第4水曜更新
思春期倶楽部
ほんとうのわたしを求めて
6日目 幼児期よりも手間をかけて! 思春期の子育てを経て気づいた5つのこと

思春期に大事なことって、なんだろう?
学童期(7~14歳)の子育てについて、それなりに安定的に過ごされた方も多いかもしれません。でも、子どもが中学生になったら(あるいは小学校高学年から)、急に雲行きが怪しくなり、疑いようもない思春期感に包まれはじめると、「え!? もう育児の大変な時期は過ぎたと思ったのに、思春期ってなんかめっちゃ大変なんですけど!」と慌てふためいたりして(笑)、「そういえば思春期の子育てって、何を大事にしたらいいんだろう」なんて考える余裕すらない方も多いかもしれません。
「幼児期を過ぎたら子育ては楽になる」と思っていた、その期待は裏切られ、進路のこともちらつく中学生の時期は、いよいよ成績や学習態度が気になるものです。今やスマホやゲーム、SNSと、学業以外にも心配なことが増えるなかで、どうしてもそうした「社会の中における思春期」という年代そのものの課題のようなものに、親もフォーカスしがちです。
けれど、もう少し子ども目線で眺めてみると、つい親が躍起になって見てしまうこととは違う部分を大事にしたほうがいいのではないか、と思うようになりました。
今日は、わたしが思春期の子育てを通して気づいた、5つの大事なことをご紹介したいと思います。
1、意識の手間をかける
思春期は子どもが大きいからと、つい子育ての手間を手放してしまいます。「もう自分でできるでしょ」と思ってしまう。身のまわりのことは確かに自分でできるけれど、実はこころの面では幼児期よりもうんと不安定で、意識を向ける「手間」が必要なのは、ちいさな子どもよりも、思春期の子どもたちのほうかもしれません。
2、その子のリズムを眺める
思春期の子育てになると、「進路」というものが視界に入ってくるため、どうしても人と比べたり、数値で見えるものが気になってしまいます。
だけどそれは、現実的に今必要であっても、人生のツールであって目的ではないのですよね。だから、偏差値や平均値という「社会の中でのその子の位置」を眺めるだけでなく、その子自身がどんな「リズム」をもっているのかを見つめることが大事なのではないかなと思うのです。
3、正論より、ただ寄り添う
思春期のはじまり。親はよかれと思って、子どもの言動の間違いを正すことに躍起になりがちです。それが親の役目という思い、または社会からの期待やプレッシャーもあるかもしれません。だから親としての立場は、つい正論を目指してしまうのです。
たしかにツッコミどころ満載な思春期の子どもたちだけれど、彼らはただ何も言わず、気持ちに寄り添ってほしいだけだったりもするから、ときには口を閉じて耳を傾けることも必要かもしれません。
4、避けずにうまく経過させる
思春期のあれこれは、風邪と同じで、一見すると面倒なものです。だけど無理に避けようとしたり、いわば薬で止めたりするようなことではなく、その子自身がうまく出せる状態にしていくこと。
つまり、親が叱ったり罰を与えていうことを聞かせる、というような瞬時に効き目のありそうなことで子どもの行動を整えようとするのではなくて、好ましくない言動や態度であっても「必要」があって出てくる排出のようなものだと捉えてみるのです。
何度も同じやりとりを繰り返すこともあるかもしれないけれど、子どもがその経験を通してこそ自分で考え、成長していくという時間のかかる子育ての面倒くささを、親も覚悟して受け止めることが大事です。
5、親が子どもを育てるのではないということ
思春期は、親も将来の心配やまわりとの比較から、「これくらいできていないと」といったような、社会があたりまえと思っているレベルを押しつけたり、なんとかやらせようとしてしまうことがあります。
だけど子どもは、本質的には親からではなく自分を自分でしか教育できないとシュタイナー教育ではいわれており(*)、特に思春期以降の本当の成長は、あくまで子どもの内側からしかこないものです。
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「全ての教育は自己教育です。私たちは教師として、また教育者として、自分自身で自分自身を教育していく子供達にとっての「環境」でしかありません。私たちのもとで、子供が自分の内側からはたらく運命に即して、自分自身を教育できるように、そのための最適な「環境」を整えることが、私たちの仕事なのです。」
『小児科診察室: シュタイナー教育・医学からの子育て読本』(ミヒャエラ グレックラー /ヴォルフガング ゲーベル=著 入間カイ=訳 水声社=刊)より引用
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こうして眺めると、これまでの思春期の子育てで大事にしてきたことは、実は「外側をどう整えるか?」という部分が中心だった気がするのです。「なんとかうちの子もこの社会の軌道に乗せねば!」というようなことが必要な部分もあるかもしれないけれど、子どもたちが「本当のわたし」探しの旅に出るのが思春期だとすると、この時期はもっと子ども中心でもいい。子どもたちが「自分自身であること」を支えたり、親が「本当のその子の姿」を理解しようとすることを、もっと必要としているような気がするのです。
つづく
◎本連載における「思春期」とは、シュタイナーの提唱する7年周期による人間の成長段階にもとづき、第3・第7年期にあたる、14歳から21歳の時期を想定しています。ただし、子どもたち自身が思春期をまっとうすることができなかった場合、その年齢を過ぎても、思春期のような状態が続くことがあります。

三男三女・6人の母。10代からファッションモデルとして雑誌や広告で活躍。出産・子育てをきっかけに、シュタイナー教育やマクロビオティック、ヨガなどを取り入れた「自然な暮らしと子育て」を実践し、その経験をまとめた著書を多数刊行。クシマクロビオティックアドバイザーの資格を取得後は料理指導をはじめ、オーガニックな家庭料理を提案するレシピ本も発表している。
2013年にドイツ人の数学者と再婚し、ブラジルでの生活を経てベルリンへ移住。現地ではヒルデガルト・ヘルスケアアドバイザーの資格を取得。現在はモデルとして活動を続けながら、「台所から子育て・暮らしを健やかに豊かに」をテーマとしたオンラインコミュニティ「Mitte(ミッテ)」を主宰。母の健やかさは子どもの健やかさへ、女性の健やかさは社会の健やかさへ、がモットー。子ども時代、インナーマザーフッド(内在的母性)を守りはぐくむ暮らしの提案を行う。2026年5月26に最新著書『Motherhood Childhood おかあさんって、なんだろう』(エムエム・ブックス=刊)が発売。5月から、みれい☆かるちゃ~☆すく~るで「大人のシュタイナー教育」講座を開催。
Instagram:@hitomihigashi_b
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