連載

服部みれい

第1・3土曜更新
あの人に今聞きたい!
ハーブ王子・山下智道さん 第3回

2025年11月発売の『まぁまぁマガジン』26号の座談会企画に登場いただいた、ハーブ王子こと薬草研究家の山下智道さん。誌上では、料理家で按田餃子店主の按田優子さん、画家のAYA TAKANOさん、人類学者の竹倉史人さんとともに、今後の人間観・植物観について、たっぷり語っていただきました。

その出合いをきっかけに、2026年の新年早々に、山下智道さん×服部みれいによるインスタライブを開催! ふたりのトークを本連載にてお届けします。ハーブ王子、その素顔は一体?

 

GUEST|ハーブ王子・山下智道(やました・ともみち)さん

薬草研究家・民族植物研究家・薬草デザイナー・シャーマンハーブジャーナリスト・有用植物造園家。国内外で多数の観察会・ワークショップ、飲食店メニューのプロデュース、ハーブやスパイスを使用したさまざまなブランディングを手がける。近年ではシャーマニズムの研究や、南米アマゾンでの有用植物や薬草文化の現地調査を積極的に行う。著書に『ヨモギハンドブック』、『ポケット図鑑 なんでもハーブ284』(ともに文一総合出版=刊)、『野草がハーブやスパイスに変わるとき』(山と渓谷社=刊)、『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』(創元社=刊)。最新著書である『天然樹脂ハンドブック 植物のめぐみ』(文一総合出版)、『暮らしに活かしてからだを守る薬草活用図鑑』(山と渓谷社)が好評発売中。夏にはエムエム・ブックスにてオンライン講座・リアル講座を開催予定。

公式サイト:https://www.tomomichiyamashita.com

Instagram:@tomomichi0911

YouTube:https://www.youtube.com/@tomomichi_yamashita

 

◎『まぁまぁマガジン』26号について
https://murmur-books-socks.com/?pid=188975244

 


 

第3回 民族学×化学こそ、植物のおもしろさ

 

 

第2回をみる

 

服部みれい(以下、み)

植物を使って、実際に儀式みたいなこともできるんですか?

知り合ったばかりで、

こんなこと聞いてすみません(笑)。

 

山下智道さん(以下敬称略、山)

できますよ。法律をはみ出さない、ギリギリのラインで。

 

み おおー(感嘆)。

それはぜひお願いします。

最近、あらためて思うんですけど、

たとえば紙を使って

切り貼りして何かコラージュをつくることも、

人と人をつなげたりすることも、全部、呪術みたいだなって。

 

山 わかります。

ご縁って、実はもう操作されているものなんですよね。

 

 じゃあわたしも、実は操られてるんだ。

 

 僕はそれが、“線”として見えたんです。

宇宙人が操っている線として……。

アマゾンで、シャーマンの特別なセレモニーを受けたときに。

 

み 世界の見えかた、ガラッと変わりましたか?

 

山 変わりましたね。

77歳の自分が目の前に現れて、

未来に連れていってくれたんです。

 

 うおお! 未来を見た?

 

山 77歳のとき、

薬草のシンポジウムで表彰されていました。

 

 ヤバい……!!

そのシャーマンのセレモニーは特別だとして、

一般的にも植物を使った

シャーマニズム的なことは可能なんですよね?

 

山 もちろん。たとえば、カカオもそうです。

中南米では、チョコレートのセレモニーがあって、

インナーチャイルドを解放するために使われてきました。

 

み すごく興味あります。

わたし、なぜかカカオの塊(かたまり)をよくもらうんですよ。

でも、使いかたがわからなくて。

 

山 カカオは使いかたが重要なんです。

まず、加熱すると成分が壊れる。

それから、脂溶性なので、

ココナッツミルクやミルクと合わせると、抽出されやすい。

 

み おもしろい……!

