第4回 新米社長、初心忘るべからず 前編
今回は、第2回のつづきです。
すぐになんでもかんでも忘れてしまいます(第2回がつづくで
終わっていたことも忘れていました…)。
でもアルバイトとして、はじめてマーマーマガジン編集部を
訪れた日のことは、よく覚えています。
エムエム・ブックスで、はたらきはじめた最初の日
ぼくは、仕事の先輩である学生アルバイトのS君から
スタッフのみなさんのサポート仕事を午前中いっぱいかけて教わり、
「これが編集部ランチかぁ…」という
みれいさんお手製のランチをいただき、
その後、たっぷり時間をかけて慎重に皿洗いをした後
いよいよ…
みれいさんから直々に仕事を頼まれることに!
「自分のもてる力を最大限に発揮して、応えたい! 」
ドキドキしながら、みれいさんから任せられる特命業務の内容を
一字一句もらしまいと
メモ用紙とペンを握りしめ、みれいさんの机のもとに向かいました。
すると、みれいさんは
屈託のない少女のような爽やかな笑顔
よく通る優しく、はっきりした声で、
「紀伊国屋新宿本店まで行って、ピンク映画のDVDをしこたま買ってきてほしい。
リストはこれ。
購入にはこのお金を使ってね」と言って、
5万円をポンッとぼくに渡しました。
渡されたリストにはエマニエル夫人など名だたるピンク映画の名まえが10作以上並んでいました。
あっけにとられながらも(あとで読み返したメモ用紙には「きのくにや ピンク」とだけ書かれていました…)
「はい! 」と返事。
意識を切り替えて、「それなら、最短時間ですべての作品を手に入れて帰ってきてみせる」と思いました。
入社初日ですから、期待に応えたくて
もしくは、「できる男! 」と思ってもらいたくて燃えていました。
ちなみに、なぜみれいさんがピンク映画をそんなに必要としていたかと言うと
(これをご説明しないと、ちょっとあやしい編集部になっちゃいますもんね)
このとき、編集部はマーマーマガジン17号のセックス特集の編集作業真っ最中
誌面でご紹介する資料として鑑賞するためだったのです。
ぼくは、渡されたリストをポケットにいれて、超特急で出かける支度を
すませて、事務所を出ようとしました。
しかし、そのとき、そんな僕を
「ちょっと、あなたも、こっちにいらっしゃい」と、ひきとめる人がいました。
そのとき、たまたま17号の取材のため会社にきてくれていた才田春光さんです。
なんとぼくがはじめて働きはじめた日は、偶然にも春光さんもはじめてマーマーマガジン編集部を訪れてくれた日でもあるんです。(後編につづく)