#17 良い加減だよ、鎌田さん!
このコーナーにおそらく最多出場の
佐原張子職人の鎌田芳朗さん(81歳)。
インスタでもみなさんに好評だったので、
こちらでもご紹介させてください。
写真の張子は、両手をあげて、いろんな幸運を招くという招き猫なのですが
ぼくは発注のときに白色でお願いしました。
ところが3か月半遅れで納品されたのは黒と黄色が半々の猫ちゃん……。
正直、半分半分色が違うって……、どうなんだろう? と思ってしまったのです。
実際に白色の招き猫ちゃんたちは、瞬く間にお客様のもとにムコ入り。
黒と黄色の猫ちゃんたちは……。
「これはマズい。在庫として残ってしまうのではないか」と
正直焦ったタコ社長ことぼくは鎌田さんに
「発注した色と違うじゃないですか〜!!」と
イヤミでも言いたい気分になり、
(ほんとうにちいさいタコ社長であります……)
鎌田さんとお会いしたときに、さりげなく切り出したのです。
福「鎌田さん、なんであの猫は黒と黄色で半分に分かれているんですかね?」
(遠回りな言い方がまたいやらしい………はぁ……)
鎌「うふふふ、思いついちゃったんだよ。
あれはね、2色使って、2倍お得なんだよね!!」
福「………2倍お得って……、でも、なんで黒と黄色なんですか?」
鎌「黒と黄色が好きなの、うふふふ、あれ良かったでしょう?
2倍だからお得なの、ハッピーだって2倍なんだからね、うふふふ」
福「…………お、お、お得ですねぇ、そ、それは………」
小社最新刊の『秋山佳胤のいいかげん人生術』の冒頭で
秋山先生は「どうぞ、ご自身の『いいかげん=良い加減』をみつけてください」と
おっしゃっていますが、鎌田さんは完全に良い加減をおもちです。
そしてぼくは鎌田さんのそういうところが
好きなんだよなぁ〜とあらためて思い知らされました。
「オーダー通りにしなくちゃ……」というより
鎌田さんがうきうきわくわくつくってくださったものが一番だと思っていて
なんというか「オーダー通りにしてくれない鎌田さん」に
どうしようもなく惹かれているんです。
だから今回の件は、実はとっても鎌田さんらしくてうれしかったのと
「思い通りにならなかった」という自分のエゴの面とが、
まさに半分半分になったのだと気づいたのです!
鎌田さんだけじゃなくて
自分の周りにいるすべての「オーダー通りにしてくれない◯◯さん」のこと
受け入れられたら、ぼくもゴリラになれるかも!?
道のりは遠いですが……。
ちなみに自分の良い加減の部分とエゴの部分を
浮き彫りにしてくれた鎌田さんの半々猫ちゃんは
その後、
「阪神タイガースファンの方にはたまらないのではないか?」という
みれいさんのコメントつきでネットショップで紹介したところ
発売数分ですべての猫ちゃんが完売となりました!
いい加減は、やっぱり良い加減なのだ!! と
思い知らされたタコ社長でありました。