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リレー・エコ連載

更新日 2009/11/13

エコ・リレー連載 murmur学園 エコ部!/「エコ部!」では、今さら人に聞けないエコの「きほんのき」から、エコにまつわる、かわいくてちょっとしたアイデアを、各界の方々にご紹介いただきます。部活の先輩に教わるように、甘酸っぱい気分で、学んでいきましょう!

今回ご登場いただいた先輩は、ふたりの子どもを子育て中の田内しょうこさんです。
田内さんは、共働きのご夫婦向けの料理本で人気の料理愛好家!
実生活から生みだされたアイデアはさすが! 毎日のヒントになるものばかりです。
今日はそんななかから、断然エコ、な料理方法をご紹介いただきました。この方法、「いつかやってみたいと思っていたけど……」という方も多いのでは? では、さっそく田内先輩! よろしくおねがいいたします。

第11回:田内しょうこさん(料理愛好家)/保温調理法のすすめ

子育てで気づいたエコな調理法

6年前に娘が、2年前に息子が生まれて気づきました。
子育て料理って、とてもエコだったんです。

2人を抱えて、夫婦ともに仕事を持つわが家。
とにかく時間がない!
それでも子どもには食べさせなくてはいけない。
どうすれば手早く、少しでもラクにごはんがつくれるか、
と工夫するうちに、思い出したのが魔法のエコ調理法。
昔からある、いわゆるスロークッカーを使った保温調理法です。

火を使わないから、ほったらかしでも安心。
加熱時間が短いから、使うガスや電気の量がぐんと減る。
忙しい子育て家庭のみならず、独身の方にもぜひぜひおすすめです。

ホームパーティでも大活躍

電気の加熱口がひとつしかないマンションに住んでいた独身時代に
友人を呼んで、よくパーティをしました。
野菜料理でもてなすには、やっぱり煮ものが不可欠。
が、ひとつひとつを30分も50分も煮ていたのでは、
一日かかっても間に合わない!
そこで試したのが、軽く火を通したところで鍋を火から下ろし、
新聞やタオル、毛布などでぐるぐる巻きにして置いておく方法。
鍋に防寒具を着せるのです。すると、温かい状態が保たれ、
弱火で煮続けているのとほぼ同じ効果が得られます。
そうして根菜を10分煮ては新聞で巻き、空いた火で青菜を茹で、
茹であがったら湯をわかして出汁をとり、とフル回転で
半日の準備で野菜料理10品を作ったのでした。

たった7分で、おかゆもできる!

さて、子どもが生まれて思い切って「シャトルシェフ」を買いました。
この保温調理法の専用鍋です。
さっそく離乳食から大活躍。
離乳食の定番はおかゆですが、
おかゆを少量作るのって実は結構、難しい。
泣かれて様子を見ている間に焦げたり、芯が残ったり。
シャトルシェフなら、7分加熱してあとは保温しておくだけ。
簡単に美味しいおかゆができて、しかもいつまでも温かい。
台所はフルで忙しいのに、おかゆのために常に
火口をひとつふさがれるのは大変、という問題も解消されます。

シャトルシェフで夜仕込めば、朝いちからスープも。肉団子と大根のスープ。春雨も入れれば、食欲のない日にはこれだけでも立派な朝ごはんに。煮込まないから、澄んだきれいなスープに仕上がります。分離しやすいクリーム系のスープも簡単にできますよ。

シャトルシェフで夜仕込めば、朝いちからスープも。肉団子と大根のスープ。春雨も入れれば、食欲のない日にはこれだけでも立派な朝ごはんに。煮込まないから、澄んだきれいなスープに仕上がります。分離しやすいクリーム系のスープも簡単にできますよ。

スープや煮ものづくりにも欠かせません。
夜、下ごしらえをすれば、朝起きてすぐにスープが食べられるし、
朝、さっと煮ておけば、帰宅してすぐに煮ものが食べられます。
保温容器としても優秀。
2〜3時間は充分に熱々なので、温め返しが必要ない。
火口が少なくても、家族のごはんの時間がずれても、大丈夫。
ちょこちょこ温めるガスの使用量ってバカにならないですよね。

おいしい玄米も炊けます

ついでにいうとシャトルシェフ、玄米炊きも大得意。
鍋で炊くと何十分も加熱しなければならない玄米ですが、
吹き出したらいったん保温、30分置いて再び5分加熱して保温、
と10分弱の加熱で間違いなく美味しい玄米ごはんのできあがり。
あとは時間が美味しくしてくれます。
わが家では玄米を食べるのはわたしだけなので、
おかゆの必要がないいま、もっぱら玄米鍋として役だってます。

だんだん、使ってみたくなってきたでしょ?
シャトルシェフがなくたって大丈夫。
とりあえず、身近にあるお鍋を新聞や毛布で包んでみてください。
発泡スチロールの大きなトロ箱もあればカンペキですが、
包むだけだっていいんです。

もうひとつおすすめなのが、いま手持ちの鍋で使える鍋カバー。
市販の鍋カバーは、とほほ……という柄が多いのですが、
思い切って手作りしてみたら、これがかわいい!
愛着がわいて、このカバーを使いたいがために煮ものが増えました。

刺しゅう家、高橋亜紀さんのアドバイスで作った鍋カバー。古い麻の枕カバーを再利用しています。内側には、小さくなった子どものトレーナーなどを綿代わりに。うんとエコでかわいい鍋カバー。やっぱりエコでも、気に入ったかわいいものを使いたいですよね!

刺しゅう家、高橋亜紀さんのアドバイスで作った鍋カバー。古い麻の枕カバーを再利用しています。内側には、小さくなった子どものトレーナーなどを綿代わりに。うんとエコでかわいい鍋カバー。やっぱりエコでも、気に入ったかわいいものを使いたいですよね!

ひとつずつは小さなこと。
でも確実に自分ができること。
こんなエコも台所仕事の楽しみのひとつなのです。


田内しょうこさん(料理愛好家)
profile
〔たうち しょうこ〕
料理愛好家。アメリカ・カリフォルニア州の女子大を卒業後、出版社に勤務。雑誌編集など、多忙な生活を送りながらの子育て経験を生かした『働くおうちの親子ごはん』(英治出版刊)が好評。6歳の娘、2歳の息子をもつ。「ドーベルマン・ドーナッツ」というユニットでもケータリングを中心に不定期に活動している。
tobiuo piano

最新刊『働くおうちの親子ごはん〜朝ごはん編』(英治出版刊)。寝坊したときのクイック朝ごはん、子どもが食べやすいスープごはん、トマトソースやホワイトソースのつくりおきの活用ごはんなど、朝ごはんを手早く美味しくする工夫がたくさん載っています。巻末の日本に住む外国人おかあさんたちのインタビューもおすすめ。地に足が着いた力強い姿に感動します。