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Special Issue 別マー特集

更新日 2013/07/12

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02 野口勲さん 種のほんとうの話  前編

種の記事を書きました

別マー記事をお読みのみなさん、
こんにちは。

はじめまして。
まず自己紹介をさせてください。
わたしは栗林彩と申します。
昨年、26歳のときに青山ブックセンターで開講された
服部みれいさんの編集ゼミ講座に参加しました。

講座では、
『マーマーマガジン』農業特集号の記事をつくるという課題のもと、
野口勲さんを取材し、
種(F1種*1 と雄性不稔)について「ゼミマー」*2 に記事を書きました。

あれから半年。
実際に『マーマーマガジン』で農業特集が組まれることになり、
みれいさんから
「あのときの記事を別マーで紹介してみない?」と
お声がけいただきました。

写真が、その『ゼミマー』の記事です。
その記事を要約したものを
みなさんに、ご紹介したいと思います。


畠田聖子さん 29歳/看護師 冷えとり歴2か月 畠田聖子さん 29歳/看護師 冷えとり歴2か月
野菜の味がなくなったといわれるのはなぜだろう? そんな疑問から、「種」にいきついた栗林さん。固定種*3 だけを扱う野口種苗研究所代表・野口勲さんを訪ねます
固定種と、F1種の違い、F1種のつくりかたについて、遺伝についてふれながら解説しています。野口さんは、ミツバチが消えた理由もF1種と関係している、とにらんでいるとか




人体への影響は?

本誌19号の野口さんとみれいさんの対談にもあるように、
今スーパーで売られている野菜の大半はF1種です。

F1の種のつくりかたにはいくつか方法があり、
時代とともに変化していきました。
今一番主流となっているのが
雄性不稔という方法です。

雄性不稔は突然変異でできた、
雄しべが退化して花粉をもたない花を利用して
F1種をつくり出す方法です。

なぜこれが問題なのかというと、
雄性不稔に利用される花は、花粉がない=子孫をつくる能力がないため、
本来は、自然に淘汰されてしまう存在だからです。
つまり、本来なら存在しない植物を増やし、
わたしたちがそれらを日常的に食べていて、
人体に影響はないのか、ということなのです。



最初は、呆然としてしまい……

こんな事実があります。

人間の男性由来の不妊症は
ミトコンドリア遺伝子の異常が原因ともいわれています。

そして花粉がない植物も
ミトコンドリア遺伝子の異常によってできるのだとか。

雄性不稔の植物と人間の男性の不妊症は、関連性があるかどうかはわかっていません。
推測の域を出ないけれども、
もし何かあってからでは遅い、というのが
野口さんが危惧されていることです。

この事実を知ったとき、
わたしは大きなショックを受けました。

自分自身もそうだけど、家族や友人など大切な人たち、
そして小さい子もお年寄りも日本人全員といっていいほど、
たくさんの人たちが、毎日のように食べている作物が、
こんな不自然な食べものだったなんて!

救いようのない話だなと、呆然としました。

記事を書くために調べれば調べるほど、
悲しい事実にばかり直面する日々。

一度、ゼミの中で、みれいさんの前で
種のことを話すうちに涙が溢れてきて、
気づいたら大泣きしていたこともありました
(今思うと恥ずかしいですネ)。

当時のわたしはショッキングな事実をただただ悲観し、
怒りを感じていました。
そして、どうにもその解決策が最後までわからないまま、
記事を書き終えることになりました。

【のぐち・いさお】
1944年、東京・青梅市生まれ。「野口種苗研究所」代表。親子3代にわたり、在来種、固定種、全国各地の伝統野菜の種を扱う。「野口のタネ」はネットでも購入できるhttp://noguchiseed.com/
【くりばやし・あや】
東京都在住。27歳。会社員。古書と古着好きなマーマーガール。種記事をきっかけに今年6月、人生初の田植えを経験! 十数年ぶりに土にふれ、地球と一体化したような気持ちを味わいました
*1 F1種とは?
一代雑種(First filial generation)。早く育ち、形が均一で、同時期に大量にできる、大量生産を目的につくられた種のこと。揃いのよい生育旺盛な作物になるが、種をまいて一代目しか同じ野菜ができない(F1種で育った野菜の種を採ってまいても、二代目はバラバラになってしまう)。生育期間が短いため、固定種に比べて栄養価も低く、味も薄いといわれる。「雄性不稔」(突然変異でできた花粉のない雄しべをもつ花を利用してつくる方法)をはじめ、さまざまなやりかたで、異なる性質の種を人工的に掛け合わせてつくられる。現在、流通している花や野菜の種はそのほとんどがF1種
*2 ゼミマー(ゼミマー・マガジン)とは?
2012年10〜12月、青山ブックセンター本店にて行われた「服部みれいの編集ゼミ」修了生が、ゼミ修了時に自主的につくった、数量限定のzine。各自の制作した読み物にまつわる情報や、課題として作った記事を、『マーマーマガジン』そっくりの体裁でまとめています。現在は『ゼミマー・マガジン公式フェイスブック・ページ』にて、元ゼミ生が毎日日替わりで更新しています
*3 固定種とは?
地域で何世代にもわたって育てられ、自家採種を繰り返すことで、その土地の環境に適応するよう遺伝的に安定していった品種




☆『ゼミマー』に掲載されている栗林彩さんの記事をお読みになりたい方は、件名に「種の話希望」とご記入いただき、郵便番号、住所、氏名、電話番号をご記入の上、info@murmurmagazine.comまで、ご連絡ください。記事を郵送させていただきます(少しお時間をいただく場合があるかもしれません。あらかじめご了承ください)

※ ゼミマー・マガジン記載の栗林彩さんの記事について、おかげさまでたくさんのご応募をいただいています。8月18日(日)いっぱいで受付をしめきりとさせていただきます。たくさんの反響、ありがとうございました!