マリイの足音をひろいあつめる。

道端で踊るマリイ、海辺で戯れる人々の笑い声、夏祭りに集う少女たちの匂い、
チワワのタマちゃんの柔らかい耳、道路に捨てられた鮮やかな色のごみ、
朝陽を浴びて淡く光るビル群。

ただただマリイの足音をあつめて写真に焼きつけていく。

瞬きをしたら変わっているかもしれないと思うほどにたくさんのシーン。
柔らかくあたたかいもの冷たいもの、愉しいことも哀しいことも、
時間軸のわからぬままに現れて、そしてまた消えてゆき、ゆらゆらと続いてく。
その流れに身を委ねて眺めているとそのうちついに繰るページがなくなった。

この世界から離れてまた自分の目で世界を見つめる。
また浸りたくなれば写真集を開く。

そしてマリイを待って生まれた一哲君は、いまも足音あつめを続けているらしい。
これからも現在進行形の「マリイ」を見られることが、とっても嬉しいです。
平野有優|ひらのあゆう|Ayuu Hirano
NADiff