第1水曜更新
くしまけんじのおべんと帖
第4回 テンペと菜の花のちらしずし弁当

生まれ育った家でよく食卓にのぼったものに、混ぜごはん、があります。
甘辛く煮た、さつま揚げ、しいたけ、蓮根(だったかな)などが混ぜ込まれた酢飯に、細切りの海苔、錦糸卵が飾られ、ところどころに茹でて細長く斜め切りにされたさやいんげんか、絹さやが散らしてあったような。
大皿か、寿司桶にたっぷりと出てきて、めいめいがお皿に取り分けたあとに、紅生姜をのせて食べる。
たぶん、あれは、ちらしずし、ではなくて、混ぜごはん。
混ぜごはんをちらしずし風に盛り付けたものなのでは、と思うのですが、大人になってから、こどもの頃からよく食べていたあのごはんについて母に聞いてみたことがあり、実家のある地域(山梨県の東京寄りの地域、ひいては、埼玉県や神奈川県などの関東地方)では、「かてめし」とも呼ぶことを教えてくれました。
調べてみたら、「かて」とは、材料のこと(糧)を指すそうですが、母から聞いた当初は、日々のくらしの糧、になるようなごはん、という意味なのではないか、とも感じられて、なんとよい名前の料理なんだろう! と感じ入りました。
さて、混ぜごはんではなくて、ちらしずし、のこと。
酸っぱいごはんがだいすきな自分にとっては、混ぜごはんに負けず劣らず、ちらしずしもだいすきなごはんなのですが、青菜(菜花)や紅生姜やたくあん、にんじん、などが散りばめられた色あいゆたかな様子は、どこでお弁当箱を開いていても、食べている足元に春の花畑が広がっているような気持ちにさせてく
テンペと菜の花のちらしずし弁当

〇材料(2人分)
テンペ 100g
しいたけ 2個
水 60g
昆布(切手大のもの)1枚
醤油 15g
みりん 15g
・
にんじん 70g(約2/3本分)
塩 2つまみ
りんご酢 8g
きび砂糖 4g
白炒り胡麻 2g
・
菜の花 30g(5本〜10本ほど)
スナップえんどう 4本
金柑 2個
たくあん(べったら漬けでも)50g
海苔 (おむすび用サイズ) 1枚
大葉 4枚
紅生姜(漬け汁をきって) 25gほど
白炒り胡麻 適量
・
ごはん 1合半分
白バルサミコ酢 20g
塩 ひとつまみ
・
甘酒濃縮タイプ 20g
紅生姜の赤梅酢漬け汁(赤梅酢でも)10gほど
〇つくりかた

①テンペ(※)としいたけを甘辛く煮る。
テンペは、1.5センチほどの角切りにする。
しいたけは、石づきを切り落とし、6等分〜8等分(しいたけの大きさによって)ほどの大きさに、放射状に切る。
※主に大豆を発酵させてつくる、インドネシアの伝統食品
②小鍋に、昆布と水、醤油とみりんを入れ、煮立たせる。煮立ったところへ、しいたけを入れ、1分ほど煮る。鍋の中をひと混ぜし、そこへ、テンペも加えて煮る。テンペが崩れ過ぎないようにたまにそっと混ぜながら、煮汁がなくなるまで煮ておく。
③別の小鍋に湯を沸かす。菜の花を1本ずつ湯の中へ入れ、30秒ほどさっと茹で(湯が沸騰を保っていたら、茹でている間に次の1本を投入して大丈夫)、茹だったものから1本ずつ取り出し、ボウルに溜めた冷水に取る。しばらく置いておき、熱が取れたら、シンクの中などにまな板を立てかけ、その上に取り出し、水気を切
次に、スナップえんどうを茹でる。
ヘタと筋を取り除いたスナップえんどうを、菜の花と同様に1本ずつ、菜の花を茹でたあとの小鍋で茹で、冷水にとる。スナップえんどうは1分半ほど茹でる。まな板の上で、菜の花の隣に並べ、水気を切る。
④③をしばらく置いておき、水気を切った菜の花、スナップえんどうを切る。
菜の花は、3センチの長さに。スナップえんどうは、一本を4等分ほどに、斜めに切る。
⑤にんじんの胡麻酢和えをつくる。
にんじんはなるべく細く千切りにし、塩をまぶして全体に馴染ませ、しばらく置く。表面が水に濡れたようになってきたら、両手の平で握るようにして、水気を絞る。絞ったら、ボウルの中で、りんご酢、きび砂糖、白胡麻を和えておく。
⑥金柑は、くし切りに縦に4等分、それをさらに横に3等分に切っておく。種は竹串などで取り除いておく。
⑦たくあんは、漬け汁の糠などが付いていたら流水で洗い、水気を切り、1センチ角に切る。
⑧甘酒梅酢ソースをつくる。甘酒に、紅生姜の漬け汁の梅酢を混ぜながら加えていき、とろみのある薄いピンク色のソースにする。
◎仕上げ

