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今日の編集部

街は森に還ろうとしている

 

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先週の土曜日、東京の目黒で

森歩きをしてきました!

 

「目黒に森なんてあるの?」

と思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

実は、

アールデコ建築で有名な

東京都庭園美術館のすぐ横に、

自然教育園という

国営の自然保護地区があるのです。

 

美術館には何度も足を運びながら

自然教育園のことを知らなかったのですが、

実際に行ってみたら、

東京ドーム4つぶんの土地に、

緑がこれでもかというほど茂り、

(それも、日本在来種の植物が集合している!)

それは気持ちいいスポットでした。

 

(漫画家の西村ツチカさんが

こんな漫画で自然教育園を

紹介しているのを発見!)

 

 

ひとりで行ったわけではありません。

 

プロの森案内人、三浦豊さんが行う

森歩きツアーに参加したのでした。

 

どんなジャンルでも、

マニアックにくわしい方の話を聞くのが

すごく好きなのですが、

森のマニアの方には、

はじめて会いました。

 

日本の在来種の木や植物について

ほんとうに、いろいろなことを

教えていただきました。

たとえば、ほんの一部ですが……

 

・「いちょう」は保水力が高いため、

燃焼を防ぐ効果が高い。

だから、日本では昔から、

火事から守るために、

神社仏閣の近くによく植えられた。

 

・「むくろじ」という木の実には、

サポニンという

水と混じると泡立つ成分が含まれていて

せっけん代わりに使うことができる。

 

・「きはだ」は、その木肌をめくると

蛍光イエローのような真っ黄色の中身が顔を出す。

漢方にも使われる。

 

・どんぐりの中でも

「しい」のどんぐりは美味。

生食も可能で、

あぶって食べれば、

まさにナッツの味に。

昔の日本人は、集落に「しい」を植え、

飢饉のときには、実を分けて食べていたそう。

 

・「つのはしばみ」は日本のヘーゼルナッツ。

市販のヘーゼルナッツよりずっと美味。

三浦さんはお庭に植えているそう

(エディブルガーデン!)。

 

・日本の野いちごには、

味のよしあしはさておき

基本的に毒はない。

なので、どんどん食べてみて大丈夫。

日本の野いちごの中では、

「もみじいちご」がトップクラスにおいしい

(三浦さんは、やはりお庭に植えているそう)。

 

……最後の3つは、

森というより食のほうに

フォーカスしてしまいましたが(笑)。

 

森を歩きながら、

三浦さんが、木や植物の特徴や

それにまつわる歴史などを、

京都弁の軽妙なトークで

たっぷり解説してくださいました。

 

 

そのような木の解説だけでも

充分におもしろいのですが、

三浦さんのツアーの魅力は

それのみに留まりません。

 

三浦さんは、個々の木のことだけでなく

森の状況をも、解説してくださるのです。

 

森を、時間軸で見ていくのだそうです。

具体的には、

大きく育った木を見て、森の「過去」を知り、

若い木を見て、森の「将来」を知るのだそう。

 

 

その視点で東京の森を見ていると、

「街が森に還ろうとしている」のが

よくわかるのだそうです!

 

 

具体的には、

現代人が生活のための伐採をしなくなってから、

木がよく育ち、葉がたくさん落ち、

落ちた葉が腐り、土が肥えてきているのだそうです。

 

そのために肥えた土が好きな木が

よく育ってきていて、

たとえば日本の国土の95パーセントが

森だった縄文時代の森、

昔の森の状態に戻りつつあるそうです。

 

そんなお話を聞いていたら、

『もののけ姫』で

木がぐんぐん生えていくシーンが

脳にフラッシュバックしました!

 

 

肥えた土を好んでいるため

増えつつある木のひとつに、

「たぶのき」という木があります。

 

「たぶ」とは大和ことばだそうです。

「たぶ」「たむ」「たま」、

つまり、「魂」のことです。

 

建材に使われるような、

明確に利益のある木ではないからなのか、

あまりメジャーではないですよね?

わたしも知りませんでした。

 

でも、縄文時代から存在した

れっきとした日本在来種の木なんだそうです。

 

「日本の魂の木」が

元気になりつつあると聞いて、

何だか、すごくわくわくしました。

 

 

と、こんなふうに

木や植物をエキサイティングに感じられる、

三浦豊さんの森歩きツアーですが、

実は、9月11日(日)に、

美濃での開催を予定しています!!

 

三浦さんが、

美濃加茂の木工作家・川合優さんとともに

美濃の森を案内してくださいます。

 

ひとたび参加していただけたら

いろいろな視点から森を見ることが

できるようになり、

「森林観」が変わること

まちがいなしなツアーです。

 

詳細は、また追って「イベント詳細」ブログにて

アップさせていただきます。

 

秋の美濃、森歩きの旅、

ぜひご予定くださいませ!!

 

 

 

イベントといえば、

8月13日(日)の演劇イベントのことも

すぐに告知させていただきます。

どうぞ少々お待ちを!

 

 

 

あと、そうそう、

紀伊国屋新宿南口店さんの5Fで開催中のフェア

「ほしい未来が見えてくる本と出会う」にて、

みれいさんの『わたしらしく働く!』

選書していただきました!

 

三浦さんのツアーに参加したあとに

見に行ったのですが、

すっごくいいフェアでした。

 

『フォーメン』ADの飯田将平さんが

デザインを手がけた本、

『家をせおって歩く』や、

エムエム・ブックス刊行物の

お取り扱い店さんである

ホホホ座の山下賢二さんの

『ガケ書房の頃』も

選書されていましたし。

 

わたしは、クラシック音楽家

レナード・バーンスタインの

インタビュー本を購入しました。

 

コミュニティーデザイン関係の本でも、

気になるものがいくつかありました。

 

2面の棚にわたり

さまざまな良書がたっぷりと紹介されていて、

一見の価値ありのフェアです。

 

お近くの方、ぜひ見に行ってみてください。

 

(川口ミリ)