第4水曜更新
思春期倶楽部
ほんとうのわたしを求めて
7日目 思春期と更年期のミラーリング

みなさんは「ミラーリング」ということばをご存じでしょうか?
シュタイナーのバイオグラフィーワーク(※自分の人生の軌跡の中に、生きる意味を探究する教育プロセスのこと)では、人間の7年周期(※シュタイナー教育では7年周期で人間の成長を眺めます)に沿って個々の人生の経験を眺め、その時々のできごとや感情を書き出していきます。
そこに現れる人生の特定の時期に起きたできごとや感情のテーマは、のちの人生のサイクルで鏡(ミラー)のように映し出され、形を変えて再び現れると考えられています。
たとえば第一7年期の0歳から7歳という時期は、第九7年期の57歳から63歳に対応しています。それらの時期に同じようなテーマが現れるという、過去と未来が鏡写しのような関係になっていることをミラーリングといいます。
そのような人生の仕組みがあるという観点で眺めたとき、第三7年期である14歳から21歳の思春期は、第七7年期である42歳から49歳と対応し、およそ更年期を迎えはじめる世代と、実はミラーリングの関係にあるのです。
確かに、思春期の子どもたちは第二次性徴を迎え、ホルモンバランスが変化し、肉体に変化が起こります。同様に42歳から49歳のころになると、多くの人が今までとは違う体調の変化を感じるでしょう。そこにもやはり更年期というホルモンバランスの変化が影響を与えています。
ですから、肉体に起こる変化とともに情緒の不安定さをもつ点でも、思春期の子どもたちと更年期の親世代は、似た者同士であることが多いのです。
そりゃあぶつかり合うよね。そりゃあきついはずだわ。
なんだか日々のバトルが自然だと思えてきませんか? だって、互いにグラグラ、こころもからだも変化中なんですもの。
では思春期と更年期のミラーリングに見られるテーマとは、なんでしょう? それは「判断」に関連するものだとシュタイナーではいわれています。
思春期に大事なことは「自立する」ことです。たとえば思春期の子どもたちは「自分で決める」ことがとても大事になります。だから親のいうことを聞きたくない。今まで家庭の中で当たり前にやっていたことに反発するようになる。否定的になることも多いです。
わが家でも、オーガニック食はダサいとか、コンビニのごはんがおいしいだとか、まるで当てつけのように、今まで食べてこなかったジャンクフードに手を伸ばし、わが家で大事にはぐくんできた「食卓のありかた」を、思春期を迎えた子どもたちに否定された時期がありました。最初は「わたしの育てかたが間違っていたのか……」と悩みましたが、こうやって反発し、親の手によってつくられてきた数々の当たり前を自分で壊してみたり、まったく違うことをやってみることを通して、「(子どもたち自身が)わたしはそれを本当に選びたいのか?」と自分に問うている時期でもある。そんなふうに思春期を眺めたとき、わたしは「よし。よく育ってる」と、腹をたてず落ち込まず、安心できるようになりました。
このように、思春期の子どもは暮らしのさまざまな選択と決定のなかで、失敗をしたとしても、間違っていたとしても、「自分で決める」ということを繰り返します。けれどその「判断」は、まだ幼い衝動や感情的なものの大きな影響を受けているのです。
それが更年期になると、「判断」というテーマは、衝動ではない判断力、思考力へと変容していきます。つまり思慮分別がついてくるようになる。そして思いつきではない、経験に基づいた直観にも似た力が芽生えてきます。思春期とは違う、変容した「判断力」がもたらされるのです。それはある意味で、進化した思考力ともいえるでしょう。
こんなふうにして、一つのテーマが時間を経て深みを増し、特定の時期とつながりをもって映し出されていく。それが人生におけるミラーリングという法則のおもしろいところです。
このように人生が鏡写しであるのならば、思春期のさまざまな体験は、人生の晩年を豊かにするための時間だと思えてきます。すると、あらゆる反発や批判が、とても健全に見えてきませんか?
あれはただのわがままじゃない。あの面倒なやりとりを通して、子どもたちは何かとても大事なことに取り組んでいるのですから。
つづく

三男三女・6人の母。10代からファッションモデルとして雑誌や広告で活躍。出産・子育てをきっかけに、シュタイナー教育やマクロビオティック、ヨガなどを取り入れた「自然な暮らしと子育て」を実践し、その経験をまとめた著書を多数刊行。クシマクロビオティックアドバイザーの資格を取得後は料理指導をはじめ、オーガニックな家庭料理を提案するレシピ本も発表している。
2013年にドイツ人の数学者と再婚し、ブラジルでの生活を経てベルリンへ移住。現地ではヒルデガルト・ヘルスケアアドバイザーの資格を取得。現在はモデルとして活動を続けながら、「台所から子育て・暮らしを健やかに豊かに」をテーマとしたオンラインコミュニティ「Mitte(ミッテ)」を主宰。母の健やかさは子どもの健やかさへ、女性の健やかさは社会の健やかさへ、がモットー。子ども時代、インナーマザーフッド(内在的母性)を守りはぐくむ暮らしの提案を行う。2026年5月26に最新著書『Motherhood Childhood おかあさんって、なんだろう』(エムエム・ブックス=刊)が発売。5月から、みれい☆かるちゃ~☆すく~るで「大人のシュタイナー教育」講座を開催。
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