連載

日登美

第4水曜更新
思春期倶楽部
ほんとうのわたしを求めて

1日目 まっさらな気持ちで思春期を眺めてみたら

 

はじめまして、日登美(ひとみ)です。わたしは6人の子どものお母さんです。わが家は最近まで、8歳から23歳までの幅広い年齢の6人の子どもたちが、ドイツはベルリンのひとつ屋根の下で暮らしておりました。

総勢6人の子どもたちは、年の離れた4人のきょうだいと、2回目の結婚によってあらたに加わった2人の子どもという異父きょうだいです。上の4人は日本人を父に持ち、下の2人はドイツ人の父親というミックスでもあります。そのうち、上の4人の子どもは、日本、ブラジル、ドイツと、3つの国で育ちました。

その昔、年子続きだったわが家は、その上、双子の男の子が生まれて、あっという間に4人きょうだいになり、年齢の近かったこの子どもたちは、団子のようになって思いきりの幼児期を満喫していました。そしてドイツで、あの子どもたちが、まさに思いきりの思春期を怒涛のように迎えていったのでした。そんなわけでこの数年間、わたしは本当にじっくりと、痛いほどに、次々に押し寄せる思春期の子どもたちに、いやでも付き合い、向き合い、観察することになったのです。

 

「子育てが大変なのはいまだけ。あとはどんどん楽になる」と、子どもたちが幼いころには思っていましたし、どんどん手が離れていく子どもの姿に、安堵を抱いていました。けれど実は、子育ての本番はここからだった、という驚き。子育てはいくつになっても、発見の連続ですね!

 

わが家の思春期の子どもたちは、本当によく問題を運んできました。毎日がハプニング、というのは、もしかしたら幼児期からまったく変わっていないのかもしれません。「魔の2歳(いやいや期)」を恐れていた幼児期とはまた違う、「魔の思春期」が、例外なくわが家にも訪れたのです!

 

ただ、そんな大変な時期であっても、自分もかつてそういう荒くれた時期を過ごしてきたからなのか、それを否定する気持ちにはなれませんでした。

いわゆる「思春期の子ども」というのは、成長の爆発を遂げて「変貌」する時期だったりします。それはまるで、幼いころに歯が抜け替わるのと同じように、周知の事実として知られている通過儀礼のようにとらえられていると思います。

 

けれど、その「変貌」や「爆発」が、幼児期に起こることではなく、学童期でもなく、思春期のこの時期にしか出てこない。考えてみれば、不思議です。実は、当たり前に起こっている人間の成長って、とっても不思議なことばかりです。

それには、どんな意味があるんだろう?

そんなふうに、わたしは次第に、思春期をあらためて、まっさらな気持ちで眺めるようになっていきました。

 

わたしの子育ては、いわゆる成功ストーリーではありません。子どもたちはエリートでもなければ、平凡な育ちをしているわけでもなく、どのカテゴリーにもはまらない子どもたちです。

けれど、子どもたちをその時その時の状態など表面的に見えるものに関係なく、見えないところで育つものにも目を向けていったら、「悩みだらけの大変な思春期子育て」とは違う世界が見えてきました。それは「幸せ」という意味の本質を問うような時間でもありました。「人間」として生きることの意味を考えるような時間でもありました。それはまさに、そのとき、子どもたちが眺めていた世界なのかもしれません。

 

意外と、公(おおやけ)では触れられることが少ない思春期というゾーン。けれど実は、多くの親が、密かにその秘密の扉を開けたいと願っているにちがいない。そんなふうに思います。だけど、思春期ってなかなかのことを子どももやらかすし、親も深刻になりがちなんです。それで、ひそかに悶々と悩んでしまう。かつてのわたしも、そうでした。

だからこそ、この連載では、そんな子育てのデリケートゾーンにしっかり食い込んで、時にまじめにシュタイナー的人間観などもはさみつつ、おおらかに、ユーモアを持って、この人生の荒波をお手入れしていきたいと思っております(笑)。

 

「大丈夫、気づけばみんな退部してるって!」と、最初から終わりを見据えての「思春期倶楽部」。それくらいの余裕を持って、入部しちゃってください。

というわけで、これからはじまる連載、たのしんでいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

日登美 【ひとみ】

三男三女・6人の母。10代からファッションモデルとして雑誌や広告で活躍。出産・子育てをきっかけに、シュタイナー教育やマクロビオティック、ヨガなどを取り入れた「自然な暮らしと子育て」を実践し、その経験をまとめた著書を多数刊行。クシマクロビオティックアドバイザーの資格を取得後は料理指導をはじめ、オーガニックな家庭料理を提案するレシピ本も発表している。2013年にドイツ人の数学者と再婚し、ブラジルでの生活を経てベルリンへ移住。現地ではヒルデガルト・ヘルスケアアドバイザーの資格を取得。現在はモデルとして活動を続けながら、「台所から子育て・暮らしを健やかに豊かに」をテーマとしたオンラインコミュニティ「Mitte(ミッテ)」を主宰している。2025年より、みれい☆かるちゃ~☆すく~るで連続講座を開催中。2026年春には、エムエム・ブックスより新刊が発売予定。

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