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リレー・エコ連載

更新日 2008/11/07

エコ・リレー連載 murmur学園 エコ部!第1回/「エコ部!」では、今さら人に聞けないエコの「きほんのき」から、エコにまつわる、かわいくてちょっとしたアイデアを、各界の方々にご紹介いただきます。部活の先輩に教わるように、甘酸っぱい気分で、学んでいきましょう!

エコ連載も、もう7回目! 今回は、轟木節子さん。どこかストーリーを感じさせる繊細なスタイリングが人気、みんな大好きなスタイリストさんです。さて、そんな節子さんがもっているのが「マイ箸」。ピンクの糸がすごくおしゃれで、簡単にできそうだし、ぜひみなさんにもご紹介したいと思いました。「マイ箸」以外の「エコ活」も愛らしくて、さすがは節子さんです。では、さっそく節子先輩! よろしくお願いいたします。

第7回:小さく「エコ活」/轟木節子

かわいい「マイ箸」の人にぐっときて

私にエコリレーのバトンが回ってきたのは
いつも持ち歩いているマイ箸が
『murmur magazine』編集長、服部さんの目に留まったから。

マメな性格だとは言えない私でも
習慣になったら自然にできている
小さなエコロジー活動、「エコ活」はいくつかある。

たとえばマイ箸。
持ち始めて2年くらいになる。

きっかけは、撮影で一緒になった映像の監督。
さばさばした性格で、
多くのスタッフをてきぱきと動かしてゆく彼女が、
当時、マイ箸を持っていることが珍しかったせいもあってか、
ほんの少し恥ずかしそうに、
鞄から箸を取り出した瞬間が、とても印象に残った。

その数週間後に会った、17歳のモデルの女の子のマイ箸入れが、
すごく素敵で、私はすっかり、興奮してしまった。
「スーザン(チャンチオロの作品)みたい!」なんて言って。
コットンの小花柄のハンカチの角に、細いリボンがついていて、
箸を包んで結ぶようになっている。
手縫いのステッチが、とても、かわいい。

お母様が作ってくれたという箸入れ。
「見せて!」と私が頼むと、
「お母さん、器用じゃないから……」と、はにかみながら、
膝の上でくるくるとお箸を包み、
そっとリュックにしまう彼女のピュアな雰囲気に
またぐっときてしまった。

ある雑誌の企画で「バッグの中身拝見!」取材を受けることになった。
箸入れも、かわいい物にしたいと思い立ち、家にある物で作ることにした。
引き出しから、ちょうど、割り箸袋くらいの幅のリボンが見つかった時は、「これ、ピッタリ!!」と夜中に一人で盛り上がった!

割り箸袋

黒いグログランの4cm幅のリボンの両端を、ピンクの糸で並縫い、閉じるふたの部分はまつり縫い。中には割り箸の紙袋。箸は六角箸。六角の角が程よく手を刺激して、ボケ防止にもなるとか。クロワッサンの店フェアで購入。

割り箸袋は、日記のよう

布製の箸入れを、毎日洗うのは面倒なので、
汚れないように、中には、割り箸の紙袋を入れて使っている。

一緒に食事をした人から、割り箸袋をもらっているわけだが
大抵、店の名前入りなので、箸を取り出す度に、
少し前の食事の様子や会話が思い出される。
親しくなった友人との初めての食事、
意気投合して幸せだったこと。

帰省から東京へ戻る私を両親がドライブがてらにと、
車で送ってくれた、福岡空港のレストランの割り箸袋。
ちょっとした日記みたいだ。

「とんとん」になるよう、できることから

埋め立てきれなくなって飽和状態のゴミの山。
以前は不燃だった物も、
より高い温度で、燃やすことしか選択肢がない東京の様子を
テレビで観た時がいちばん危機を感じた。

どうか、影響力のある人!! 人気のある芸能人の方!!
もっと世間に呼びかけて、地球を助けて!と願った。

スタイリストという仕事は、
どちらかと言えば、物の消費を促進する側かもしれない。

たった一度の撮影のために、やむを得ず
もったいない物の使い方をすることもある。

面倒くさがりなのに、掃除は毎日したくて
モップ状のシートをたくさん使い捨てている。
「エコじゃない」と言われそうな、作り手のアイデアを感じる形や
美しいデザインのパッケージの物も好きだ。
贈り物には、ラッピングもする。

エコを追求したいとも思ったが、
それで、私の生活の中の彩りが減るのは寂しい…。

自分を責めないように、
せめて「とんとん」になるくらいに
できることをしようと決めた。

●洗剤は配水の浄化作用まである物を使っている
●牛乳パックのリサイクルは、16年間続いている。トイレットペーパーは紙パック原料の物。

(紙のリサイクルに関して、問題が残っていることは耳にしているが、マンションのゴミ収集室のリサイクルコーナーに、束ねた紙パックを置くことで、「エコを意識している人がいる」という、まわりへのアピールになれば、小さいことだけど、いいのではないかと思う)
●撮影スタジオのコーヒー&お茶のコーナーの紙コップの束の横に、油性マジックを置いてみる。そうすると、各々が紙コップに名前を書くので、誰のものか分からなくなって、また新しい紙コップを! という事態を防げる
●エコを、ちょっと話題にしてみる……など

今日、お昼を一緒に食べた、洋服メーカーで働く友人は、
「エコは物を大切にすること。
大切にしてもらえるような物を作ること」と言った。

私はスタイリストで、物を作ってはいないけれど、
編集者やカメラマンと共に作った写真の中にある、
服や物が、見た人の目に、大切にしたくなるような
「特別な物」として映ったら、嬉しい。

そんな心に響く、すてきなページをつくること。愛を込めて。
それが私の小さなエコ項目に、今日加わった!

轟木節子
profile
〔とどろき せつこ〕
雑誌、広告などで活躍するスタイリスト。大人のかわいらしさや、ストーリーを感じさせる繊細なスタイリングが人気。本誌次号の巻頭ファッションページも担当。