連載

kai

第3水曜更新
Magical Mayberry Muffins
Episode 2 Becoming my own trust

by kai

 

◎前回までのあらすじ

湘南の町に暮らすNaoは、ある日、砂浜で一人の女性に出会う。

意気投合し、友人となった二人は、再び会う約束を交わした。

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ここのお店、来たことある? そう、ここのヴィーガンバーガー、ほんとおいしいのよ。穀物のパテだからヘルシーだしね、美容にも最高よ。あたしはいつも、この「デラックスバーガー」を頼むの。魅惑的な具がぜ〜んぶはさまってる、一番豪華なの。その分、お値段も豪華だけどね。

あなたは決まった? あら、一番シンプルな「ベーシックバーガー」にするのね。まずはシンプルなのから攻めるタイプ、みたいな感じ? ……え、違う? 「お金が厳しいから」って?

……そう。経済事情じゃ、しょうがないわね。ちなみに、本当はどのハンバーガーが食べたいの? うんうん、あたしと同じ、デラックスバーガーなのね。OK、今日はあたしにご馳走させて。一緒にデラックスバーガーにしましょうよ。Don’t hold back! 気にしないで。このあいだ、ハンケチを借りたお礼。

あ、店員さん、こちらのデラックスバーガーをふたつ、お願いできますぅ? えぇ、えぇ、よろしくね。……やだぁ、そんなに恐縮しないでよ。It’s just a little thank-you なんだから。

で、I have a quick question. ちょっと聞いてもいいかしら? あなたは今、なぜ経済状況が厳しいのかしら?

……ふむふむ、先月離婚をして……ふむふむ、この湘南に行き着いて、まだ仕事が見つかっていない……と。なるほど。妙齢を過ぎて一人身になって、縁もゆかりもない地で無職、ってわけね。うふふふふ。あら、ごめんなさい。思わず笑っちゃった。だって、あたしと同じなんだもの。今、あたしも無職なの。ボーイフレンドとお別れして、傷心のまま帰国して、ここ湘南の町に行き着いて、現在無職。あなたと一緒でしょ? ふふふ。まぁ、正確には休職中なんだけどね。貯金? そんなのあるわけないじゃない。だって、アメリカから日本に引っ越してきたのよ。どれだけお金がかかると思ってんのよ。

貯金もなければ、仕事もない。ついでにオトコもない。だけどあたし、気にせずリッチなお値段のデラックスバーガーを選ぶわ。だって、あたしのソウルが、それを望んでいるから。それに今、デラックスバーガー二人分のお金くらいは、ちゃんとあるもの。

……先のことが不安になったりしないのかって? No, not at all! 不安になんてならないわ。

あたしはね、「”かも”の未来」を生きているんじゃないの。「お金がなくなる”かも”……」「仕事が見つからない”かも”……」「このままずっと一人”かも”……」。そうやって、「”かも”の未来」ばかり考えてしまうと、「今この瞬間」を生きられない。今この瞬間を生きていないと、自分のソウルの声が聞こえなくなっちゃうわ。その声を聞き逃すと、たいてい、選択を間違えちゃう。自分にとっての正解がなんなのか、わからなくなってしまうから。

それにね、あたしは全く疑っていないの。自分自身のことも、宇宙のことも。だって、エンジェル・ハートの持ち主のこのあたしを、宇宙が見放すだなんて、あり得なくない? あたし、宇宙からの愛をいつも感じているわ。だから、どういう未来であっても、あたしは幸せでいられる。そのことをハートの底から信じているの。You know?

……やだぁ、なによその顔。あたしのこと、ノーテンキなおバカさんだと思ってるんでしょ。でも、覚えておいて。今この瞬間を生きるって、ノーテンキなおバカさんにしかできないことなのよ。

あら、デラックスバーガーのご到着よ〜。ほら見て、具が収まりきらなくてこぼれちゃってる。

ねぇねぇ、無職のあたし達が、この店で一番高価なメニューを選ぶなんて、なんだか宇宙に向けて宣言してるみたいじゃない? 「あたし達、今この瞬間を生きているわ!」ってね。

さぁ、いただくわよ。

 


(この物語はフィクションです。実在する場所が登場しますが、登場する人物・出来事は全て架空のものです)

kai 【かい】

セラピスト、アーティスト、文筆家。2011年よりスピリチュアル・カウンセラーとして活動(2020年に休止)。現在は鎌倉のショップを不定期で運営しながら、アート表現、執筆、講座などを行う。主な著書に『kaiのチャクラケアブック』(エムエム・ブックス=刊)、服部みれいとの共著『自分を愛する本』(河出書房新社=刊)。2026年初頭には、服部みれいとの共著による新刊が徳間書店より発売予定。また、2025年秋に発刊したライトノベル『PEACEFUL PLUOT PIE』(個人出版)は、この物語の前日譚である。2026年初夏には、みれい☆かるちゃ~☆すく~るで第1チャクラ講座を開催予定。