これはもう、おもしろさが無限大ですね。

 

山 植物は、

民族学と化学が同時に成立するところが、

いちばんおもしろいんです。

 

み もともと化学がお好きだったんですよね。

 

 有機化学が好きでした。構造式を見るのが。

 

 しかも魔王だけに、

山下さんの「毒」のワークショップも人気だって聞きました。

 

 毒は永遠に語れます(笑)。

ポイズン、トキシン、ベノム……。

自然毒には、無駄がないんです。

 

み 人間には毒でも、

別の生き物には必要、ってことですよね。

 

 そう。全部、意味がある。

人間がつくる毒――サリンなど――は、

余剰の物が生まれ変わってしまうんです。

 

でも、自然の毒は絶対に無駄がない。

完璧なんです。

 

 はー。地球って、本当にすごいですね。

わたし自身、からだが弱くて、

小さいころから大きな病気をいろいろしてきました。

薬でもなかなか治らなくて、

それならもう、自己治癒力を上げるしかないと思って、
数々の自然療法を試して今にいたります。

 

山 そうなんですね、そうは見えないな。

 

 はい。いまはすごく元気なのですが。

何よりセルフケアしていくうちに、

世界が一気に広がったんです。

人間の自然治癒力って、本当にすごいな、と。

 

山 みれいさん、からだが弱かったように見えないです。

からだって、構造そのものがすばらしいですよね。

ととのえてあげれば、ちゃんとチャンネルが切り替わる。

 

み 本当に!

あるとき、ある森の奥にいたときに、

「人間は本当は病気にならない」

というメッセージを受け取ったんです。

 

もちろん病気が悪いわけじゃない。

調整をしたり、かけがえのない経験をしたり、
すべて必要なことが起きているわけですが、

一方で人間の自然の治癒力を高め、植物の力も借りながら、

高い健康状態を保つことができる。

 

ずっと、そう思っています。

 

山 それでいうと、

たとえば、畳に使われるイグサ。

あれには青葉アルデヒドという成分があって、

人を深くゆるめてくれる。

 

何千種類も植物がある中で、

畳の材としてイグサを選んだ

日本人の感覚は、本当にすごい。

 

梅酒もそうです。

種は猛毒なのに、お酒につけることで毒が抜ける。

その“さじ加減”が、文化として残っている。

 

み 昔の人って、どうやって知ったんでしょうね!?

 

 人体実験です。

マウス実験がない時代は、

自分たちのからだで確かめていた。

いのちを懸けた知恵なんです。

 

 へえー! 

『華岡青洲の妻』(※)みたいに。

 

※有吉佐和子=著、新潮文庫。

華岡青洲(はなおか・せいしゅう)は

日本最初の麻酔外科医で、

青洲の妻はみずから進んで

全身麻酔の人体実験の対象になった。

 

そうそう、

わたし、畑にいるとき、

「土になってみよう」とか、

「松の木の気持ちになってみよう」とか、

勝手にやっているんですが。

 

山 実はそれ、すごく大事だと思います。

知識が、逆に邪魔になることもある。

身を委ねることの大切さは、

アマゾンのシャーマンから教わりました。

 

 アマゾンでは、

シャーマニズムは今も生きているんですか?

 

山 生きています。

僕自身は、人間が魂として生まれる直前の場所に

戻されるような体験でした。

魂だったころ、土だったころの記憶に戻る。

 

夢じゃなくて、本当にからだが抜けた感覚でした。

そのような経験ができるのは

ごく一部のシャーマンの方に限られていますが。

 

み いやあ、話が尽きないですね(笑)。

植物人間、ハーブボーイ、ハーブガールを、

どんどん増やしていきましょう!

 

山 ぜひぜひ。

植物の仲間を、もっと増やしたいです。

 

み 今日は本当に、

あたらしい風が吹いた感じがしました。

王子、いつか「ハーブランド」を

つくってくださいよ!

これから、どうぞよろしくお願いします。

 

美濃やオンラインでのワークショップ、

今からたのしみにしています!

 

山 「ハーブランド」っていい名前ですね。

こちらこそ、

お会いできる日を、たのしみにしています。

 

(おわり)

服部みれい 【はっとり みれい】

文筆家、マーマーマガジン編集長、詩人。最新刊に、『わたしがととのう毎日のチャクラケア』(kaiさんとの共著 徳間書店)。『まぁまぁマガジン』26号「按田優子という宇宙」特集も絶賛発売中。「マーマーマガジン」は、現在、詩とインタビュー誌「まぁまぁマガジン」に。『kaiのチャクラケアブック』など、編集にも熱く携わっている。ラジオ風味の音声メールマガジン「声のメルマガ 服部みれいのすきにいわせてッ」を毎週配信。まぐまぐ!にてメルマガ「超ハイパー私的通信」を連載中(月2~3回配信)。現在、NHKカルチャー岐阜教室で毎月講座を開催中。

Instagram:@millethattori