職業のための読書
こんにちは! 編集部員の川口ミリです。
先週、お正月明けの1週目がようやく終わろうとしていた金曜日の夜。
みれいさんからおもむろに「ミリちゃん、これ読んだことある?」と
差し出された大量の本……いや漫画。
それが『編集王』(小学館=刊)でした。
そういえば、今まで別の編集者の先輩にも
「『編集王』は読んどけよ〜」といわれたことがあったような!
「読みたいです! 読みます!」とふたつ返事で
全16巻を家に持ち帰り、
その日の夜と、次の日の朝で読み切りました(爆)。
『あしたのジョー』に感銘を受けてボクサーになった主人公カンパチが、
目の病気でやむなく引退後、漫画の編集の世界に飛び込むというお話。
エンタメ的要素たっぷりの熱血ストーリーでありながら、
編集という仕事や、連載当時である90年代の出版業界の状況も書き込まれた、
濃密な作品でした。
これに並行し、『名編集者パーキンズ 作家の才能を引きだす』(草思社=刊)も読みました。
こちらは、米文学史に名を残す名編集者、マックスウェル・パーキンズの伝記です。
ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、トマス・ウルフなど
名作家たちとのエピソードも知ることができますし、
文学の黄金期の空気をいきいきと感じられるような、おもしろい本です。
これらの読書に、編集という仕事について考えるきっかけを与えてもらいました。
――作家といわれるひとたちは概して感受性がつよく、また繊細なところがあり、
編集者はときに彼らの友となって、細やかな配慮をもって支えるべきときがある。
――その一方で、ごくごくクールな目線で作品を批評し、的確な意見を、
しかも誠実なやりかたをもって伝える必要がある。
その昔、CAさんや看護士さんといった、人のケアをする職業を、
「わたしにはむずかしいよ〜」とかいってましたが、
そんな大学生の自分に喝を入れたい!と改めて思います。
編集者だって、作家さんへのケアや配慮を惜しみなくして、
よい作品を世に生み出すお手伝いをする職業だからです。
と、こう熱く語るのには、上の2作品の読書があったからで(単純!)。
「わたし、こういうところは少しがんばって磨かないとなぁ」とか、
「この部分に関しては、けっこうイケてるかも?」とか、
いろんなことを思いながら、ページをめくり続けました。
職業に関するこれ見よがしのガイド本ではなく、
漫画や小説、伝記だからちょうどいいのかも。
仕事に対する悩みって漠然としていたりするから、
意外と、同業者にも親しいひとにも相談しづらくて……
そんなとき、本はそっと寄り添ってくれます。
本ってやっぱいいなあと、あらためて実感しました。
職業のための読書は続きます。
次は、これまた漫画編集の極意が描き込まれていると聞く、
藤子不二雄先生の『まんが道』を読みたいと思います!
よっしゃ!
明日は金曜日。ブログ担当はみれいさんでーす!