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別マー連載

更新日 2012/05/11

渡辺えり子の 2012年 ヨガのなう

第15回:誰かと思い合うこと

思春期と“おばあちゃん食”

先日、長く入退院を繰り返していた祖母が亡くなりました。
ちょうど、90歳でした。
一昨年には、16年飼っていた
実家の愛猫・ジャンも亡くなったので、
最近は、何かもの足りないような日常をすごしています。

わたしは、中学から高校生のころ、
祖母と一緒に暮らしていた時期があるのですが、
当時は祖母に対して、批判的な気持ちでした。
育ち盛りに、魚のあら煮や光りものの梅酢漬けといった
“おばあちゃん食”ばかりだったのも不満で、
ひとりの時間がほしい、ひとり暮らしがしたいと、
よく思っていました。

わたしは、祖母と一緒に過ごした思春期に、
祖母にやさしくできなかったのです。

大人になってからは、
若いころの自分に対しての後悔から、
祖母にやさしくできるようになりました。
でも、「何かしてあげたい」と思うときには、
祖母と一緒に過ごす時間はあまりなくなっていました。

祖母からのギフト

祖母のお葬式は、祖母が生まれ育った静岡で行われ、
父と母、姉と甥っこ、そしてわたしは何年ぶりかで、
家族水入らずの時間を過ごしました。

東京でひとり暮らしをしているわたしは、
ふだん、家族それぞれの愚痴を聞いていますが、
久しぶりですごす家族団らんの場は、
自分も同じように、小さなことでみんなともめたりして、
でもそれがかえって子どものころに戻ったような、
懐かしく、楽しい時間になりました。

そして、ひとり暮らしでは、
わがままをいう相手がいないのだなということを、
あらためて実感しました。

父や母や姉とは、今は遠く離れて住んでいます。
祖母は、そんなわたしたち家族が、
このお葬式の間の何日かを、久しぶりに一緒に過ごすように、
機会をくれたように思えました。

人というのは、一緒に過ごした時間があるからこそ、
ケンカをしても、距離があっても、
お互いを思い合えるのではないでしょうか。
そうして、時間や関係や愛みたいなものを、
一緒につくっていくのかなと思いました。

自分に軸をもつために

ヨガとは「いま」をあるがままに感じ、
そのままの「いま」を受け入れることだと思います。

わたしは、許すこと、寛容になること、尊重することを、
自分に対しても、人に対しても、
できたらいいなと思うようになりました。
それは、年を重ねたからなのか、
ヨガをはじめたからなのか……。

とはいえ、その場になると忘れたりもしますが、
いつでも、自分のこころに従って、
何かに振りまわされたりせずに、
落ちついていられたらと思っています。

10代のときは、ひとり暮らしにずっと憧れていましたが、
ひとりで暮らすということは、
自由なようでいて、さびしいものなのかもしれないと、
今回のことで思いました。

でも、家族や祖母、愛猫のジャンとは、
遠くに離れてしまった今も、
愛とか、思い合う気持ちを、
身近に感じられる気がします。

祖母が若いころ

2年前の祖母

上は祖母が若いころの写真で、下は2年前の祖母。

「えり子は結婚しなくてもヨガがあるから
しあわせなんだね」といってくれたのですが、
いやいや、そんなことはありません(笑)。
祖母のごはんは、今やわたしの定番食だし、
祖母がいつも誰かのことを思っていたこと、
その強さは、今もわたしの中に流れています。

ありがとう、おばあちゃん。

コラム
◎映画に見る、ヨガのスピリット

最近、『カンタ! ティモール』という映画を見ました。

東ティモールが独立するまでと、
その後の人々の生活について描かれた
ドキュメンタリー映画です。
東ティモール独立の紛争を背景に、
東ティモールの人たちの癒し、
大地とのつながり、自然を敬う素朴な暮らし、
怒りに対して許す精神性、強く生きる姿に感動しました。

こんな状況で、人がどう苦難を乗り越えていくのか、
今の日本で、自分がどう暮らすか、どう生きるか、
そしてヨガについても、たくさんのことに気づかされ、
考えさせられました。

人間は、社会の中で自然とともに生きています。
この映画を通して、
世界を知ったり、自然を感じたり、
社会や世界について考え、話すことで、
ひとりで生きているわけではないことがわかりました。
人類全体を思い、敬うような、
あたたかい気持ちになりました。

都会で暮らしていても自然は感じられるけれど、
いつも意識できるようにしたい。
そして、やっぱりヨガをしようと思いました。

日常生活の中で起こるできごと、
目や耳にすることから、
ヨガについてふと思うことがあります。
それも、わたしにとってヨガの楽しみであり、
ヨガを続ける理由のひとつです。

◎『カンタ! ティモール』
東南アジアの東ティモールを舞台に、
消えない悲しみを抱きながら、
「許す」という選択をした住民たちの、
強く美しい姿が描かれています。
http://www.canta-timor.com/01story.html
◎東ティモール独立10周年記念フェスタ in Tokyo
http://tl10thjp.info/


東京・四谷三丁目にある「one kitchen」で行われた『カンタ! ティモール』上映会。映画鑑賞のあと、監督の広田奈津子さんと、この映画が生まれるきっかけとなった『いつかロロサエの森で 東ティモール・ゼロからの出発』(コモンズ=刊)の著者、報道写真記者の南風島渉さんとで、お話会が開かれました <photo:ハラサキタクヤ(One kitchen)>

thanks:たつおばあちゃん、わたしの家族・親族のみなさん、猫のジャン、ハラサキタクヤくん、映画関係者のみなさん、ささたくやくん、わたしをとりまくすべてに!


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〔わたなべ・えりこ〕
アシュタンガヨガ講師、グラフィックデザイナー。ヨガとデザインにまつわる何かをしています。
http://erikom.jugem.jp/
東京・渋谷の代々木公園「WIRED CAFE<>FIT」、
表参道「ASHTANGA YOYOGI@OMOTESANDO」にてヨガ講師とバリー・シルバー先生のアシスタントをしています。
くわしくはこちらへ↓
http://ashtangayoyogi.com/
http://www.wiredfit.jp/
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