連載

日登美

第4水曜更新
思春期倶楽部
ほんとうのわたしを求めて

4日目 子どもたちの「根っこの力」「咲こうとする力」

思春期の子どもたちをはぐくむ。何でもすんなり、そつなくできちゃうタイプではない子は、生きにくいところがあるだろうな、と思います。わが家にも何人かいました。そういう子。クリエイティブ、なんていうとカッコつきますけど、たくさんのクリエイターに囲まれるわたしの身にもなってくれ! と何度思ったことでしょう。

 

そういう子は、人一倍多く「なぜ?」「どうして?」を知ろうとする。

「好奇心がある子は、あとで出世するんだよね」なんていわれるけれど、世間から疎ましがられることも多いもの。結局のところ、「社会で活躍していますね!」という結果が本当に出てこない限り、不器用で真っすぐな思春期の子どもたち、という姿に、親子ともども行き場のない思いを抱えることも多いものです。

 

「はい」といわず、面倒なことをいう思春期の子どもたちは、「とりあえずいった通りやってほしい」と思う社会や大人からしたら障がいでしかない。それをどうコントロールすべきか。その対策が制服であり、髪を染めてはいけないとか、スカートは短くてはいけないなどの校則になっているような気もするのです。それらは、もはや子どもの成長を中心にして存在するものには思えないことが多くないでしょうか。

 

親も「保護者」というレッテルのもと、学校のルールを支えるかのように、「社会に出たらそんなことじゃダメなのよ」とか、「気持ちわかるけどでも学校ってこうなんだよね」みたいなことを伝えることがいつしか役割になり、「それもどうなんだろう……」とも思ったりするのに、一見まともっぽいことしかいえない自分もいたりします。

 

「保護者」というのは一体何を保護しているんだろう。

そう思わなくもありません。思春期の時期、社会の中で親である自分はどうあるべきか、わからないのは親もいっしょ。子どもだけではないのです。

 

そんなとき、社会基準で子どもの成長を眺めるよりも、子どもたちの中にしっかり人の道を踏み外さない根っこがあるのを、親が見逃さないことのほうが大事なんじゃないかと思うようになりました。

ぽこっと顔を出した春のふきのとうみたいに、まだ生まれたばかりのような頼りなさではあるけれど、「人間らしさの根」は育っていると、わかってあげること。

「この子は大丈夫」と、日常の端々でさりげなく確認するのです。

そう信じられるものをきっと見つけられるのが、この思春期の時期でもあるはずです。幼児期にはぐくんできたものが芽を出すのが思春期だといわれています。その姿を、言葉を、日々のバトルの合間に見つけられることが、厳しい思春期を担う親を助けてくれます。

 

「うちには、ないわ」と思うなら、どうぞ目を凝らしてみてください。

たとえば、ときおり子どもがポツリポツリと話してくれる瞬間をすかさず、けれどさり気なく掴み取ります。子どもがなぜか機嫌よく食卓に座って饒舌(じょうぜつ)になるとき、親の財布を目当てに買いものに連れ出されたときだっていいんです。

とにかく子どもと一緒にいられるときがチャンスです! こういうタイミングは逃さない。これがこの時期の要です。あちらがこころの扉を開いた瞬間をさりげなく、何気なく、昭和の押し売りセールスマンのようにしっかりと押さえるのです!

 

すると、思わず「うーん」と感心して唸りたくなるようなおもしろい話や視点を、子どもたちが話してくれたりしていませんか? もっと聞きたいと思ったら、すぐに話をやめてしまうので幻のようですが、確かに一言二言、親のこころに刺さるようなことをいったりしませんか?

 

思春期の子どもたちは、ふだん未熟なところが目立ちがちな時期にありながら、かなり繊細に世界を観察し、受け止め、わかっている。そして「考えている」のだと思えてなりません。(考えることは直観しているという意味でわたしは使っています)

 

この人間らしさがある限り「まぁ大丈夫だろう」と思えるもの。ささやかで目立たないけれど、人間らしさというちいさな根っこの力をこそ、通知表よりしっかり確かめましょう。

今は「誰よりすばらしい花を咲かせよう」と、社会も、親も、なんなら子ども自身も、躍起になっているような気がするのですが、いつ、どのように、どんな花を咲かせるかは一人ひとり違います。だからそんなの気にしたってしょうがない。

注目すべきは花でなく「咲こうとする力」、「根っこの力」なんじゃないかと思うのです。それが本当の意味で、「わたし」という花をはぐくむ、ということなのだと思うのです。

 

つづく

 


◎本連載における「思春期」とは、シュタイナーの提唱する7年周期による人間の成長段階にもとづき、第3・第7年期にあたる、14歳から21歳の時期を想定しています。ただし、子どもたち自身が思春期をまっとうすることができなかった場合、その年齢を過ぎても、思春期のような状態が続くことがあります。

日登美 【ひとみ】

三男三女・6人の母。10代からファッションモデルとして雑誌や広告で活躍。出産・子育てをきっかけに、シュタイナー教育やマクロビオティック、ヨガなどを取り入れた「自然な暮らしと子育て」を実践し、その経験をまとめた著書を多数刊行。クシマクロビオティックアドバイザーの資格を取得後は料理指導をはじめ、オーガニックな家庭料理を提案するレシピ本も発表している。2013年にドイツ人の数学者と再婚し、ブラジルでの生活を経てベルリンへ移住。現地ではヒルデガルト・ヘルスケアアドバイザーの資格を取得。現在はモデルとして活動を続けながら、「台所から子育て・暮らしを健やかに豊かに」をテーマとしたオンラインコミュニティ「Mitte(ミッテ)」を主宰している。2025年より、みれい☆かるちゃ~☆すく~るで連続講座を開催中。2026年春には、エムエム・ブックスより新刊が発売予定。

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