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リレー・エコ連載

更新日 2008/07/25

エコ・リレー連載 murmur学園 エコ部!第1回/「エコ部!」では、今さら人に聞けないエコの「きほんのき」から、エコにまつわる、かわいくてちょっとしたアイデアを、各界の方々にご紹介いただきます。部活の先輩に教わるように、甘酸っぱい気分で、学んでいきましょう!

エコロジーというと、なぜか、自分以外のことに重きをおきがち。
今回は、医学博士でインド自然医療の専門医・蓮村先生による
ストレスの観点からエコロジーを捉えた、目からウロコのコラムをお届けします!
蓮村先生、よろしくお願いいたします!

第4回:エコも、まず自分から 蓮村誠

実践してこそのエコ
ではその主体の自分は?

 エコ、すなわちエコロジーとは、そもそも科学の用語で「生態学」のことですね。かいつまんで言えば、生物の生活に関する科学のことで、海洋生態学、森林生態学、都市生態学などさまざまな分野があります。

 今、巷では明らかにエコブームですが、ここで言うエコとは、環境保護を機軸とした生態学全般を意味しているようです。

 さて、エコと一般的に表現したとき、それは単に科学の域を超えて、「みんなで地球環境の保護を考えよう!」というムードが沸き立っています。とてもよいことですね。科学は実践に結びついてなんぼですから、具体的にどうやって環境を整えるのか? という知識がわれわれ一般人に降りてきて、それをみんなが実践する。

 そう考えていくと、やはりエコの主体は、まず自分という存在です。ストレスを抱えて、飲酒に過食を続け、メタボから糖尿病になっているようだと、これはエコとはいえません。

1900万人が糖尿病に
26万人が人工透析を

 ちなみに、現在日本には、予備軍を含むと1900万人近い方が糖尿病にかかっています。この数値はよく考えるととんでもないことで、実に人口の一割以上の方が過食、飽食の結果、身体を壊しているわけです。

 この糖尿病は長年患うとさまざまな病気を併発します。腎臓の機能が停止する腎不全なんかもそうです。腎不全になると一生涯人工透析を受けなくてはならず、現在日本には人工透析を受けている方が26万人以上いらっしゃる。

 人工透析を受けるのに一人あたり年間500万円以上かかり、その費用は各所得によりますが、全額税金でまかなわれています。う〜〜ん、ちっともエコじゃないですね。

 人はストレスを抱えると、大概が飲食に走ります。飲んで食って、憂さを晴らそうとするわけです。その結果、糖尿病になり、腎不全になり、というわけです。

 地球環境の保護を考えたとき、社会を構成するのは個々人ですから、個人のこころとからだの状態を考慮にいれなければ、いくらエコを唱えたところで、よい結果は望めませんね。

一人ひとりのストレス対策も
大切なエコのひとつ

 人のこころとからだが健やかなとき、その個人は自らがエコ的な存在として社会を構成する一員になることができます。

 そういった観点を含め、多くの方がストレスをなくしていくことができれば、それだけで社会は変わるだろうとわたしは考えています。詳しくは、『へこまない人は知っている ストレスに邪魔されない23のヒント』という本に書きましたのでぜひ読んでみてください。

 この本は、読むことでストレスが取れていくようにできています。難しい解説はなく、気軽に読み進めていくうちに、自然にストレスが消えていた! という感じです。

 ニコニコと機嫌がよく、自然に人に親切にでき、からだの調子がよくて元気な人は、人や環境に対する思いやりをあたり前のように持ち、大切にあつかいますから、正にエコな人です。

 そうした人が増えてくるとエコはもう社会であたり前のことになりますね。いや、人の社会の本来のあり方というのは、もともと、そういうものなのではないかと思います。


蓮村誠
profile
〔はすむら まこと〕
医学博士。東京慈恵会医科大学神経病理研究室を経て、アーユルヴェーダ医療機関では、日本初の厚生労働省認可の医療特定法人となった「マハリシ南青山プライムクリニック」「マハリシ那須クリニック」理事長。医療法人社団邦友理至会理事長。日本におけるアーユルヴェーダ紹介の第一人者として、各種講演、テレビ、雑誌などで幅広く活躍中。『黄金のアーユルヴェーダセルフマッサージ』(河出書房新社)ほか著書も多数。

へこまない人は知っている

「怒るときには安心して怒ろう」「他人と自分ではなく、過去と今の自分を比べよう」など、インドの自然医学をもとにした「なりたい自分になる知恵」が満載です。『へこまない人は知っている』(蓮村誠=著 春秋社=刊)