別マーアーカイブ

トップ > 別マー特集 :murmur magazine no.19 農業特集号 マーマーなこぼれ話! > 01 「今いちばん気になる農の話 土とともに生きる」を特集して

Special Issue 別マー特集

更新日 2013/07/05

メニュー

01 「今いちばん気になる農の話 土とともに生きる」を特集して

気持ちのすべてが土へ

みなさん、こんにちは。
マーマーマガジン19号がいよいよ発売となりました。
今回の特集は「農」。
タイトル通り、とにかく気になって気になって
しかたがなくなって、特集として取り上げました。

『マーマーマガジン』はもとから、
環境問題や有機的な生活への共感をもとに、編集しています。
でも、今回、「農」を特集して、
農に携わる方々からお話をうかがった体験は、
わたしを、本当の、正真正銘の、エコロジストにしそうです。

(エコロジスト? いや、こんな横文字ではなくて、
もっと、的確なことばがありそうですが、
今見つからないので、暫定的にエコロジストにします。)

気持ちという気持ちが、
「人間が土とともに生きる」ということに、
急激に向きはじめたのです。



「光」を動機に

とにかく、今までつくってきた号の中で
一番大変でした。

なぜ大変だったのか??
ひとつには、「農」についてあまりに知らなすぎた、
という、わたし自身の勉強不足があります。
また、農に携わる方々の背中を見て、
こう、ものすごく身が引き締まったということもあります。
そして、何より、現代の農業界全体が抱えている問題の、
複雑さと(いや、ある意味単純かもしれません)、
構造全体の愚かさ(いや、ある面では「よくできている」のかも
しれないのですが)に、正直、心底、面食らったからでもあります。

特集の背景には、もちろん、
東日本大震災があります。原発の問題、TPPの問題もあります。
ただ、小誌のスタンスとしては、
もっともっと未来を見据えた、
「恐怖心」や「罪悪感」、さらには「怒り」といったものを
ベースにしない"光"のほうを動機とした特集づくりをこころがけました。
冒頭で紹介した
ロシアの作家ウラジーミル・メグレの『アナスタシア』(ナチュラルスピリット=刊)への
強い憧憬が、一番の出発点です。

(たとえば、ある代替医療で、
「禁煙をしようとしている人に、
最高に純粋な、エネルギーの高い食べものを与え続けると、
タバコを自然と吸いたくなくなる」というたぐいの方法があるのですが、
イメージとしてはそういった感じです。
タバコをやめるときに、
タバコに注目するのではなく、
まったく別の、すてきなものを取り入れて解決する、
という方法です。)



さて、実際にどうするか

今回の特集では、『自然農法 わら一本の革命』(春秋社=刊)の著者、福岡正信さんの
お孫さんである福岡大樹さん、
固定種の種だけを扱う「野口種苗研究所」の野口勲さん、
そして、あたらしい土づくりに挑戦している、
「ひふみ農園」の横堀幸一さんにインタビューしました。

表現のしかたによっては、
もっともっと、怒りや悲しみといった部分を
刺激する特集にもできたと思います。
しかし、小誌は、そうではなくて、
「これからどうしたらいいか」に
焦点をあてました。
わたしたち、一人ひとりが、どうしたらいいか?

わたしたちは、ほぼ毎日のように
農作物を食べています。
農の問題は、遠く離れた、誰かの問題なんかではなく、
わたしたち自身の問題です。

小誌編集部のまわりでは、
「TABI食堂」を連載中のささたくやさんが
高知に移住し、本格的な自給自足生活をはじめました。
「魔女入門」を連載中の石田紀佳さんは、
都会の生活をしながら、
田舎で、ごくごく自然に作物たちと暮らす「雑草園」を
もっています。
マーマーガール&ボーイたちの中にも、
いよいよ農に携わる人が増えてきました。
小誌を担当していた印刷会社の営業さんだった
岳田光さんも、今、香川県で農に携わる
仕事をはじめられました。

もちろん、だからといって、たとえば、わたしが
すぐに自給自足生活はじめます、
ということではありません。

何でも自然な段階があり、
また、どこでどのように暮らすということにも
それぞれの意味があるのだと思っています。
「正しい/正しくない」ということは
何に関しても本当は一切ないのだと思います。

それでも、わたしは、
何か、『マーマーマガジン』をつくることを超えて、
さらに、わたし自身にできることを探りはじめています。
ベランダ農園をさっそくはじめたこともひとつですが、
さらに、何か「行動」を、と思っています。



わたしたち、一人ひとりの手で

そのアイデアの芽は、
今、小さく開きはじめています。
都会に住む人も、田舎に住んでいる人も
参加できることです。

「農」の特集は、内容が膨大すぎて、前後編と
2号にわたってお届けすることにしたのですが、
後編ができあがるころには、
そのアイデアを、ご紹介できるかな、と思っています。

どこまで形にできるか、まだ未知数ですが、
もし、実現して、動きはじめたら、
とってもすてき!なアイデアです。わくわくします。
どきどきします。

どうぞ、どうぞ、楽しみに待っていてください。
みなさんと一緒につくりあげていくアイデアです。

まずは、19号の「農」特集を
どうぞどうぞ、お楽しみください。

問題解決の鍵は、どうやら、
わたしたち一人ひとりの手の中にあるようです。

【はっとり・みれい】
文筆家、詩人。2008年春『マーマーマガジン』を創刊。ホリスティックな生活に関わる本の編集・企画、著書多数。近著に『SELF CLEANING BOOK2 自由な自分になる本』(アスペクト=刊)、『恋愛呼吸』(加藤俊朗さんとの共著 中央公論新社=刊)