。福島県いわき市で生まれて育つ。今は東京に暮らし、自分のからだを整えながら、ときどき帰郷してボランティア活動に参加したりしている

◎東日本大震災の体験手記を募集します
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※今回のご応募は、被災した方、または被災地へのボランティア経験などがある方に限らせていただきます。
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※特集「地震・原発・自然エネルギー わたしのことを話そう」は本誌15号でご覧いただけます


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