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くしまけんじのおべんと帖
第1回(前編) ごあいさつ

2020年初夏、鎌倉でパートナーと暮らすようになって、同じ年の夏から、鎌倉の大好きなデリ・ショップでケーキを焼く仕事をすることになりました。
ケーキを焼く仕事のお昼休憩に、食べるお弁当。
出勤日には、せっせとつくって、仕事場に持って出かけます。
せっかくつくるのだから、と、昼間家で仕事しているパートナーの分も、と、2つのお弁当をつくって詰めて。
デリ・ショップで働くようになる前までは、じぶんのためにお弁当をつくる機会があまりなかったのですが、気がつけば、ここ5年ほどでなかなかの数のお弁当をつくってきました。
そして、お弁当をつくってきた中で、いくつか、じぶんの中で、なんとなくの決まり、ができてきました。
その決まりを、この連載のはじまりに、
◎くしまけんじのお弁当のなんとなくの決まり
◯つくる当日は仕上げて詰めるだけに
ほとんどを前日の夜に準備して、当日朝は、仕上げて詰めるだけにする。
◯出来合いのものを使わない
買ってきたお惣菜・冷凍食品をそのまま、お弁当に入れない。
◯肉や魚を使わず野菜を中心に
野菜と穀物、大豆製品などをふんだんに使って、肉や魚は使わない。
(卵は、お菓子をつくるために買ってきたものが余っていたりしたら、使うくらい)
◯味見をしない
夜に、大抵はお風呂に入って歯を磨いた後に準備(お弁当の仕込み)をするので、味見をしない。
じぶんとパートナーの分をつくるので、お昼ごはんで食べるときに、「あ、あのくらいだとちょうどいい塩加減だったんだな」とか、「少ししょっぱくなっちゃったから、パートナーもしょっぱいと思いながら食べたかな……?」などと考えたり想像したりするのもたのしいし、そのときに初めて味わう味なので、新鮮に感じられる。
◯おかずは3、4品
おかずはメインとなるおかずを中心に、全部で3、4品を入れるようにしている。
すべてそのときにつくるわけではなく、数日前につくっておいたピクルスを詰めて、それを1品、とすることもある。
保存食(梅干しやピクルス、お漬物など)や、味のアクセントになる調味料(コチュジャン、柚子胡椒、ふき味噌、鉄火味噌など、そのときのお弁当に合うもの)を添えても、さらに満足感が増して、よい。
◯味わいや色合いの組み合わせを決める
味わい(しょっぱい、酸っぱい、辛い、苦い、甘い)、香り、食感、色合い、満足感。
だいたいがバランスがよいように、おかずを決めて仕込んでいく。
色合いは、ただカラフルにした方がよい、ということだけではなく、「今日のお弁当はなんとなくベージュにまとめたい」とか、「緑の野菜のおかず2つに、小松菜とひじきのチャーハン(緑と黒)の色合いのお弁当にしよう」など、ただ鮮やかなだけでなく、こだわりのある色味にしても、すてきだと思っている。
◯おかずを仕切るためのカップやバランなどを使わない
使わなくてもよいのなら、なるべくゴミを増やしたくないし、必要ないものを買いたくはない。
おかずどうしがくっついて味が混ざる部分があっても、それはそれでおいしいと食べている。
きっちりと、絶対こうでなきゃいけない、と決めているわけではないのですが、つくっていく中で、じぶんが楽な方法、快適な方、を決めていったら、自然と「こういう風がいいな」「こういうのはやらないな」と定まってきました。
ケーキの仕事の日は、基本的にはお弁当をつくることにしていますが、とはいえ、前日の夜に予定があって帰宅が遅かったり、つくる気力がなかったりしたら、お弁当つくりはお休みにして、「通勤途中のパン屋さんで買うことにしよう」という日もあったり。
あまり頑なにならずに、楽に続けられるのがいちばん、と思っています。これも、じぶんの決まりのひとつ。
この連載では、ある日のお弁当と、そのレシピ、をお届けします。
男性2人が食べているお弁当、の分量です。
量はお好みで調節してください。
調味料や食材など、おすきなように加減して、日々のお弁当つくり、料理にお役立ていただけたら、とてもうれしいです。

料理家。2020年、東京・西荻窪で姉と営んでいたレストラン「食堂くしま」を閉じ、神奈川・鎌倉へと拠点を移し、パートナーと2匹の愛犬とともに暮らす。鎌倉の海辺のアトリエ「DODO」にて料理教室を主宰するほか、茶人として一客一亭の中国茶会「くしま茶侶」を開く。パートナーであるkaiの著作『kaiのチャクラケアブック』(エムエム・ブックス=刊)、『PEACEFUL PLUOT PIE』(個人出版)の挿画を担当するなど、絵描きとしても活動。お弁当は秋冬の間、月に一度、鎌倉市場内のデリショップ「DAILY by LONG TRACK FOODS」にて予約販売している。
(この連載で紹介しているお弁当は、販売しているものではなく、自分たちが食べている普段のお弁当です)
instagram:@kenjikushima
