最初のページからシンプルにページネーションに沿って見る。そして紫のしおりが二本も付いている意味を自分なりに解釈して、
途中からめくる、逆からめくる、右ページだけ見る、左ページだけ見る、超高速でめくる、超低速でめくる、そんなこんなでしおりの使い方は悦にいったものだ。
半ば実験的に繰り返される写真集との対峙の中で気づいたことは、開くたびに印象が変わることだろうか。
その日の自分の心持ちやコンディションの違いなども微妙に影響していると思うが、毎回、初めて目にする写真のようなのだ。
一哲がマリイちゃんを捉える視線を優しく感じさせる時もあれば、危うく切ない写真の悪魔に取り憑かれたイメージが漂うこともあり、
そうかと思えば友達として笑えたり、胸に熱いものがこみあげたり、無感だったり。
僕はこの捉えどころのない写真集の扱いに未だ戸惑いながら、実に興味深く考察を続けている。
だから今は、自分の部屋の一番手に届くところに置いてある。
浅田政志|あさだまさし
写真家。『浅田家』(2008年赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。現在、「道後オンセナート2018」にて作品を公開中