Dear 松岡一哲さま

あなたがこの手紙(感想文)を読む時、私は北へ向かう旅の途中でしょう。タラップにちょうどつがいのカモメが休みにきました。あなたとマリイさんのようですね。飛ぶのに疲れたなら、その翼休めていくがいいわ。愛しあう恋人たちよ。

あなたの作品『マリイ』拝見いたしました。素晴らしかったわ。そして、裏切られたわ。奥さんの名前の写真集だったから、私てっきり、ね? そうでしょ? でも全然違ったの。そして分かったの、あなた最初からマリイさんを語る気なかったでしょう? 図星じゃなくって。500ページ以上あるのよね? アサカメの月例コンテストなら、3枚の組み写真で貴方より多くを語ってよ。そうね、あなたは写真で語るなんて野暮な事はしない。昔っから。あなたの撮る写真は光の宝石。一枚で完結した強い光を放ったジュエル。1ページ、1ページがキラキラしたあなたの愛、永遠の。。。 強いて言えばこの写真集は、「愛の宝石箱や~」ってとこね。恥ずかしい、どこかのタレントさんみたいになっちゃた。

あなたは変わらないでしょう。昔も今もこれからも、and your photography too!

今、つがいのカモメが飛んでいきました。私のテーブルのお皿からショコラ・ノワールを盗んで。


LOVE XXX

あなたの友達Kより
加瀬健太郎|かせけんたろう|Kentaro Kase
写真家。著書に『お父さん、だいじょうぶ?日記』(リトルモア)、『撮らなくても良かったのに写真』(テルメブックス)ほか