①炊き上がった温かいごはんに、塩ひとつまみを振り入れ、しゃもじで混ぜながら、白バルサミコ酢を加えて、酢飯をつくる。
②お弁当箱に酢飯を敷き詰め、ごはんの上に、海苔を大まかにちぎってのせる。
③ごはんと海苔の上に、テンペとしいたけの甘辛煮、たくあん、にんじんの胡麻酢和え、菜の花、スナップえんどう、金柑、紅生姜を色合いやバランスを見ながら、盛り付ける。
大葉は、4枚を葉軸の上下が互い違いになるように重ね、葉をくるくると丸めて、太めの千切りにする。大葉も全体のバランスを見ながら盛り付ける。
ところどころに、白炒り胡麻を散らす。
ところどころに、甘酒梅酢ソースをかける、もしくは、小さな容器に入れておいて食べる直前にかけるか、する。
◎補足とポイント

・テンペは、インドネシア発祥の大豆をテンペ菌によって発酵させた食べもの。大豆の発酵食品といっても、納豆のような匂いやくせはなく、大豆の甘みが感じられて、おいしい。
テンペは自然食品店やネットで購入できるが、手に入らない場合は、今回のレシピでは茹で大豆、蒸し大豆、茹でひよこ豆などでつくってもおいしい。
ちなみに、くしまは、テンペ菌を取り寄せて、テンペをつくったこともあり。
※くしまさんがよく使っているという、登喜和食品の丸大豆テンペは通販でも購入できます
・ごはんに白バルサミコ酢を混ぜると、砂糖によってではない自然な甘みが感じられる、おいしい酢飯が手軽につくれて、おすすめ。
・今回は、菜の花とスナップえんどうを茹でたものをのせたが、季節にあわせて他の緑の野菜でつくるのもよい。
・たくあん以外にも、べったら漬けを切ったものや、福神漬けを代用しても、おいしい。
歯ごたえのよいお漬物が入ると、味や食感のアクセントになる。
・金柑を入れると、柑橘の香りがさわやかで気持ちよく、酢飯にも合う。よいアクセントになるが、手に入らない時期は、いれなくても大丈夫。
・紅生姜の代わりに、新生姜の甘酢漬けを刻んで入れてもおいしい。
・大葉を切るときは、上記(仕上げ③)のように、互い違いに重ねてから巻いて切ると、ふわっと、切ることができる。なお、すごく細く切ると、時間が経つと切ったふちから黒ずんできてしまうため、お弁当の場合は太めに切るとよい。

料理家。2020年、東京・西荻窪で姉と営んでいたレストラン「食堂くしま」を閉じ、神奈川・鎌倉へと拠点を移し、パートナーと2匹の愛犬とともに暮らす。鎌倉の海辺のアトリエ「DODO」にて料理教室を主宰するほか、茶人として一客一亭の中国茶会「くしま茶侶」を開く。パートナーであるkaiの著作『kaiのチャクラケアブック』(エムエム・ブックス=刊)、『PEACEFUL PLUOT PIE』(個人出版)の挿画を担当するなど、絵描きとしても活動。お弁当は秋冬の間、月に一度、鎌倉市場内のデリショップ「DAILY by LONG TRACK FOODS」にて予約販売している。
(この連載で紹介しているお弁当は、販売しているものではなく、自分たちが食べている普段のお弁当です)
instagram:@kenjikushima
